あの日から丸3年。南三陸・歌津の海から~TSUNAGARI 3.11への想い~
あれから丸3年
2014年3月11日、南三陸町は歌津の海へ降り立った。
すべてを奪った海、すべてを攫った海、でもそのすべてを憎むことのできない海。
奪われたものを取り戻すかのように、ひとつずつひとつずつ、その手で取り戻してきた人たちかいる。
勝又三成率いるボランティア団体TSUNAGARIメンバーだ。
代表を務めるかっつんこと勝又さんは、東日本大震災の後すぐさま故郷南三陸の地へ戻り、全てを投げうってボランティア団体を作り、今日まで活動してきた。
「震災前のような三陸の海を取り戻す」ことを目標に掲げ、活動内容には、水中での瓦礫撤去・遺留品捜索、陸でも遺骨捜索、遺留品捜索、さらには地元の子供たちの「もう一度海で泳ぎたい」という声に応えるため子供たちと一緒に海水浴場再オープンを目指し、ビーチクリーン清掃を開始。
2013年の海の日に期間限定で海水浴場を再オープンさせた。
その姿勢に共感した人々が次々と集まり、仲間となり、それは3年たった今、日本全国の有志たちを繋ぐ、“TSUNAGARI”となった。
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2014.3.11活動報告。
長須賀海水浴場での捜索活動
3月11日は朝8:30にTSUNAGARI基地(勝又さんたちの活動拠点の名前)に集合し、受付を済ませます。
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全員がそろったら、ブリーフィング開始です
「今日という日をしっかりと心に入れてもらいながら想いを込めて探すことで何かに繋がる。そういうことが、遺族の方に伝わると思います。」
という勝又さんの言葉で一日のブリーフィングは締めくくられました。
今年は全員で「遺族や被災者に関係する品や遺留品を一つでも多く見つける」ことに焦点をおいた「捜索活動」という作業をやることになりました。
特に残された遺族は、骨、免許証、アルバム、写真など何でもいいから見つけてほしい、戻ってきてほしいと強く感じています。
TSUNAGARIで募集しているのはあくまで震災復興にためのボランティアをしてくれる人。
昨年も今年と同じ捜索活動でしたが、昨年はボランティアに参加する人数が多かった為、捜索活動はビーチクリーン・側溝堀り起こし・瓦礫の仕分けに分かれて行いました。
また昨年は漁師さんから依頼され、ワカメの仕分けチームも作り、みな分かれて活動しました。
昨年の様子はこちらをご覧ください。
あれから2年。3.11、南三陸町・歌津の海から。~「TSUNAGARI」三回忌供養~ | オーシャナ
毎年毎回必要とされる作業が違うので、“今、何が必要か”という判断もとても大切です。
9時10分、A~E班に分かれ作業を開始しました。
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ダイバーチームはE班です
今回捜索活動をする場所は、流れ着いたものはたくさんあるものの、3年間でまだ一度も手をつけることができていないところ。
TSUNAGARIメンバーが毎日のように活動していてもまだまだ手付かずのところはたくさんあります。
崖の斜面担当は、A・B班。
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林の間に挟まっているものを地面に投げ落としていきます
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どんどん溜まっていきます
C~E班は、砂浜の捜索を担当。
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スコップで掘ったり
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網でふるいにかけたり
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もちろん最後は全て手作業で見つけていきます
「骨と貝の区別がつかない」
衣類などは腐食していてもわかり易いですが、骨というのは見たことがない人が多いので皆どれが骨でどれが貝かわからないのです。
ずっとTSUNAGARIを支えてきた石田さんによれば、
「よく見ると全然違うよ、貝は線が入っている、骨はそうでもない。」とのこと。
「これは、動物かもしれないけれど、骨です。」と、その場ですぐに大きな骨を拾いあげました。
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捜索活動作業は11時で終了。
2014年3月10日・11日で、計55個の骨を見つけることが出来ました。
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勝又さんは捜索に関して、「もともと骨を探す目的でいつも捜索しています。遺留品は衣類などがたくさんありますが、持ち主がわからないため、名前が記載されているものを探しています。」と説明してくれ、さらに、「今回は2日間で55個の骨を見つけることができました。これは今までの中で最も多く、まだまだ陸も海も探せば可能性はあると思う。」と話してくれました。
見つかった骨は役場と警察に持って行き、動物のものか確認され、人間の骨と思われるものは東北大学で鑑定されます。
持ち主のわかるものは今までもいくつも持ち主のところに帰っています。
遺族や残された人たちの「探してほしい」という依頼があり続ける限り、TSUNAGARIは活動し続け、探し続けていきます。
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炊き出しは、“東北被災地に少しでも多くの笑顔を作ること”をミッションに掲げ、ハワイ・東京でメンバーが集まり被災地支援を進めているグループ「move 4 Japan」より焼きそばを、仙台の国分町にある韓国料理屋「han SALAN」さんよりスンドゥブ、チャプチェ、のり巻きを頂きました。
ハワイ在住の竹林さんは、「今ハワイで人気の麺“サンヌードル”の焼きそば麺を帰国時に100kg持ち帰り、本日は20kg持ってきました。また具材で使用したお肉は「ボランティア団体の方に持って行ってほしい」と北島康介さんのご実家が提供してくださったものです。」と話してくれました。
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move 4 Japanの竹林さん(右)と宇野さん(左)
han SALANの李さんは、「震災当初から国分町で炊き出しを行っていました。私は韓国人だけど、日本も韓国も同じくらい大切。だから、韓国料理で楽しんでもらえて、それが必要とされるのであればいくらでも協力したい。」と語ってくれました。
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左から、千葉さん、李さん、及川さん
昼食時は吹雪いており、凍えながらの食事となりました。
寒さを吹き飛ばしてくれたのは、捜索作業の感想を聞いて歩いていた時のこと。
「僕は何も見つけることはできなかったけれど、かけがえのないものを見つけられた、いい経験ができました」
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かけがえのないものを見つけられたと笑顔で語る男性(左)
2時46分、海へ
13時30分、数珠まわしを行いました。
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14時、お坊さんのお経と共に、ひとりずつお焼香をあげます。
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14時30分、5隻の船(うち2隻は取材班)に全員で乗り込み、沖へ向かいます。
海上を左に3度旋回し、警笛を鳴らします。
左に回るのは悪いことを追い払うため、反対に良いことがあった時は右に3回回ります。
これは漁師さんの海での儀式です。
2時46分、黙祷。
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お花と卒塔婆を捧げます
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卒塔婆
あれから3年。
風化しつつある震災の記憶。
しかし、ここに足を運ぶと忘れてはいけないことだと思い出します。
一人でも多くの人の心に留めておけるよう、これからも伝え続けていきたいと強く思います。
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