他人事ではない、薬を服用時にダイビングを行うリスク

この記事は約3分で読めます。

こんにちは。高野です。

前回の記事では、健康診断の受診、そしてその結果についてお話をさせていただきました。
健康診断を受けていないプロダイバーが15%という調査結果 | オーシャナ

セブ島のマクロ(撮影:越智隆治)

今回は常用薬について、質問紙から見た結果をお話しします。

常用している薬はありますか?という質問をさせていただきました。
結果は以下の通りです。

常用薬の有無(インストラクター)n=134

常用薬の有無(インストラクター)n=134

常用薬の有無(一般ダイバー)n=451

常用薬の有無(一般ダイバー)n=451

インストラクターは、134名中87%(116名)が「常用している薬は無し」、12%(16名)が「あり」、また、一般ダイバーにつきましては、451名中88%(396名)が「なし」、10%(46名)が「あり」と回答しています。

次に、一般ダイバーで「常用している薬がある」と回答した方(46名)を対象に、「常用薬についてダイビング時に報告していますか?」という質問をしました。

常用薬についての報告有無(一般ダイバー) n=46

常用薬についての報告有無(一般ダイバー) n=46

結果は、46名中「毎回報告をしている」と回答した人は、35%名(16名)、「たまに報告している」は11%(5名)、「報告していない」は54%(25名)でした。

以上の結果から、報告していないことに対していくつかのことが想像できます。
(あくまでも想像です)

  • 服薬については、既にインストラクター、ガイド、バディに報告しているので、今は報告していない。
  • バディ潜水をしているが、敢えてバディには報告していない。
  • 自分自身のことだから、報告する必要はないと思っている。
  • 薬を服用していると、ダイビング活動をとめられるかもしれないから報告しない。
  • 医師の診断書をもらうのが面倒くさい。
  • 酔い止めくらいだったら大丈夫だろう。
  • ダイビング活動にあたり、薬によってはリスクを伴うことを知らないで服薬している。

などなど。
その他、色々なことが考えられますよね。
 
今回の調査の中では、常用している薬がダイビング活動時に飲んでも大丈夫なものなのか、ダメなものなのか、どんな成分のものなのか、またダイビング活動を理解されているドクターが、ダイビングを行うことを前提に処方したものなのかなどは分かりませんが、常用している薬があるということは、薬を飲まなければならない何らかの理由を体に抱えているかと思います。
 
水中活動中、薬の副作用による体調不良や事故の話を耳にします。

もし、何も考えずに服薬をしてダイビング活動をされている方がいらっしゃれば、ダイビングのことをご存知なドクターに一度相談して下さい。

そして、服薬している(する)人は、ダイビング予約時(または計画時)に、インストラクターやガイド、バディに対してそのことを伝え、場合によっては医師の診断書を持参することが必要です。
 
ダイビングを「遊び」と捉えている人は少なくないと思います。
ただ、現在の日本で起きたダイビング事故後の背景を考えると、自己責任だけでは済まされないのが現状です。

遊びに対して命を掛けたイチかバチかはオススメできませんし、周囲が迷惑をする可能性がありますので、絶対にやらないで下さい。

ダイビング活動時の薬については、どんな薬が大丈夫でどんな薬がダメなのか…。

ダイビング関連のメディアやセミナー等で先生方がお話をされていますので、是非参考にして下さい。

近いところでは、6月7日(土)に第14回日本高気圧環境・潜水医学会関東地方会にて、東京医科歯科大学医学部付属病院の小島泰史先生が「ダイビングにおける服薬の問題」をテーマに講演をされますので、お時間のある方は行ってみてはいかがでしょうか?

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
大学にて法学を学び、卒業後、某一部上場企業にて人事採用・研修を担当していたが、「人は自然と共に生きていくことが本来の姿である」と思ってしまい…退職。

都市型ダイビングショップを経験後、静岡県の熱海を専門に水中ガイド、コースディレクターとしてインストラクター養成などを行う。
また、潜水士として、海洋調査・水中撮影・ナマコ潜水漁・潜水捜索救難などでも活動している。
 
ある時、業界の発展、健全性の確立を考えるようになり、大学院へ進学してスポーツマネジメントについて学ぶ(学位:体育学修士)。
現在は、教育・指導の観点から、ダイビングのマネジメントについて研究している。
 
■「筑波大学 大学院」 体育系研究員 高度競技マネジメント研究室(山口香研究室)
■「文部科学省所管 財団法人社会スポーツセンター」マリンスポーツ振興事業部 専門職員
■「NPO熱海・自然の学校」理事 安全対策委員長
■「NPOユニバーサルダイビングネットワーク」理事 潜水捜索救難協会トレーニングディレクター
■「Office 海心(うみこころ)」代表
 
【学会発表・論文】
■「SCUBAダイビングにおける裁判事例から見た事故分析」
■「SCUBAダイビングにおけるヒヤリ・ハット調査から見た事故分析 -ハインリッヒの法則に基づいた観点から-」
■ 「SCUBAダイビング指導者育成における教育課程に関する研究 -中高齢者事故予防の観点から-」
他
FOLLOW