2012年最大の懺悔・思い込み~耳抜きしやすくなるマスクの嘘~
浮上するときは給気ボタンを押すものだとばかり思っていて、いつも急浮上をしていたダイバー。
バンカーボートでのジャイアントエントリーは、アメンボの足のように伸びたアウトリガーの部分を綱渡りのように渡ってするものだと思って恐怖におののいていたダイバー。
やたら減圧理論で頭でっかちになって、潜るたびに減圧症の心配しているダイバー。
思い込み。
誰にでもあることかもしれません。
魚、スキル、写真…、ダイビングの分野でもよくあることですが、僕の2012年最大の思い込み。
それは……
「耳抜きを良くするマスク」といううたい文句で売られていることも多いですし、実際に使っている人も「いや~、耳抜きが楽になりました」と言っているのを実際に聞いていたので、“なんとなく”そう思っていました。
マスクと耳をつなぐことによって常に圧平衡の状態を作り出しているので、鼓膜も圧迫されることなく耳抜きがしやすいんだろうな~と“おぼろげに”思っていて、人に聞かれてもそんな風に答えていました。
しかし、三保耳鼻咽喉科院長の三保仁先生と外耳道スクイーズについてお話しているときに(この話はいずれ)、このマスクの話が出てきて、「耳抜きが良くなるという間違った紹介は困ったもんですが、外耳道スクイーズには有効で……」
え? 耳抜きがしやすくなるんじゃないんですか?
「え? て、寺山さん…」
お恥ずかしながら、そう思い込んでいました…。
「残念ながら理論的には全くそんな効果があるはずもなく、意味が分からない商品です。
耳が水につかっていなければ耳が抜けると言うのであれば、飛行機に乗っている人は絶対に耳抜き不良を起こさない事になりますよね?
気圧が高まることによって鼓膜の内側の空気が収縮するのですから、鼓膜の外側が空気だろうが水だろうが関係なく耳抜き不良は起きます」
な、なるほど!
「て、寺山さん……」
ということで、思い込んでいたことに気がつくと共に、「結構、人にススメちゃったかも……」と冷や汗たらり。
ここに懺悔します。
この耳抜きがしやすいといわれているマスク、実際にそうしたうたい文句で売られていることもありますし、割とプロでも思い込んでいる方も少なくないと思いますので(お前だけだよ!と言われるかもしれませんが…)、皆さんもお間違いなく。