いくら潜っても潜り足りない! 過去最高の「リチェリューロック」
タイのシミランクルーズのメインと言えば、なんといっても「リチェリューロック」。
クロワッサン型をした隠れ根(根のトップの1部だけが、干潮時に姿を見せる)で、シミランだけでなく、タイを代表するダイビングポイントといっても過言ではない。
岩礁は、赤や紫、黄色や白、ピンク、オレンジなど、カラフルなソフトコーラルに覆いつくされていて、その上にはスカシテンジクダイが雲海のように漂っている。
中層にはイワシやフュージュラーの幼魚が密になり、捕食者からの攻撃を逃れようと泳ぎ回っていて、その外側にはさまざまな魚たちが群れをなし、この隠れ根を餌場として徘徊して、時に小魚たちへ猛アタックをかけている。
このように表現するのが正しいかわからないが、まるで、スターウォーズの宇宙での戦闘シーンに身を置いているかのような迫力だ。
魚影の濃さはシミランクルーズでも指折りで、群れの種類も多く、おまけにマクロネタも豊富。
さらにはジンベエザメとの遭遇も期待できるのだ。
どこを見てもフォト派にとって嬉しい環境で、なにを撮ろうか迷ってしまうほど。
透明度がいいときは、このポイントを潜っているだけで十分に満足できる。
「リチェリューロック」に初めて潜ったのはもう20年近く前のこと。
それから毎年のように潜り続けていた時期もあり、すでに10回以上は潜りにきている。
その間、ジンベエザメにも4〜5回遭遇した。
それだけ潜りに来ている私にとっても、今年の「リチェリューロック」は飛びぬけて魚影が濃く、1日4ダイブしてもまだ潜り足りないと思うほど楽しい。
ジンベエザメには遭遇することはできなかったものの、この魚影の濃さだけでも、十分にお釣りがくるくらいの充実度だ。
今回特に気に入ったのは、根のトップに広がる緑の藻のエリア。
昔はこんなエリアはなかったそうだが、最近は広範囲に広がっていて、美しい草原のように見える。
うねりがあるので身体を固定しづらく、撮影するのは難しいが、藻の上にいる魚たちに夢中になった。
ediveの平川恭さんも、「ここまでスカテンに覆い尽くされて、激しい補食シーンを目の当たりにできるリチェリューは初めてじゃないかな」とのこと。
昨年は、スカスカな印象だったシミランの魚影。
これでは記事は作れないと、作成を断念した。
それもあり今回は2クルーズ乗船したが、はっきりいって1クルーズでも十分満足できる撮れ高。
今回ediveのクルーズに2回上船して、「リチェリューロック」には計10本潜った。
それでも個人的にはまだまだ潜り足りないと思えるほど、今シーズンはおもしろい。
それくらい、今シーズンの「リチェリューロック」は“お買い得”ということだ。
今は捕食されて、ピーク時ほどスカテンの数は多くなくなってきているが、それでも十分。
「ピーク時の11月なんかは、根全体がスカテンに覆われて見えないくらいでした。
今は補食により徐々に数が減っていますが、通常であれば、3月ごろにまたピークがくると思います」とのこと。
春休みあたり、どこに潜りに行こうか悩んでいるダイバーの方々。
今年は「リチェリューロックが熱い!」かもしれないですよ。