海の生き物のガラスアート作家・中田昌秀(ナカタマサヒデ)「1cmの宇宙」展に行ってきました
2013年12月6日(木)から渋谷Bunkamuraにて開催されている、ガラスアート作家・中田昌秀(ナカタマサヒデ)さんの「1cmの宇宙」展に行ってきました。
個人的には以前お見かけしてからというもの、気になってはいたのですが、なかなか実際にお目にかかることがないので、今回とてもわくわくしながら会場に向かいました。
会場に入ると、ほとんどの作品が1cmほどと小さいにもかかわらず、存在感の大きいこと大きいこと。
一瞬で見つけてしまいましたよ、大好きなメンダコ!
(実物は耳と身体をふわふわさせながら泳いでで可愛いんですよー!)
今回インタビューというつもりではなかったのですが、中田さんの「実は独学なんです」という言葉を聞いたら、ここぞとばかりにいろんなこと聞いてしまい、いつの間にかインタビューみたくなってしまった。
なので、お決まりの一問一答形式にまとめてみました。
―――
いつから作品を作り始めたんですか?
中田
11年前からです。
でも前はこのスタイルではなくて。自分なりのスタイル(1cmの作品を作るというスタイル)にたどり着いたのは、始めてから4年後です。
―――
どこか学校に行っていたのですか?
中田
誰かに習ってしまったらその時点で2番手じゃないですか。
だから嫌だったんです(笑)、なのですべて独学でやってきました。
―――
独学ですか!
でも2番手が嫌な気持ちはちょっとわかります(笑)
そもそもこれ、どうやって作るんですか?
中田
まず、歯医者さんが使う細いドリルで裏から掘っていき、そのあとに色ガラスの粉を入れて焼いていきます。
それを何工程か繰り返して仕上げます。
―――
裏から掘るということは、出来上がりを想像して掘らなくてはいけないということですよね?やっぱり掘るのが一番難しいですか?
中田
掘るのも難しいですよ。
僕の場合、水の中で掘るので削りカスが水に白くもやもや~ってなってしまうんです。
手元があまり見えない中で掘るので、やはり慣れないと難しいです。怪我は日常茶飯事ですしね。
でもそれより、何回かガラスを溶かす行程があるのですが、最後に溶かす(焼く)時が一番難しいです。」
―――
それはなぜですか?
中田
最後って、少しでも空気が入ってしまったりしているとガラスに泡が出来てしまうんですよね。
意図せず良い感じに仕上がることもあるのですが、位置によっては模様に被ってしまったり、泡って浮力があるので絵柄を歪めてしまったりもするんです。
―――
こんな小さい中にでも浮力ってあるんですね!
でも、泡も味があっていいと思いますけど。
中田
その場合もあるんですが、僕は偶然性は自分の中で評価してないんです。
自分の思い描いた通りに出来ないとお客様の元に出したくないので。
―――
中田さんはもちろんダイビングはやられるんですよね?
中田
いや、それが僕やらないんです(笑)
―――
え?!こんなに海の作品が多いからてっきりダイバーだと思っていました。
中田
よく、ダイビングの話題をしてくださる方もいるのですが、全然わかんないんですよね。
昔伊豆に体験ダイビングをしに行ったんですけど、全くいい思い出がなくて…。
―――
何があったんですか?
中田
なぜかエントリー待ちをさせられて、エントリーしたのが夕方の4時だったんです。
もちろん海の中は暗いし、その日は透明度も悪くて。さらに、一緒に行った友人が耳抜きが出来なくて、インストラクターさんは相方に付きっきりになって僕ずっと放置されて。
だから良い思い出がないんです。
―――
それは大変。もう一度、今度は沖縄とかで潜ってみてください!
でもそれならなぜ海の生物がモチーフの作品が多いんですか?
中田
実は最初にこの色を気に入ってしまって。それでこの色に合うのは海だなと思って、始めました。
―――
綺麗な色ですね。気に入っている作品はありますか?
中田
どれも同じくらいですね。でもここにあるものは全て完成品ではないんです。
お客様の元に届いて初めて完成するので。
※
なんて謙虚で素敵な方!(惚)
中田さんが“偶然性は評価していない”と言った時、偶然性をラッキーと思って生きてきた私は、衝撃的すぎて言葉を失っていました。
期間限定になりそうですが、少しの間だけでも見習って生きてみようかと思います。
また、「今回は暗くなると光る作品もあるよ」と見せてくれました。
どこまでも進み続ける中田さんの世界を、是非みなさん自分の目で見て感じてほしいと思います。
今度行ったら、メンダコ買っちゃうかもしれないなぁ~
中田昌秀(ナカタマサヒデ)「1cmの宇宙」展 概要
開催期間:2013年12月6日(金)~12日(木)
開館時間:10:00~19:30 ※最終日は17:00まで
会場:渋谷Bunkamura Box Gallery
お問合せ:Bunkamura Gallery 03-3477-9174