海が大好きなミドル&シニアダイバーが楽しめる居場所「マリントーク倶楽部」の魅力

この記事は約9分で読めます。

ダイビングを継続する上で、一緒に楽しめる仲間を見つけたい方はたくさんいるだろう。そして、そんな仲間を見つけることができる居場所として、ダイビングの目的や年齢層別にさまざまなダイビングサークルが存在する。
今回紹介する「マリントーク倶楽部」は、仕事や育児などで一度はダイビングから離れてしまったけど、またゆっくりダイビングを楽しみたい、海を近くに感じられる仲間に出会いたいという、ミドル&シニア層向けダイビングサークル。代表の松本 好朗氏(以下 松本氏)に、マリントーク倶楽部の魅力や、70年代からダイビング業界を盛り上げてきた松本氏の数々の取り組みなどについて、ざっくばらんにお話をお伺いした。

50年間、ダイビング一色の人生。そのきっかけは戦時中にパラオの海を見た父の言葉だった。

オーシャナ編集部(以下、――)松本さんは約50年間ダイビングを続けているそうですね。最初にダイビングと出会ったきっかけを教えてください。
 

松本氏

始めたきっかけは、戦時中にパラオに行き、初めて見た海外の海に感動した父親から、「お前も大きくなったらパラオの海を見てごらん」と言われたことでした。そして、10歳の時に、ダイビングショップの前をたまたま車で通った際に、「ダイビングをやってみたい」と父親に伝えました。最初にダイビングをしたのは神奈川県の真鶴(まなづる)の海でした。

――10歳の頃に松本さんとダイビングの人生がはじまったのですね。そこから、本格的にダイビングをやり始めたのはいつぐらいからだったのですか?
 

松本氏

Cカードを取得できるのが15歳からと聞いていたので、高校1年生になった時にCカードを取得しました。当時は「ダイビング=おじさんのやるスポーツ」というイメージが強く、女性ダイバーも少なかったですし、同世代にダイビングをする人も一人もいなかった。そこで、同年代の仲間が欲しいと思い、国内で最初の高校生だけのサークルを作りました。その情報をダイビング雑誌『マリンダイビング』の編集部の方に伝えたところ、「高校生だけのサークル、おもしろそうだね!応援するよ!」と言っていただき、誌面に高校生ダイバー特集として掲載していただきました。

『マリンダイビング』の高校生ダイバー座談会特集の誌面

――「オジンダイバーはくたばれ!」というのは、すごく攻めた見出しですね(笑)!
 

松本氏

はい、この頃はダイビング雑誌も攻めた特集が多かったですね(笑)。いっぱい潜りたい高校生の私たちからしたら、1本ダイビングをしたら温泉に行ってご飯を食べて帰ってしまうシニアダイバーにギャップを感じていました。ですが、おじさんたちと一緒に行くと、「お前ら高校生でお金がないんだから、ご飯代ぐらい出してあげるよ」「車で一緒に連れてってあげるよ」と声をかけていただき、おいしい思いもさせてもらいました(笑)。

銀座の一等地にダイビングショップをオープン! 社会人時代にダイビング業界に新しい波を起こす

――高校生のダイビングサークル以降、大学生や社会人になってからはどのようにダイビングに関わってきたのですか?
 

松本氏

大学でも会社でも入ってすぐにダイビングサークルを作りました。また、当時からPADI、NAUI、CMASなどの指導団体で横のつながりがあまりなく、少し閉鎖的に感じたので、まずそれぞれの団体がどのように考えているのか、各団体から若手代表のインストラクターを出していただき『マリンダイビング』で座談会を開催していただきました。

各指導団体の若手インストラクターによる座談会の誌面

また、1992年には、当時在籍していたNTTにバックアップいただき、これらの大手指導団体すべてを網羅するダイビングショップを東京銀座のど真ん中に出店しました。実は、この頃から、現在のダイビングサークル「マリントーク倶楽部」にも使用している「マリントーク」というワードを使用しています。これには、「マリントーク=海を語り合う=海好きの居場所」という思いが込められています。

