写真に動きを出す二つの方法。跳ぶか、飛ばすか

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セブ島ウェブマガジン

雑誌やウェブの写真撮影で、普段より元気な「動き」や「楽しさ」を表現したいときによくやるのが、被写体になる人に「跳んで」もらう事。

モデルの子にも、「あと一回だけ跳んで」と言いながら、何度も海に飛び込んでもらうこともある。

プロのモデルでない場合なんか、跳んでもらうことでリラックスできる場合もあるので、結果的に写真使わなくても、その場の雰囲気を変えたくて跳んでもらうこともある。
跳ばせすぎて、たまに、険悪になる場合もあるかも・・・無いか。

「跳ばす」事は昔から良くやっていたんだけど、それがちょっと前くらいには、空中で静止しているような写真や、さらに進化して波動拳や魔貫光殺砲とかがブームになった。

セブ島フォトツアーウェブマガジン

写真に動きや明るさを出すのに、効果的。

ということで、例えば上の写真のように、南国の青い海と白砂のビーチを強調した写真を撮りたい場面だけど、いまいち快晴にならなかった、そんなときにも「跳ばす」事で、いまいちの天候でもその場の楽しさや明るさを強調できた。

この手法は、今では誰でも記念撮影などでも気軽に取り入れて撮影を楽しんでいると思う。

そして、これ以外に写真に「動き」と「楽しさ」を取り入れるのに、たまにやるのが、被写体に「飛ばして」もらう事。

何を飛ばすかってのは、そのときのイメージに合うものだったり、特に意味無く、色づけしたかったり、など色々。

ヤップのウェブマガジン

これは、ヤップのウェブマガジン
ヤップでは、ヌーヌーと呼ばれるレイは女性なら誰でも作れるし、多くの場所で、友好の印として、このヌーヌーをかけてくれる。
カラフルな色彩で、もらった方としても、とても嬉しい。

ヤップの子ども(撮影:越智隆治)

その花の文化をイメージして、モデルにヌーヌーに使う花束を投げてもらった。
しかし、このときは、花束を画面いっぱいに広げてもらいたくて何度もトライしたけど、なかなか良い感じに撮影できない。

タイミングが合わないのもあるけど、手いっぱいに持った花束を上手く広げるように投げるのが、なかなか難しいようだった。
広がったと思った瞬間に撮影すると、表情はいいんだけど、すでに多くの花束が画面から消えてしまっていて、いまいち散漫な写真になった。

ヤップのモデル写真(撮影:越智隆治)

本当は、手前が上の写真くらいで、

ヤップのモデル写真(撮影:越智隆治)

上にもせめてこれくらい花が残っているのが理想。
なのだけど、何回やっても散漫になる。

で、どうしたかと言うと、モデルの両サイドに、花束を持ったスタッフにスタンバってもらって、モデルが投げるタイミングに合わせて、横から花束を投げ入れてもらうという方法。

ヤップのモデル写真(撮影:越智隆治)

その結果、写真右側には上手く手からこぼれ落ちるように花束が広がったのだけど、左の人は何回やってもタイミングが合わず、花もだんだん元気が無くなってきたので、100%満足では無かったけど、この写真をセレクトした。

まあ、結果的には、リードを入れる部分として空間ができたので、良かったって事なんだけど、できれば、両サイドに虹状に花束が架かる感じの写真が理想的だった。で、「左の人」ってのは、実は僕の妻なのだけど。

ナイトロックスで潜るパラオウェブマガジン

これは、ナイトロックスを新たに導入したという特集だった。
ただ、タンクを持ってもらうってのも芸が無いなと思い、ENRICHEDの文字が見える位置で、タンクをボートからこちらに投げてもらった。

投げたタンクは海に落ちるので、その瞬間に、カメラを水しぶきから守るようにして、何度も撮影。
アンカーしてるボートが微妙に動くので、雲と青空と、島の緑とタンクの位置、それに文字の位置を完璧になるように撮影するのが案外難しかった。

「だったら、陸地で撮れば」って言われるかもしれないけど、自分が低い位置にいくことで雲と空を入れられるので、船上から投げてもらう選択をした。

周りでは、ゲストのダイバーの人たちがコンデジで撮影していて、「ほら、簡単に撮れましたよ」って見せてくれるのだけど、確かに細かい事気にしなければ簡単に撮影できるので、「お、ほんとだ〜、すごいですね〜。僕はなかな撮れないです〜」ってそこでは言ってたんだけど、上の花束の写真やこのタンクの写真は、撮影しているときから、自分の中では、トップページ候補として撮影しているので、自分的に納得の行く構図にするには、やはり何回かトライしてもらわないとダメな場合が多い。

これ以外でも

モデルとフルーツの写真(撮影:越智隆治)

意味無く、色づけのためにフルーツを投げてもらった事も。
これも、フルーツの広がり具合が納得いかなくて、何回も投げてもらったため、下が砂地だったけど、最後にはほとんどのフルーツがぐしゃぐしゃになってしまった。
本当は撮影終わったら食べたかったんだけど。

ビーチのモデル写真(撮影:越智隆治)

これなんかは、シェルビーチの小さな貝殻を投げてみてもらった。
何回かやってもらったんだけど、結局貝殻投げること自体がいまいちだったので、使わなかった。

サンゴのかけらを投げてもった事もあるけど、遠近感と迫力を出すのに、「もう少し手前に投げて」って言ったら、サンゴのかけらがバラバラと自分の頭とカメラに落ちてきて、痛い上に、あまり効果が無かったので、それ以来やっていない。

で、楽し気な写真を撮影していると、「俺も撮ってくれ〜」と、決まってこういう奴が現れる。

ビーチのモデル写真(撮影:越智隆治)

こんなのとか、

ヤップのモデル写真(撮影:越智隆治)

こんなのとかね。

まあ、それはそれで面白いから有りかな。
トップには使わないけど。

ちなみに、このときだけ、僕の妻が、左からの花束の投げ入れに成功しているのは何故なんだろう。

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writer
PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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