セールフィッシュスイム、3日連続スイム
この日も6時出航。波は相変わらずだ。初日、2日目とダウンしていたT君、そろそろ復活してもらわなくては、と思ったのだけど、この日も船が出るなり、横になって眠ってしまった。
そろそろ写真撮ってもらわないと、と思うのだけど、こればっかりは慣れるしかしょうがない。
2日連続でフィッシュボールの捕食を見れているから、そろそろ厳しいかな〜と内心思っていたのだけど、8時台には、鳥山を見つけ、エントリー体勢に。
しかし、一緒にいたフィッシングボートが何故か鳥山の真上を通過。その途端に鳥山は崩れて、四散。どうやらフィッシュボールは、バショウカジキたちともども、海中へと潜ってしまったようだ。
「な〜にやってんだよ〜」と失笑してしまった。スキッパーのロヘリオも、苦笑していた。しばらく様子を見ていたが、それ以降、鳥山が再生することは無かった。
諦めて別の鳥山を探すためにゆっくりと移動を開始。それと同時にロヘリオが、「フィッシングの仕方を知らない、素人だな、あいつら。鳥山の真上通過するなんて」と呆れて言った。(あ、やっぱりそうなんだ)と思い、「どこから来た船?カンクン?ムヘーレス?」と訪ねると、「カリフォルニアだよ」とのこと。
要するに、よそ者で、無線で連絡しても非協力的なのだと言う。無線で釣り方のノウハウを伝えても、無視なのだそうだ。まあ、慣れない場所で慣れない物を釣ろうとするのだから、しょうがない。
しかし、事、セールフィッシュスイミングに関して言うと、このフィッシングボートとの友好関係無くしては、成り立たない部分もある。ある意味、フィッシングボートにしてみれば、僕らセールフィッシュスイマーは、邪魔者なわけだ。僕らが海に入って群れと泳いでいる間は、危ないから釣り糸を流せない。
しかし、この日は3 Kings Dayと呼ばれる祭日でフィッシングボートの数も多い。多いときには、50隻以上ものレジャーフィッシングボートが近海に繰り出す。ラッシュアワー状態だ。当然鳥山の周囲には、沢山の船が集まってくる。そんな中でセールフィッシュスイムを行なうには、お互いに信頼関係が無ければ成り立たない。
僕が彼らと一緒にこのセールスイムをすることに決めたのは、元来がフィッシングチャーターの会社で、他のフィッシングボートとも、長年情報交換をし合う仲を築き上げているからだ。
どこかで鳥山が立てば、どこかの船からすぐに連絡が入る。もちろん、こちらが鳥山を見つけたら逆に教えてあげる。だから、僕らが泳いでいる間は、フィッシングボートは、泳ぎ終わるまで待っているし、僕らもフィッシングが終わるまで待機している。そういうやり取りを見ていても、気持ちがいい。
この日は、昨日のようには鳥山が沢山は立っていなかった。しかし、どこかの船からの無線で、ロヘリオは鳥山のいるポイントへ的確に船を移動させる。まだフィッシングボートがいるが、「もう奴らは2〜3匹バショウカジキを釣っているから、こちらに譲ってくれるそうだ。すぐ用意して」。とエントリーを促す。
この日も、70~80匹の群れが、イワシのフィッシュボールを追走していた。最初は止まる感じではなくて、移動していたが、この群れの数でフィッシュボールの小ささからいくと、もう少しで止まりそうだった。
自分は、昨日のように必死でダッシュを続け、群れとの距離をキープした。他のメンバーは2~3回、船に戻っては前に回り込み、落としてもらっていた。
しばらくすると、逃げ場を失ったイワシたちが、逃げる抵抗を諦めて、同じ場所に留まり始めた。皆、ここぞとばかりに撮影をする。もちろんバショウカジキもここぞとばかりに捕食を始める。そして、空にはグンカンドリたちの姿も。
この日、T君もかなり船酔いに慣れたのか、かなり長く撮影に加わっていた。それを見ていて、少しほっとした。しかし、やはり途中で波酔いしたらしく、同じく、波酔いしたSさんと一緒にリタイア。少しは気に入った写真が撮れていればいいんだけど。
1時間半程して、まだイワシは10数匹残っていたけど、回りを見ると、フィッシングボートだらけだった。最初にいた70~80匹のバショウカジキも、いつの間にか、10数匹に減っていた。
多分僕らのスイミングが終わるのを待っているのだろうと思い、残って一緒に入っていた、YさんとKさんに、「戻りましょう」と合図して、船に戻った。
ロヘリオが「あれ、もう全部食べられたのか?」と訪ねてきたので、「いや、船が沢山待っていたから、全部食べたらバショウカジキがいなくなるので、残して戻ってきた」と伝えたら、ニヤッと笑って、他の船に無線で何やら連絡していた。
その直後に、何隻かの船がその鳥山にアプローチをかけ始めた。
3日連続で泳げたのは、本当に運が良いと思った。何故って、あのプロ意識の強いスキッパーのロヘリオとウワンが、「今日は昨日みたいに鳥山多く無いから、もうゆっくり島に向かって移動しながら探そう」と言って、くつろぎ始めた事だ。
彼ら的には、「相当に見せた」感があると感じた。ずっと荒れた海に出続けてくれたし、この先もあるし、すでに2人がダウンしてもいるし、この日は、早めに切り上げて帰ることにした。港に着いたのは、1時だった。