銀座にオープンしたダイビングショップは話題を呼び、新聞や雑誌に取り上げられた

海好きの居場所をつくりたい。ミドル&シニア向けダイビングサークル「マリントーク倶楽部」

——ここからは、現在運営されているサークルについてお伺いしていきたいと思います。「マリントーク倶楽部」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
 

松本氏

「マリントーク倶楽部」は、ちょうど映画『彼女が水着にきがえたら』(1989年6月公開)が公開された80年代〜90年代のダイビング全盛期にダイバーになったけれど、今は結婚や出産などで完全にリタイアしている。しかし、またダイビングを再開したい、ダイビングはやらないけどシュノーケリングは大好き、潮風に吹かれているだけでも満足という方の居場所づくりや、その中でダイビングの魅力を伝えていく活動を広げていきたいと思い始めました。実際、「ダイビングショップやダイビングサークルは敷居が高い」「ダイビングを再開したいけど、Cカードを取得したショップやスクールが閉業していた」と言う声が多かったです。

——マリントーク倶楽部の具体的な活動内容や活動頻度についてお聞きしたいです。
 

 

松本氏

活動は、月2回です。1回はダイビングメインで、関東・伊豆の全域のポイントをくまなく回ります。もう1回は、ダイビング以外の活動をしています。温泉、海鮮グルメ、ビーチBBQ、潮干狩り、釣り、SUP、ビーチヨガなど幅広く楽しんでいます。またなかなか参加できない全国のメンバーが、海ネタを肴に一堂に会するオンライン飲み会や、全国から参加できる沖縄や海外ツアーも企画しています。

——いろいろなイベントがあって楽しそうですね!ブランクがあるけどダイビングに興味があって、ダイビングに関わる環境が近くに欲しい方も多いと思うので、そういう方にとっては嬉しい居場所ですね。マリントーク倶楽部のサークルメンバーはどんな方が多いのでしょうか?参加者の特徴をお聞きしたいです。
 

松本氏

年齢は最年少が35歳、最年長は66歳で平均年齢は51歳。約80名在籍していて、男性4割、女性6割です。神奈川県在住の方が一番多く、東京、埼玉、千葉と続きます。アウトドアが好きな方が多く、メンバーからは非常に居心地が良いとの声をいただいています。夫婦で参加されている方も何名かいますが、ほとんどの方がお一人参加です。
参加者のうち、約半数の40名ほどが月に一回は潜りに行くアクティブダイバーで、アクティブでない方でも年に3回ほどダイビングをしています。BBQや潮干狩りだけに来る方も多いです(笑)。
また、メンバー個々で海洋プラスティック問題を考えるNPOに参加されている方や、山下公園や江ノ島などの海底清掃に参加しているメンバーも数多くいて、環境問題についても関心が高いです。

——マリントーク倶楽部の他のサークルとの違いはどんなところですか?
 

松本氏

地域や大学のサークルとの違いで言うと、形はサークルでもショップやスクール機能も有する一つの事業体であるところです。というのも、ショップは基本的にダイビングを始めるところ、サークルは続けるところだと私は思っているので、その両者がうまく補完しあえればいいなという考えがあります。

——ダイビング仲間を探しているダイバーは多いので、とても興味深い考え方です。マリントーク倶楽部を運営する中で、一番大切にしていることはどんなことですか?
 

松本氏

ダイビングは生涯楽しめるスポーツだと思いますから、短期的ではなく、10年、20年と末長くつき合っていけるサークルを目指しています。そのためには日々の健康管理も欠かせません。ダイビングをする際にも健康診断を毎年受けてもらうなど、安全面には心配りをしています。

——これからマリントーク倶楽部に参加したい場合は、どうすればいいでしょうか?
 

