リロアンでの水中写真の修行時代、偶然出会った決定的瞬間

撮影地:フィリピン セブ島 リロアン

体験ダイビングで『水面に突き刺さる雨を水中から見上げる世界』があることを知ってしまった僕は、すぐにライセンス取得を目指し、偶然webで見つけたフィリピンのセブ島の最南端に位置するリロアンに向かいました。

この段階でリロアンと出会えた事は本当に幸運だったなと思っています。
もし違う海に行っていたら、ダイビング、水中写真は続けていなかったじゃないかなと思うほど、この海と、知識豊富で魅力的なガイドさん達に導かれて、水中の世界により深く真っすぐに魅せられていきました。

当時、雑誌などで人物撮影を中心にカメラマンとして生活していた僕は、その後、当然のように水中写真を志すようになり、ダイビングスキルと水中写真の技術を身につける為、長い時で1ヶ月近くリロアン滞在し、多い日には5〜6本は潜るといった生活をするようになりました。

そんな時に出会ったのがこのシーンです。

カスリヘビギンポの捕食(撮影地:フィリピン セブ島 リロアン)

補食した相手が想定外に大きかったのか、カスリヘビギンポがサンゴの上でまったく身動きせずに固まっていたので、アングルを変えながらゆっくりと撮影出来たのです。

後に海外の雑誌などで何度も取り上げてもらった、この写真を撮影出来たのは本当に偶然です。
(実際、この海で5000本以上潜っている現地ガイドさんでも、このような捕食シーンは10回に満たないぐらいしか目撃していないとのこと)

しかし、特に自然相手の撮影において好条件で被写体を引き寄せる力がカメラマンの能力の一部である事は間違いありません。

決定的瞬間を撮影する為には、きちんと準備をして、より多くの時間を現場で過ごし、確率を上げることはもちろん必要ですが、そこから先は運の世界。

この思いから、道などに落ちているゴミなどを積極的に拾うようになりました。
『神様お願い、このゴミを拾いますから撮影の時はよろしくお願いしますね』
と念じながら。

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PROFILE
埼玉県生まれ。大学卒業後、フォトグラファー・山本光男氏に師事。
 2003 年より、フリーランスフォトグラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島へ の移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。 水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ 乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。 2009 年 National Geographic での受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティ の写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・ スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企 業の広告やカレンダーなどを撮影。 またミュージシャンのライブ撮影も行い、雑誌、WEB、広告などに作品を発表している。
 
HP:https://yusukeokada.com
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