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iQOS(アイコス)なら大丈夫? 新しいタイプのタバコとのつき合い方を考える閲覧無制限

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アイコス タバコ

喫煙は“ゼロ”じゃないと意味がない!?

近年、電子タバコ、加熱式タバコなど、新しいタイプのタバコが続々登場。

紙巻きタバコよりも煙や臭い、有毒物質などが少ないことで注目を集めています。
そこで、改めてタバコの悪影響を知るとともに、新しいタイプのタバコとどう付き合っていくべきか、山崎内科医院の山崎博臣先生に現時点での見解をお聞きました。

【プロフィール】
山崎博臣 先生
昭和59年埼玉医科大学卒業。平成3年より山崎内科医院(東京都小金井市)院長。内科学会認定総合内科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本医師会認定健康スポーツ医。ダイビング経験1300本以上のSTARS ワンスターインストラクター。

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タバコの悪影響をおさらい
高まる健康リスクを理解しよう

喫煙が気胸や肺機能障害の要因になることは、多くのダイバーの知るところですが、山崎先生に改めて、喫煙が呼吸器に与える影響をうかがいました。

「喫煙は、タールに含まれる発がん物質により、肺がんのリスクが高まるのみならず、フェノール、クレゾール、シアン化水素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、カドミウム、窒素化合物などの毒物により、繊毛細胞障害、分泌亢進、組織破壊、気管支壁の線維化、炎症細胞の活性化などをきたし、肺、気管支の障害に関与します。

また、一酸化炭素を多量に含み、この一酸化炭素は、ヘモグロビンの200~300倍くらい酸素に結合しやすいため、組織への酸素供給を減少させ、息切れなどをきたし、運動能力が低下します」

また、長期間にわたる喫煙は、呼吸機能の低下も引き起こす可能性がある、と続けます。

「喫煙者の10~15%が慢性閉塞性肺疾患(COPD)、つまり、末梢気道が細くなりさらに肺が破壊されいつも苦しい状態になってしまいます。慢性閉塞性肺疾患とならない人でも、正常者より肺機能が低下し、日常生活が困難になるんです」

しかも、自分では肺機能の低下を自覚していないことが多いのだとか。
現在、自覚症状がなくても、喫煙をする以上は、肺の状態に気を配る必要があるといえます。

次に、喫煙がダイビングに与える影響を聞きました。

「慢性閉塞性肺疾患になると、末梢の気道が細くなり、それにより末梢の空気が出にくくなります。ダイビングの浮上のときに、空気が膨張し肺胞という袋が破裂し、動脈ガス塞栓、気胸を起こし、非常に危険な状態になる危険性があります。そのため、ダイビングは禁止となってしまいます。もちろん、酸素の運搬にも障害をきたすので、運動能力が低下します。日本高気圧環境潜水医学会においても高齢者の事故の多さを受けて、今後、呼吸機能検査を行うことにより、慢性閉塞性肺疾患を事前に発見しようという動きが出てきています」

たとえ、慢性閉塞性肺疾患になっていなくても、診断上、慢性閉塞性肺疾患と言わないだけのこと。
喫煙者は、多かれ少なかれ動脈ガス塞栓や気胸のリスクが高くなり、運動能力も低下するのです。

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iQOSのメリットは本当か?
危惧される新たな悪影響とは

近年、火を使わず煙が出ない、そして、有毒物質が少ない、副流煙が少ないといったタバコが次々に発売されています。

専用の液体リキッドを加熱し、その蒸気を吸う電子タバコ注1、タバコの葉を加熱して、その蒸気を吸う加熱式タバコなどが、主なものです。

特に、平成26年に発売された非燃焼・加熱式タバコ「iQOS(アイコス)」は、売り切れを起こすほどの人気となりました。
臭いが少なく、副流煙も少ないことに加え、有毒物質が約90%減じられているとPRされています。

「確かに臭いが少なく、灰が出ないので周囲に嫌がられにくいでしょう。有毒物質が少ないので健康被害が少なくなる可能性はあります」

メーカーからは、動物実験の結果、健康被害が少ないというデータが出されています。
ただ、中立的な調査結果はまだ少ない状態です。

「まだエビデンスが整っていない状態なので、今後のパブリックな調査結果を待ちましょう。ただ、明確なデータが出るまでの間に、健康被害がない(あるいは少ない)、周囲の人の迷惑にならないと勘違いした人が増え、せっかく減少してきた喫煙者が再び増えることが危惧されます」