松本氏

入会資格は、とにかく海が好きな方ならダイバーでなくても構いません。年齢的には入会時65歳までの方としています。ネット上のやり取りだけだと実際にどんな方かわからないので、入会を希望される方には簡単なサークル紹介を兼ねた説明会に参加していただいています。入会希望者の方とサークルが納得した上で進めていくようにして、お互いに安心感を持っていただけるように心がけています。実際、ほとんど退会する方はいないですね。

こんな方にオススメ

・童心に帰って思いきり海遊びをしたい方
・同年代(ミドル&シニア)の同じ趣味を持った仲間がほしい方
・海鮮グルメや温泉が好きな方
・定年後の楽しみを探している方
・過去にダイビングやマリンスポーツをやっていたが、また再開したい方
・定年を機にダイビングのCカードを取得したい方
・いろいろな海の話を聞いてみたい方

3年計画で進行中!ダイビングだけでなく、海を愛する人たちの憩いの場作り

——松本さんの今後の展望などをお聞かせください。
 

松本氏

長く続いてきたサークルですが、名実共に国内No.1の総合海サークルを目指します。せっかくはじめたダイビングを生涯の趣味にしてほしい、でも、自分のペースで年1回でも、そして近場から海外までほとんど行ったことがないようなポイントまで、インストラクター歴40年以上のべテランインストラクターと共に楽しんでいただきたい。そして将来的にはメンバーみんなの気が向いた時にいつでも自由に立ち寄り、グラス片手に海を語り合える海辺の居場所作りを目標としています。
三浦海岸周辺に、ダイビングだけでなくSUPなどいろんなマリンアクティビティが楽しめる、みんなが自由に立ち寄れるような海辺の居場所になる現地サービスの設置を3年計画で考えています。

——現地サービス設置の計画が進んでいるのですね。オーシャナ編集部も応援します!ちなみに、なぜ三浦海岸を選ばれたのですか?
 

松本氏

都心から一番電車で行きやすい場所だからです。車だけでなく、電車でも通いやすいところに作りたいという思いが強く、三浦海岸に決めました。

——電車で通える場所だったら、海を身近に感じる方がもっと増えそうですね。最後に、オーシャナの読者へメッセージをお願いします。
 

松本氏

人生100年時代、定年や還暦を迎えてから、ダイビングを再開される方や新たに始める方も増えてきました。そんなアクティブシニアの受け皿になりたいと思っています。ダイビング経験がない方でも海が好きな方であれば大歓迎です。興味のある方は、ぜひご連絡ください!

——ありがとうございました。お話を伺う中で、松本氏のダイビングに対する熱い思いや、同じ趣味を持った人が集まれる場所を作りたいという優しさが伝わってきた。
 
ダイビングの頻度や楽しみ方は人それぞれ。特に、ブランクダイバーの方は、再開したいけれど自分のスキルや体力に自信がないという方も多いのでは。そんなとき、ダイビングをするしないにかかわらず、「海好きが集まる居場所」という感覚で気負わず無理せず通えるのは、嬉しいポイント。
新型コロナも少し落ち着いてきてダイビングを再開しようと思っている方や、マリントーク倶楽部のようなサークルを探している方は下記HPよりお問い合わせをしてみてはいかが。
また、現地サービスのオープンについても、完成を楽しみに引き続き注目していきたい。

マリントーク倶楽部(グレートマリンダイバーズ倶楽部)
マリントーク倶楽部は、ミドル&シニア向けのコミュニティで、本部を東京都、支部を横浜に置き運営している。マリントーク倶楽部という大きな枠の中に、45年前の1977年7月に国内で最初の高校生だけのダイビングサークルとしてスタートしたグレートマリンダイバーズ倶楽部(GMDC)という、アクティブダイバー向けのダイビング事業体が存在している。

松本 好朗氏
10歳でスキューバをはじめ、15歳でCカード取得、17歳で国内初の高校生ダイビングサークルを設立、18歳の時に当時国内最年少でインストラクターに合格。翌年には大学ダイビングサークル設立し、その後NAUI、PADI、CMASのインストラクター資格を取得。NTT入社後は同社の協力を得てダイビングショップを銀座のど真ん中に出店、各指導団体や業界参入の大手企業の旗振り役も努め、常に業界をリードしてきた自負がある。家庭の事情で約15年間、業界を離れていたが、一昨年より無店舗型プロダイビングサービスを再開、積極的な事業展開を目指している。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
  • Instagram
FOLLOW