10年ぶりに久米島でマクロ写真をじっくり撮影!3日間でめぐった久米島ダイビングポイントと出会った生物たち

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こんにちは、水中写真家の上出俊作です。

先日、沖縄本島から西へ約100㎞に位置する離島、久米島に行ってきました。

大物パラダイスの久米島で
マクロに没頭!

久米島のダイビングと言うと、トンバラでのハンマーヘッドシャークやイソマグロ、イマズニのギンガメアジ、あるいは、最近ではマンタポイントも有名ですよね。

今回は、そんな大物好きダイバー垂涎の海で、激流の中泳ぎまくって豪快な水中ワイドを撮ってきた…わけではありません。笑

実は昨年、僕のフォトセミナーに来てくださった方から「久米島のマクロも面白いよ」という話を聞いていたんですよね。

それから、久米島のマクロがずっと気になっていたんです。
というわけで、お正月明けの3日間、マクロ中心で久米島の海を潜ってきました。
今日は僕なりに、10年ぶりに潜った久米島の魅力を紹介できればと思います。

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(キスジカンテンウミウシ 撮影ポイント:ノースライン)

今回お世話になったのは、マクロ&フォト派に人気の「ネプチューン・ダイバーズ」さんです。
ガイドをしてくれたは、久米島生まれ久米島育ち、島と水中写真を心から愛する二代目オーナーの今井主海(かずみ)さん。

年齢が僕のひとつ下と同世代だったこともあり、沖縄の海や水中写真について、夜は泡盛を飲みながら熱くダラダラと話しました。
僕の写真に対してもお世辞全くなしでコメントしてくれたので、気持ちよかったですね。

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さて、早速海の話に移りましょう。

久米島イチュンザ沖で
モンツキカエルウオを撮影

初日の朝、「久米島らしいマクロってどんな生き物でしょう?」とかずみさんに尋ねてみると、「モンツキカエルウオを久米島ではけっこう推していますね」とのこと。

早速、イチュンザ沖というポイントに連れて行ってもらいました。
ちなみに、モンツキカエルウオをコンスタントに見られるポイントは他にもいくつかあるそうです。

モンツキカエルウオは水深5m前後の浅場に生息しているので、安全停止を兼ねて撮ることに。

比較的深いところまでサンゴが綺麗なポイントだったので、ダイビング前半はサンゴについた可愛い生き物を撮りつつ、浅場で僕たちを待ってくれているモンツキさんに思いを馳せます。
集中してないわけではないですよ。笑

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(メガネゴンベ 撮影ポイント:イチュンザ沖)

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(イバラカンザシ 撮影ポイント:イチュンザ沖)

いよいよこの時がやってきました。
お待ちかねの安全停止タイムです。

棚上に上がってくると、早速かずみさんが指示棒を小さな穴に向け、モンツキカエルウオの住処を教えてくれました。

やはり、可愛い。

しかし、普通に撮ると、よくある写真になってしまう。
どうやったら新鮮な画になるかなと悩んだあげく、こんな感じに仕上がりました。
自分ではけっこう気に入っているのですが、どうですかね?やっぱり正面から撮った方が可愛かったかな?

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(モンツキカエルウオ 撮影ポイント:イチュンザ沖)

ちなみに……なんと、撮影した個体以外にも、モンツキカエルウオがたくさんいました
割とレアな生き物だと思っていたのでびっくりです。

ちょっと拍子抜けしたのはここだけの話ですが、好きな個体を選んで撮影できるというのはありがたいですね。

久米島ノースラインで
抱卵中のクメジマオトヒメエビを狙え!

2日目の朝かずみさんと会うと、僕が聞くまでもなく、久米島らしい被写体を提案してくれました。
この日のお題は、スミレナガハナダイとクメジマオトヒメエビです。

スミレナガハナダイは珍しい生き物ではありませんが、久米島ではたくさんいて、しかも撮りやすいとのこと。

ウーマガイというポイントで撮影したのですが、僕の力不足で、思ったように撮れませんでした…
なので、スミレナガハナダイの話はこれで終わりです。笑

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(スミレナガハナダイ 撮影ポイント:ウーマガイ)

さて、この日もう一つのお題に話を移しましょう。

クメジマオトヒメエビという名前は、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?
実は僕も、そんなエビがいることは全く知りませんでした。
久米島の固有種というわけではないそうですが、比較的珍しいエビだそうです。

「サイズは普通のオトヒメエビくらいですか?」とかずみさんに聞いてみたところ、「オトヒメエビよりも大きいですよ」とのこと。

「オトヒメエビってただでさえ大きめのエビなのに、それより大きいってどんだけー」と心の中で呟いてしまいました。

クメジマオトヒメエビが見られるのは、ノースラインという島の北側にあるポイント。
久米島の深い青に吸い込まれるようにドロップオフを降りていくと、そのエビが住む洞穴があります。

水深が深く時間もあまりかけられないので、早速撮影に取り掛かりました。
暗くて狭い所にいるので、撮影の難易度はけっこう高めでしたね。

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(クメジマオトヒメエビ 撮影ポイント:ノースライン)

お腹のあたりがソーダのような水色になっているのがわかりますか?

