砂地の“マンタトレイン”を求めて。台風21号が来る前に!マンタポイント「ヨナラ水道」に潜り続けるPart.1

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ハイシーズンに4カ所で狙える
“マンタの棲む島”石垣島

この時期、石垣島にロケで潜りに来るのは初めて。
ここ何年も5月末に取材で訪れていることが多かったのだが、その時期だと、増え出したスズメダイやカエルウオの幼魚、サンゴの産卵などを撮影することが多かった。

しかし、今回のメインのターゲットは、“マンタ”。

そういえば、今まで石垣島に潜りに来ていて、マンタメインで取材したことはあまりなかった。
石垣島のマンタのハイシーズンは、6月から11月にかけて。
日本の他のエリアでは、冬の時期にマンタが見られる海が多い中、石垣島は、夏のハイシーズン=マンタのハイシーズンでもあるのだ。

石垣島のマンタポイントといえば、古くから潜られている「マンタスクランブル」。
その隣には、7年程前から潜られるようになった「マンタシティポイント」(以下「MCP」)がある。

「MCP」のサンゴの根の上でクリーニングを行うマンタ

「MCP」のサンゴの根の上でクリーニングを行うマンタ

また、小浜島と西表島の間のチャネル「ヨナラ水道」。
このポイントでは、かれこれ30年程前は西表側で多くのマンタが見られていて、「マンタの上を歩いて西表島から小浜島まで渡れた」なんて、まるで「日本昔話か!」というくらい、たくさん見られていた時期もあったそうだ。

しかし、それも今は昔。
しばらくは、まったくマンタが見られなくなっていた。
それが3年程前、今潜っているエリアが発見されてから、また頻繁に潜られるようになった。

さらに、昨年秋には、「パナリ」という新ポイントも発見された。

つまり、今、石垣島でマンタが見られるポイントは4つ。
夏のハイシーズンにマンタが見られるポイントが4カ所もあるのだ。

石垣島は、まさに、日本を代表する“マンタの棲む島”と言えるだろう。

「マンタスクランブル」から「MCP」を望む。これだけ近い距離に2カ所のマンタポイントがある

「マンタスクランブル」から「MCP」を望む。これだけ近い距離に2カ所のマンタポイントがある

台風21号が接近している中
「ヨナラ水道」でマンタに挑む

そんな中、今回「ヨナラ水道」にターゲットを絞って潜り続けた。

もともと、「ヨナラ水道」に潜れるタイミングで取材に訪れていた。
本当なら、この4ポイント全部で撮影したいところだけど、滞在期間中にフィリピン近海で台風21号が発生して、北東風が強く吹いていた。

石垣島のマンタポイントはすべて北風に弱いため、「ヨナラ水道」以外のポイントは潜りに行けない状態が続いていたというのも、今回ここに潜り続けた理由の1つでもある。

「ヨナラ水道」も北風には弱いが、他のポイントよりは水深が深いことと、チャネルの中であることから、ダイビングが可能な期間が長かった。

<他のマンタポイントとは違う! 「ヨナラ水道」の特徴>

「ヨナラ水道」の砂地を優雅に泳ぐマンタ

「ヨナラ水道」の砂地を優雅に泳ぐマンタ

1.チャネル内にあるクリーニングステーション
「ヨナラ水道」は、小浜島の西側と、西表島の東側にある、全長6km、幅約500〜900mのチャネルになっている。

その北東端にマンタがクリーニングに姿を見せる根が、砂地の海底に10個程点在している。
チャネルにあるため、潮の流れに左右される。狙い目は、下げ潮の潮止まり前。

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2.ドリフトダイビング
チャネルで、潮の流れもあるタイミングで入るので、石垣島としては珍しい、ドリフトダイビングが行われている。

マンタがいる根が水深24~28mの海底に10個程離れて点在しているために、その根を潮上からドリフトで確認しながらマンタを探す。
そのため、それなりのダイビングスキルが必要になる。
ビギナーダイバーが多い石垣島では、場合によっては潜れないと判断されてしまうこともある。

また、ショップによっては、ドリフトダイビングできないお店もある。つまり、「ヨナラ水道」には潜らないショップもあるので、もし潜りに来たければ、ダイビングのスキルアップ、それにドリフトダイビングができる、あるいは「ヨナラ水道」に頻繁に潜りに行くお店を選択する必要がある。

