座間味島の全ダイビングショップが最高ランクの理由 ~沖縄県の新たな安全基準・SDO認証制度~
2018年4月、日本屈指のダイビングリゾート地として知られる沖縄でスタートした、Safty Diving in Okinawa(以下、SDO)の認証制度。
沖縄独自の健全なダイビングショップやガイドを認証し、ダイバーが安心して潜れるダイビングショップ選びの基準となり、ダイビング産業の健全な発展と地域の活性化を目指すために導入された制度だ。
無秩序にダイビングショップが乱立することによる、サービスの質の低下や環境破壊、ひいては、ダイビングの大前提となるダイバーの安全が脅かされることに対する危惧を背景としている。
ダイビングショップとインストラクター・ガイドに対するランク認証制度。
警察と連携する(財)沖縄マリンレジャーセイフティービューローが認証し、官民一体で沖縄観光を担う(財)沖縄観光コンベンションビューローが、消費者や観光関連事業者へ認証マークの推奨を行っている。
※認証ランク・基準の詳細はこちら
沖縄の多くのダイビング事業組合や協会が参加しているとはいえ、まだスタートしたばかり。
制度の課題改善はもちろん、ダイバーへの認知、そして、ダイビングショップの加盟もこれからというフェーズだが、いち早く導入したのが、日本屈指のダイビングアイランド・座間味島だ。
全ショップが認証済みのみならず、全ショップが認証制度最高ランクの“プラチナ・プロフェッショナルショップ”である。
そんな、SDO認証制度のモデルケースともいえる、座間味島の取り組みを紹介する。
安全のためには“協力”と“経験”が必要
全ショップ最高ランクの理由
「私たちダイビング事業者が絶対に守るべき“ダイバーの安全”と“美しい海の保全”のためには、事業者同士が協力・連携する必要があります」と言うのは、座間味ダイビング協会会長の又吉英夫さん。
賛助会員も含め会員数は29(2018年9月現在)。
入会するための協会細則は、一見、厳しくも見える。
特筆すべきは、協会員になるためには、座間味島に10年以上在住し、10年以上ガイド経験を有するものしか会員になることができないという点だ。
※沖縄本島から潜りに来るショップは協会員ではなく、潜る海も制限される
新規参入という点では是非もある。
それでもとガイドたちは言う。
「ガイドという仕事は、まずは、その海のことをよく理解しなくてはいけない。それにはどうしても経験が必要です」
「海域保全は、基準に基づく協力が重要で、この連携があるからこそ座間味島の美しい海を守っていけるのだろうと思います」
無秩序なダイビングショップの乱立で、安全と海がおびやかされる脅威に対して100点の対策がない現状の中で生まれた、島の理念に基づく選択なのだ。
実際、沖縄の中でもいち早くサンゴ保全に取り組み、エコツーリズムのフラッグシップアイランドとして注目されている。そして、ポイント利用のルールや安全対策により、ここ何年もダイビング事故が起きていない。
そんな自助努力を重ねてきた最中にスタートしたのがSDOによる認証制度。
認証に必要な安全基準はもちろん、難しいとされていた認証制度の最高ランク“プラチナ・プロフェッショナル”の肝である“10年以上”という資格は、そもそも協会基準によってクリア。記録も残っているので、沖縄ダイビングエリアの中でも唯一の全店プラチナに認証されたというわけだ。
これまでの取り組みが、SDOによってプラチナ・ダイビングアイランドとしてブランド化され、よりダイバーに、安心して潜れる魅力的な島であり海であると認知されるだろう。
SDOとのコラボで、
レスキュー体制がアップデート
SDO認証の条件の中に、毎年、SDO主催のCPRとレスキュー講習の受講がある。
本来前提となる安全がコスト削減の対象となるケースもあり、パブリックに近いSDOが主催する意義は大きい。
CPRやAED、引き上げなどの個人的のスキル確認・アップデートはもちろん、ダイビングショップの連携から病院搬送の手順まで、開催地の状況に合わせた実践的な講習が行われている。座間味島では、連携の強さを活かして、より島全体で緊急体制の構築に力を入れている。
新たなダイビングショップ選びの基準を目指して
いざ、全世界のダイバーの憧れの海、沖縄へ! と思ったときに、まず悩むのがダイビングショップ選び。
そんなとき、オール沖縄で作った基準があり、認証ショップやガイドをひと目でわかるのは、ダイバーとしても安心だ。
スタートしたばかりの認証制度の課題は、加盟店を増やし、ダイバーに認知されること。
座間味島をフラッグシップとして、沖縄全域のダイビングショップが共感し、徐々に参加しつつある。
我々ダイバーがSDO認証店を基準にショップ選びをすることは、ショップ側にもメリットとなり、引いては、沖縄の美しい海を守り、沖縄ダイビングの安全を支えることにもなるはずだ。
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