また、iQOSの“臭いが少ない”という特徴が、二次的な副流煙被害を引き起こす可能性もあります。

「臭いが少ない、灰が出ないということは周囲に迷惑をかけないことにはつながりますが、逆に周囲が気にしないことをいいことに、大量の喫煙をしてしまう可能性があります。注2 副流煙もないわけではなく、周囲が気づきにくいだけです。知らないうちに受動喫煙をしていた、という事態も起こりえます」

喫煙はゼロにしないと意味がない
新タバコ黎明期にどう付き合うか

2016年4月11日には、一般社団法人 日本禁煙学会が「いわゆる「新しいタバコ」に対する日本禁煙学会の見解」を発表しました。
HPより一部を引用します。

近年、煙の出ない、あるいは煙の見えにくいタバコが次々と販売され、新たな健康へのリスクが懸念されている。
新しいタバコは「健康リスクが少ない」「受動喫煙の危険がない」と誤認されているが、紙巻きタバコと同様に依存性があり、発がん物質を含む有害物質を含んでおり、使用者および周囲の人々に危害を及ぼす。

有害物質の少なさにメリットを感じて、新しいタイプのタバコに手を伸ばす人も多い状況ですが、立ち止まる必要がありそうです。

「喫煙により障害を受けた部分は元に戻りません。1本でも喫煙していると肺の破壊は進んでいきますが、やめてはじめて、非喫煙者と同様、加齢による肺機能の低下のみに戻ります。もちろん、軽いタバコに替えるというのも、前述のとおりあまり意味がないでしょう。有毒物質も少ないだけであり、紙巻きタバコと同じ成分が含まれています。紙巻きタバコでは、本数を減らしたり、軽いタバコに替えても健康被害に影響はなかったというデータも出ているので、有害物質を約90%減らしたところで、どれだけ健康被害を減らせるか疑問ですね」

つまり、本数を20本から5本に減らしたところで、それでは50歩100歩ということ。
節煙をゴールにするのではなく、あくまでも禁煙への過程ととらえるべきでしょう。

「喫煙者がゼロになることは、なかなか難しいと思われます。新しいタバコを少しは紙巻きタバコより健康被害が少ないと仮定し、喫煙者がすべて紙巻きタバコからiQOSなどに移行、新たに非喫煙者、既喫煙者からiQOSなどの使用者を作らないようにする。その後、さらに安全なタバコ代用品が開発されればそちらに移行し、最終的には極力使用者をゼロに近づけるという考え方がいいのではないでしょうか。現在、東京都医師会などで研究が進められており、iQOSや電子タバコなど、新しいタイプのタバコに対する見解がまとめられると思われます。その研究結果を待ちたいです」

肺機能を活発に使うダイバーにとって、呼吸器にダメージを与える行為はできる限り避けたいものです。

新しいタイプのタバコも有害物質は少ないとはいえ、タバコはタバコ。
禁煙することが一番ですが、喫煙の際は、少なくともマナーを守り、周りの人に配慮することが必要です。

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「いわゆる「新しいタバコ」に対する日本禁煙学会の見解」より一部抜粋
一般社団法人 日本禁煙学会HPより)
1) 紙巻きタバコと同様にニコチンが含まれる。したがって、呼気にもニコチンが含まれ、受動喫煙による急性心筋梗塞などのリスクがある。
2) 紙巻きタバコと同様に種々の発がん性物質が含まれる。したがって、肺がん・口腔がん・胃がん・腎臓がんなどのリスクがある。
3) 紙巻きタバコと違い、発生する有害物質が見えにくい。したがって、周囲の人々は受動喫煙を避けられず、かえって危険である。
4) WHO「タバコ規制枠組条約」(FCTC)の第6回締約国会議が決議したように、喫煙者をタバコの健康被害から守り、その呼気から非喫煙者の健康を守らなければならない。
5) すべてのレストランやバーを含む公共の場所・公共交通機関での使用は認められない。

【注釈】
注1:日本においてはニコチンを含有したものは禁止されている。ただ、ニコチン以外の有害物質による健康被害が懸念されている。
注2:そのため日本では喫煙所でのみしか使用が許可されていない。

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