いくら潜っても潜り足りない! 過去最高の「リチェリューロック」

リチェリューロック(撮影:越智 隆治)

タイのシミランクルーズのメインと言えば、なんといっても「リチェリューロック」。
クロワッサン型をした隠れ根(根のトップの1部だけが、干潮時に姿を見せる)で、シミランだけでなく、タイを代表するダイビングポイントといっても過言ではない。

リチェリューロック(撮影:越智 隆治)

カラフルなソフトコーラルに覆われた根が、見えなくなるほど多い小魚の群れ

岩礁は、赤や紫、黄色や白、ピンク、オレンジなど、カラフルなソフトコーラルに覆いつくされていて、その上にはスカシテンジクダイが雲海のように漂っている。

中層にはイワシやフュージュラーの幼魚が密になり、捕食者からの攻撃を逃れようと泳ぎ回っていて、その外側にはさまざまな魚たちが群れをなし、この隠れ根を餌場として徘徊して、時に小魚たちへ猛アタックをかけている。

リチェリューロックのロウニンアジ(撮影:越智 隆治)

ロウニンアジ、ツムブリ、キツネフエフキなどの捕食者が襲いかかる

このように表現するのが正しいかわからないが、まるで、スターウォーズの宇宙での戦闘シーンに身を置いているかのような迫力だ。

魚影の濃さはシミランクルーズでも指折りで、群れの種類も多く、おまけにマクロネタも豊富。
さらにはジンベエザメとの遭遇も期待できるのだ。

どこを見てもフォト派にとって嬉しい環境で、なにを撮ろうか迷ってしまうほど。
透明度がいいときは、このポイントを潜っているだけで十分に満足できる。

リチェリューロックのタイガーテールシーホース(撮影:越智 隆治)

タイガーテールシーホース

リチェリューロックのイザヨイベンケイハゼ(撮影:越智 隆治)

イザヨイベンケイハゼ

「リチェリューロック」のマブタシマアジ(撮影:越智 隆治)

マブタシマアジの群

リチェリューロック(撮影:越智 隆治)

「リチェリューロック」に初めて潜ったのはもう20年近く前のこと。
それから毎年のように潜り続けていた時期もあり、すでに10回以上は潜りにきている。
その間、ジンベエザメにも4〜5回遭遇した。

それだけ潜りに来ている私にとっても、今年の「リチェリューロック」は飛びぬけて魚影が濃く、1日4ダイブしてもまだ潜り足りないと思うほど楽しい。
ジンベエザメには遭遇することはできなかったものの、この魚影の濃さだけでも、十分にお釣りがくるくらいの充実度だ。

今回特に気に入ったのは、根のトップに広がる緑の藻のエリア。
昔はこんなエリアはなかったそうだが、最近は広範囲に広がっていて、美しい草原のように見える。
うねりがあるので身体を固定しづらく、撮影するのは難しいが、藻の上にいる魚たちに夢中になった。

リチェリューロック(撮影:越智 隆治)
リチェリューロックのゴイシギンポ(撮影:越智 隆治)

ゴイシギンポ

ediveの平川恭さんも、「ここまでスカテンに覆い尽くされて、激しい補食シーンを目の当たりにできるリチェリューは初めてじゃないかな」とのこと。
昨年は、スカスカな印象だったシミランの魚影。
これでは記事は作れないと、作成を断念した。

それもあり今回は2クルーズ乗船したが、はっきりいって1クルーズでも十分満足できる撮れ高。

今回ediveのクルーズに2回上船して、「リチェリューロック」には計10本潜った。
それでも個人的にはまだまだ潜り足りないと思えるほど、今シーズンはおもしろい。

リチェリューロックのユカタハタ(撮影:越智 隆治)

ユカタハタはリチェリューを代表する魚

それくらい、今シーズンの「リチェリューロック」は“お買い得”ということだ。

今は捕食されて、ピーク時ほどスカテンの数は多くなくなってきているが、それでも十分。
「ピーク時の11月なんかは、根全体がスカテンに覆われて見えないくらいでした。
今は補食により徐々に数が減っていますが、通常であれば、3月ごろにまたピークがくると思います」とのこと。

春休みあたり、どこに潜りに行こうか悩んでいるダイバーの方々。
今年は「リチェリューロックが熱い!」かもしれないですよ。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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