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命を預かるダイビング器材は対面(店頭)販売であるべき、という不安商法閲覧無制限

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オーストラリアのクルーズでの器材セッティング(撮影:越智隆治)

「命を預かってくれる器材」と思うべきはダイバー。セッティングの最終チェックは自分でしよう

ダイビング業界の方から聞く言葉で、嫌いな言葉があります。

「ダイビング器材は命を預かるもの。だから、対面(店頭)販売でなければならない」

これ、典型的な不安商法だと思うのです。

感情を刺激し、もっともらしく聞こえる空気を作りつつ、論理の飛躍やすり替えを行なうやり口。

誤解なきよう言っておきたいのは、対面(店頭)販売のメリット、付加価値は、ダイバーにとってとても大きいと思います。
製品について細かく聞けて、操作方法などを教えてもらい、実際に手にとって確かめられることはベストでしょう。
よくわからなければオススメを聞けるのもありがたい。

しかし、あくまでこれはメリット、付加価値です。
もっといえば、誰かにとってのベストであるのかもしれません。

こうした選択肢の中でのメリットや自分の意見をアピールすればよいわけですが、事故が起きるよ、安全のためだよ、命を預かっているんだよ、と不安をあおり、ひとつの選択肢に集約させるやり口はいかがなものかと思います。

やり口であればまだしも、本気でそう信じて言っている人もいて、これはもはや思考停止でしょう。

「事故を起こした時、どうすればいいでのしょうか?」と聞いた時、「事故は起こさなければいいんだよ! 今から事故を起こしたことを考える暇があるなら、予防を考えろ!」と言われたことを思い出します。
「馬鹿なの?」と心の中でつぶやいたことは内緒ですが(笑)、案外、事故とか死とかのキーワードは人を思考停止にさせるようです。

こうした弊害が、ダイビングショップや器材販売店から遠い遠隔地のダイバーが、ネットや通販で買えるメリット、あるいは、また同じレギュレーターを買おうとしている対面が必要ないはずの人のメリットを潰しているとも言えます。

対面(店頭)販売しないと危ないの?

そもそも、本当に「対面(店頭)販売しないと危ない」のでしょうか?

車でさえネットで売られている時代、BCやレギュレーターって、そんなに説明しないと危なくなるようなハイテクなものだったでしょうか?
※メンテナンスや品質保証についてはまた別の問題です

仮に何かしらリスクがあるとしても、それを解決、あるいは補足する施策やアイデアを考えることが大事なはずです。

例えば、ウエットスーツはネットで買ったらサイズが合わないデメリットがありますが、宅配で数着試着できるサービスがあったり、事細かに寸法を測るマニュアルもあったりします。
面倒なので店へ行ってしまえば早いのですが、その面倒を受けれてでもネットで買う人もいるはずです。

ちなみに、自分であれば、器材は、海外でどうしても欲しいものがあればネットで買いもしますが、基本的には店頭で買います。
触ってみたいし比べてみたい。
さらに、面倒くさい時は、信頼できるスタッフに「オススメ教えて!」と言って買ってしまったり。

ダイビング器材は命を預かるもの
は軽くしてはいけない言葉

つまり、そもそも大きなメリットのある対面(店頭)販売なのに、「命を預かる」という脅し文句で誘導するのが気にくわないのです。

本気でダイバーが事故を起こさないように対面(店頭)販売をしているなら、まずは実際に使ってもらうというマインドになるはずです。
さらに言えば、その人に合ったコンフィグレーション(構成、配置)までやってくれる対面販売が出てきたら、とても理念を感じます。

そうでなく、ただ思考停止し、「命」「事故」を錦の御旗にかかげ、不安をあおるやり方をするというのは、既存のビジネスモデルとして重要な位置を占める対面(店頭)販売を守るための言い訳としか聞こえません。

ダイバーにとっては基本的には選択肢が多い方がよいに決まっています。
それなのに、あたかも、命を預かる器材は対面(店頭)でしか買えないようなやり口は間違っています。

まだリテラシーのない講習生は黙っていてもインストラクターから器材を買うでしょう。
また、詳しい人には相談しにくるでしょう。
それこそインストラクター、プロの価値です。

ダイビング器材が「命を預かってもらっているもの」という考え方・言葉は大事だからこそ、つまらない道具に使って、軽くしないでほしい。

ダイビング器材は命を預かってもらっているものだからこそ、「レンタルする場合でも、最後はちゃんと自分でチェックするべきだよ」であって、「店頭販売じゃないと危ないよ」ではないはずです。

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