地球は救えなくも、ゴミはすくえる! ~第三回「小田原城お堀清掃」レポート~
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2017年4月12日(水)小田原城お堀清掃プロジェクトが開催されました。
※西神奈川ダイビング安全事業者協議会(NDOSA)主催、小田原市後援
当日参加していた石橋ダイビングセンターの滝田叔歳さんにレポートしていただきます。
気分はアルマゲドンのあのシーン!
ゴミを“すくい”にきた16名のダイバー
当日の天候は快晴、桜もこれでもかと言わんばかりに全開に咲き誇っていました。
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本来であれば桜が散り終わり、花見客が一段落したところで清掃しましょう、と打ち合わせをしたのですが、城址公園担当者の方いわく「私が勤め始めてからこんなに遅い日に満開になったのは初めてです」と口にするほど、グッドタイミング(?)での活動となりました。
清掃活動する前には、去年に引き続き、小田原市長からの挨拶もいただくことができました。
「昨年小田原城は大改修をして入場者数も過去最大の80万人を超えました。5月に開催される小田原城で一番大きなイベント北条五代祭りの前にお堀が綺麗になる事は大変喜ばしい事です」と感謝の言葉をいただきました。
挨拶も終わり、器材を装着し、いよいよエントリー。
学橋を渡たる先にはたくさんのTVカメラや取材のカメラが我々を待ち受けていました。
宇宙服にも似た(?)ドライスーツを着用して橋を渡る姿はまさに映画アルマゲドン名シーンを彷彿とさせます。
あの時、脳内にエアロスミスが流れていたのは自分だけではないでしょう。
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「地球を救う事はできないが、ゴミをすくう事なら俺でもできる」
そんな熱い思いで16人のダイバー達はお堀にエントリーしていきます(ぜひ、頭の中であのBGMをかけてください)。
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待ち受けていた現実
ドブ臭を感じさせないほどの低水温
お堀に入ったダイバー達は、まずみんな口をそろえて一言。
「冷たい」
去年の水温17度に対し、今年は前日、前々日の雨の影響で13度とかなりの低水温。
この日は外気温が高いので温度差も大きく、より一層冷たさを感じます。
しかし、そのおかげで、過去に感じたドブ臭さを感じる事はあまりなかったような気がします。
ソムリエ風に表現すれば、過去2回は「沈んでいる葉っぱやコイのフンなどが発酵し、ふくよかで芳醇とし濃厚かつ重い感じのドブ臭さ」とヴィンテージ感満載でしたが、今回は「新緑の香り高く溌剌としたフレッシュなドブの匂い」とヌーヴォーを感じるような気がしました。
そうはいっても飲んだらお腹を壊しかねないような水である事に間違いはないので、レギュレーターを水につけないよう最初から口にくわえて水に入っていきます。
ナイトダイビングよりも真っ暗
透明度10㎝の中の作業
参加者全員で記念撮影をして作業開始。
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透明度は最初こそ10cm程度でしたが、手探りで見つけたゴミを引き上げると周りの泥が舞いあがり、視界はゼロ。
ナイトダイビングでライトを消してもココまで暗くはならないし、当然、美しい夜光虫を見ることもありません。
目視でのゴミ捜索は不可能なので、両手を水底につけ手を左右に振りながらゴミを探していきます。
手に何かの感触を感じてもまったく見えないので、一度水面に引き上げ確認をしてからゴミ袋に入れるという作業を続けます。
お堀の中にはスッポンも生息しているらしく、担当者に「スッポンに噛まれる事はないんですか?」と確認をすると「たぶん大丈夫です」と微妙な回答が返ってきました!
「たぶん」じゃ困る、と喰ってかかってもしょうがないので、大丈夫という言葉を信じで泥の中に手を突っ込みます。
スッポンに噛まれることはありませんでしたが、真横に人がいてもまったく見えないので、隣で作業していたダイバーに手をつかまれるというプチ・ドッキリはありました(笑)。
手の感覚で空き缶や空き瓶を回収、他にもスマートフォンやタブレット、カメラの望遠レンズ、デジタルカメラなど落とした人の気持ちも考えるといたたまれない物もたくさん拾い上げました。
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他のダイバーたちは、「大物だ!」といって、スーパーで使うショッピングカートを引き上げていました。
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水面に引き上げたゴミは、陸上で待機している10名のボランティアの方々に引き上げてもらいます。
花見に来ている観光客は、山積みになったゴミやスマホを見て「スゴーい」といいながら写真を撮っていました。
10台近くスマホやタブレット、ガラケーを回収しましたが「これ私のだ」と名乗り出る人はさすがにいませんでした(笑)。
結果は昨年の倍以上の成果!
恒例となる作業後のお楽しみも
作業時間は約1時間。
ゴミの総量は246kgと昨年の100kgに比べ、かなりたくさんのゴミを引き上げる事ができました。
残念なのは、これだけゴミを引き上げても、透明度が悪いので、綺麗になった実感がイマイチ湧かないという点です。
しかし、自然に帰ることがないゴミが溜まってゆけば、異臭問題も出るでしょうし、お堀に棲んでいるコイなどの生物にも悪い影響を与える事は間違いないでしょう。
たとえ見えなくても、綺麗にすることが大事なことだと思います。
清掃が終わったあとは、この活動に賛同してくれた企業や、個人商店の協賛品で作ったトン汁や唐揚げ、ご飯、お茶、みかん、などが振る舞われました。
陸上で手伝ってくれた市民ボランティアの皆さんと一緒に、花見をしならがら美味しくお昼をいただくことができました。
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冷えた身体に暖かいトン汁が身体にしみわたります。
活動に参加した方全員に、小田原市からは小田原城天守閣の入場券、万葉倶楽部からは協賛品として小田原万葉の湯の特別招待券が配られました。
終了後は各々に小田原を満喫したようです。
日本一綺麗なお塀に
これからも続くお塀清掃
今年で3回目となるお堀清掃ですが、全ての範囲を清掃した訳ではありません。
来年以降も定期的活動を続けて日本一綺麗なお堀を目指していきたいと思います。
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(写真・情報提供/石橋ダイビングセンター滝田叔歳)