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石垣島では珍しい、フロートをあげて安全停止を行うシーン

石垣島では珍しい、フロートをあげて安全停止を行うシーン

3.大潮周りが狙い目
他のポイントと違い、大潮の下げ止まり前が狙い目という、限られたタイミングがある。
このチャネルは上げ潮だと、濁った海水がチャネルに流れ込んで来るために、透明度が下がってしまうという。

また、あまりに流れているタイミグで入ると、体を固定できず、あっという間にマンタがいるエリアを通過してしまうことになりかねない。

それに、下げの流れがしばらく続くと、その流れに乗って、マンタがクリーニングに姿を見せてくれるからというのもある。
そのため、潮の状況をよく考えてエントリーする必要がある。

4.10分間隔でエントリーするから渋滞がない
「ヨナラ水道」では、先に潜るボートのダイバーが、エントリーしてから10分の間隔を開けて潜るというルールがある。
そのため、他のポイントのように、ダイバーだらけになることが少ないから、かなり身近でマンタを満喫できる可能性が高い。

ちなみに、「MCP」は一度に潜れる船の数は、5隻までと制限されている。

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5.きれいな砂地でマンタが見られる
他のポイントは、サンゴの根の上でのクリーニングシーンを見るのが普通だが、ここは、真っ白な砂地にマンタがいるという、写真を撮影するダイバーにとっては、最高のバックグラウンドがある。
これが、「ヨナラ水道」でマンタを見る上での最大の魅力となっている。

また、砂地に体をこすりつけて、クリーニングをしているレアなシーンが見れたりすることも!

サンゴのがれ場の上を泳ぐマンタ。「マンタスクランブル」

サンゴのがれ場の上を泳ぐマンタ。「マンタスクランブル」

砂地を泳ぐマンタ。「ヨナラ水道」ならではの癒しのイメージだろう

砂地を泳ぐマンタ。「ヨナラ水道」ならではの癒しのイメージだろう

6.他のポイントでは見れないレアキャラに遭遇できるかも
ここでは、マダラトビエイ、カマストガリザメやトンガリサカタザメなど、石垣島ではレアな生物に遭遇できるチャンスもある。
今回も、カマストガリザメと巨大なアオウミガメに遭遇した。

カマストガリザメ

カマストガリザメ

アオウミガメ

アオウミガメ

トンガリサカタザメ

トンガリサカタザメ

このように、他のポイントがビギナー向けなのに対して、「ヨナラ水道」は、どちらかといえば中上級者向けのポイントだが、カメラマンとして、どこのポイントでマンタを撮影したいかといえば、やはりこの「ヨナラ水道」で複数枚のマンタが隊列を組んで泳ぐ、通称、砂地の“マンタトレイン”を撮影したいと思うのが普通だろう。

ということで、そんな“マンタトレイン”を夢見て、ダイビングチームうなりざき石垣店の協力を得て、台風の影響で潜れなくなるギリギリまで、今回「ヨナラ水道」を潜り続けた。

その結果や、いかに……!? (Part.2に続く)

おまけの被写体。

水深も深く、あまり長く潜っていれるポイントでは無い(ボトムタイムは10〜15分)のだけど、もし余裕があったら、撮影におすすめなポイントが1ヵ所ある。

それは、点在する根の一番最後の根の上にキンメモドキの群れとアカハタが棲んでいる、ナンヨオウキサンゴとピンクのソフトコーラルが群生するカラフルなポイント。

しかも、見上げて撮影ができる。
もし、流れがゆるくて、マンタが出なかったり、エアに余裕があるのであれば、ここでの撮影もしてみると、結構気に入った写真が撮れるかも。

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Supported by ダイビングチームうなりざき石垣店

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「ヨナラ水道」のマンタダイビングなら、うなりざき石垣店で!
ビギナーからベテランまで、石垣島でのダイビングを満喫させてくれる、元気いっぱいのスタッフがお出迎え。

2艇のダイビングボートを駆使してダイビングが楽しめるので、ポイント選択の幅も広い。サンゴの産卵にも力を入れていて、データも準備しているので、自分に克てる(お酒<サンゴ)という方は、リクエストを! 2018年の「ヨナラ水道」マンタ狙いの日程は、お問い合わせください。

沖縄県石垣市浜崎町3丁目2-1-102
TEL.0980-88-6644
FAX. 0980-87-0145
E-mail:info-ishigaki@unarizaki.com
URL:http://www.unarizaki.com/ishigaki

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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