エントリー前にかずみさんから「ペアでいるので、たまに抱卵していることもあります。卵が、今上出さんが履いているサーフパンツみたいな青色なので、抱卵してればすぐわかると思いますよ。」と教えてもらっていました。

「さすがにこんな青は自然界にはないだろー」とやはり心の中で呟いていましたが、ありましたね。水中で気づいた瞬間笑ってしまいました。

砂地っぽいワイドが撮りたい!
デバスズメダイをワイドで撮影

初日と二日目は、冬には珍しい南風だったので島の北側を中心に潜ったのですが、三日目は風が北に回ったので、島の南側を潜りました。

久米島は島の北と南どちらにも、大物ポイント・マクロポイントが揃っているので、どんな季節でも楽しめるという強みがあります。

一言で島の南側と言ってもいくつかのエリアに分かれるのですが、この日潜ったのは砂地エリアです。
たどり着くまでにかなり水深の浅い海域を通らなければならないため、今では砂地に行くショップはかなり限られているんだとか。

ちなみに、今回はマクロ中心と言いましたが、実は初日・二日目共にちゃっかりワイドも狙っていました。
初日は最近話題のマンタステーションでナンヨウマンタ狙い、二日目はイマズニでギンガメアジ狙いです。

しかし、2日間とも大物運に見放され、マンタもギンガメも遭遇できず……イマズニでは、保険で持っていったマクロ用カメラが大活躍でした。

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(キンチャクガニ 撮影ポイント:イマズニ)

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(ブチウミウシ 撮影ポイント:イマズニ)

というわけで、大物じゃないにしても1枚くらい青い写真が撮りたいなと思い、3日目は「砂地っぽいワイドが撮れたら撮りたいですね」なんて話をかずみさんとしていたんですよね。

結論から言うと、ムーチーグーというポイントが僕にとっては大当たりでした。

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(デバスズメダイ 撮影ポイント:ムーチーグー)

ブリーフィングで「デバスズメダイをワイドで撮っても面白いかも」とアドバイスをもらっていたので、カメラはワイド用とマクロ用、2台持って入りました。

ワイドで写真映えしなさそうならすぐマクロに切り替えようと思っていたのですが、長い年月をかけて育ったのであろう立派な珊瑚と、そこで所狭しと暮らす大ぶりのデバスズメダイを見た瞬間、思いました。

「これはワイドだ」と。

デバスズメダイたちは、僕が少しでも動くと一斉にサンゴの家に戻り、じっとしていると示し合わせたように外の世界に飛び出してきます。

そんな光景を愛らしく感じながら、30分ほど夢中でシャッターを切り続けました。

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(デバスズメダイ 撮影ポイント:ムーチーグー)

砂地のポイントでは、もちろんいろんな生物と出会ったのですが、個人的には綺麗な所に乗っているウミタケハゼが多いように感じましたね。

まあ、元々ハゼが好きだから、目に付きやすいということもあるのでしょうが。

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(ウミタケハゼの仲間 撮影ポイント:ムーチーグー)

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(アカスジウミタケハゼ 撮影ポイント:ムーチーグー)

3日じゃ足りない!?
久米島でのんびりダイビング

3日間のダイビングを終えた時、真っ先に浮かんだのは「もっと長くいたいな」という思いでした。

久米島の海は表情の異なる様々なエリアに分かれているため、3日ではその全容を掴むことはできません。

潜る季節やお世話になるショップによっても、全く違った楽しみ方ができると思います。
今回の僕のように、マクロの得意なショップでじっくり撮影してもいいし、ワイドが得意なショップでガンガン潜るのもありですね。

最近は沖縄の「離島」と言っても、元の素朴な雰囲気を残す島は少なくなりました。
久米島は、良い意味であまり観光地化されていませんし、賑わってもいません。
のんびりダイビングをしに行くには、本当にいい所だと思います。

僕は必ず、また久米島に行きます。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

撮影・取材協力:ネプチューンダイバーズ

上出俊作さん
プロフィール

水中写真家上出俊作氏

2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えきれなくなり、製薬会社を退職し沖縄本島に移住。現在は「水中の日常を切り取る」をテーマに、海で暮らす生き物たちの姿を撮り続けている。

▶上出俊作さんのブログ「陽だまりかくれんぼ」
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writer
PROFILE
1986年東京都生まれ。
2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えられなくなり、沖縄本島の名護市に移住。
「水中の日常を丁寧に切り取る」というテーマで、沖縄を中心に日本各地の水中を撮影。
ブログ「陽だまりかくれんぼ」や写真展などのイベントを通して、水中写真と沖縄の海の魅力を発信し続けている。
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