愛南でダイビング!複雑な海岸が育む生態系やサンゴ礁…そのポテンシャルの高さにびっくり

こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。
雨が多い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

話は少しさかのぼり、5月の中旬。
私は撮影で、四国のとある海に足を運びました。

その場所は、潜るのも訪れるのも今回が初めてで、最初に感想を言ってしまうと、予想以上の海

魚の数・地形・珍しい生き物、どれを取ってもハイレベルで、各ポイントを潜るたびに驚かされました。

「国内にまだこんなすごい場所があったのか!」と……。

そんな、もったいぶらずに早くどこか言えって感じですよね(笑)

今回、みなさんにご紹介したい場所は愛媛県にある愛南(あいなん)というダイビングサイトです。

愛媛県愛南町ってどんなところ?

愛媛県の最南端に位置する愛南町は、海や山に囲まれた自然豊かな場所であり、水産業も盛んです。

愛媛県内唯一のカツオの水揚げ港があり、新鮮でおいしい海の幸が食べられるのも魅力。愛南町の名物「びやびやかつお」は、釣り上げたカツオを活き締め・血抜き処理をして、特別な氷で冷凍保存するので、身も新鮮で絶品です。

そして、愛南でもう一つ盛んなものが「真珠の養殖」。

愛南町をはじめとする宇和海一帯のリアス式海岸は、古くから真珠の養殖が盛んに行われて、愛南は真円真珠の発祥の地でもあるそうです。車で移動中、いたるところで真珠を養殖しているウキが見られました。

移動中に見られる真珠のウキ風景(撮影/堀口和重)

移動中に見られる真珠のウキ風景(撮影/堀口和重)

このあたりの海岸は大昔、山が海に沈んでできたリアス式。地形が複雑に入り組んでいる場所なので、山からの栄養分も豊富であり、プランクトンが多いのが特徴。生物層豊かで、養殖にも向いています。

また、海に面したエリアは「足摺宇和海国立公園」にも指定されており、海中はもちろん、陸上からの景観もとても素晴らしいです。

さらに、国立公園内の景観を守るため、海域公園(旧・海中公園)にも指定されており、ダイビングのほかにもガラスボートやシーウォーカーなどといったレジャーが楽しめます。

高知県の足摺岬から愛媛県宇和海沿岸まで広がる国立公園(撮影/堀口和重)

高知県の足摺岬から愛媛県宇和海沿岸まで広がる国立公園(撮影/堀口和重)

愛南には現在、いくつかのダイビングショップがあります。
愛南では昔からダイビングは行われていましたが、最近は古くからのポイントを調査し直したり、その周辺を開拓しているそうです。

ダイビングポイントの数も多く、ボートが出航する港の近くから、鹿島や横島といった少し離れた場所にある島の周辺まで、わりと広範囲を潜ります。
また、「日本の渚100選」に選ばれた須ノ川海岸では、ビーチからのエントリーが可能になっていてバリエーションも豊富。

え? もったいぶらずに早く海が見たいって?(笑)

それでは、ハイスペックな愛南ダイビングの魅力を、カテゴリーに分けてご紹介していきたいと思います!

愛南ダイビングの魅力・その1
圧巻の群れ!

先述した通り、複雑に入り組んだ海岸なので、潮がうまく溜まったり、逆に流れる場所も多い愛南。

そのおかげで、餌となるプランクトンが大量に溜まったり運び込まれるので、どこもかしこもイサキがグルグルと泳ぎっていました。

イサキの群れ(撮影/堀口和重)

イサキの群れ(撮影/堀口和重)

また、愛南はサメも多い海域でもあるようで、イサキを追ってメジロサメやハンマーヘッドなどが見られるという可能性も高いそう。これは見てみたいですね。

ビーチポイントの「須ノ川」では、エダサンゴにびっしりクロホシイシモチがついてるシーンが見られました。

ビーチポイントのクロホシイシモチ(撮影/堀口和重)

ビーチポイントのクロホシイシモチ(撮影/堀口和重)

愛南ダイビングの魅力・その2
終わりなきサンゴの群生

横島にあるポイント「横島断層」。
ここの浅場は、ソフトコーラルとサンゴの量がすごい。

「あたり一面にサンゴやソフトコーラルが……」っという言葉はよく耳にすることがあるのですが、ここは想像をはるかに超えています。
どこまでもサンゴとソフトコーラルの光景が続く場所。

まさに、“手つかずの海”。

サンゴとソフトコーラルの光景がひたすら続く(撮影/堀口和重)

サンゴとソフトコーラルの光景がひたすら続く(撮影/堀口和重)

太陽が出ると、より美しい(撮影/堀口和重)

太陽が出ると、より美しい(撮影/堀口和重)

愛南ダイビングの魅力・その3
レアな生き物が続出!

生命の命を運ぶ黒潮の力は、愛南にも直接行き届きます。

国内でも報告例の少ないイナズマヒカリイシモチをはじめ、各種のカエルアンコウ類、美しいハナダイ、珍しいハゼ、かわいらしいジョーフィッシュと、次から次に現れる生き物たちを観察することができ、まさにマクロ天国!

ナガシメベニハゼ(撮影/堀口和重)

ナガシメベニハゼ(撮影/堀口和重)

イロカエルアンコウ(撮影/堀口和重)

イロカエルアンコウ(撮影/堀口和重)

さらに、めったにお目にかかれない生き物も数多く生息しています。
今回撮影ができたゾウアメフラシという大型のアメフラシの仲間は、国内では見ることが稀ですが、ここでは普通に見られるそう。

ゾウアメフラシ(撮影/堀口和重)

ゾウアメフラシ(撮影/堀口和重)

愛南ダイビングの魅力・その4
魅了させられる環境……

ひたすら広がる砂地の斜面もあれば、ダイナミックな岩肌も見られたり。

私が訪れた時点で、調査中であったポイント「ミツハエ」は、浅場は海藻で覆われ美しい光景が広がるのですが、深場にいくと一転。

エダムチヤギが密集して生えており、そこからさらに先には絶景のようなドロップオフ。次々と変わる環境を楽しむことができます。

浅場は海藻が美しく揺らぐ(撮影/堀口和重)

浅場は海藻が美しく揺らぐ(撮影/堀口和重)

深場にはエダムチヤギが密集している(撮影/堀口和重)

深場にはエダムチヤギが密集している(撮影/堀口和重)

愛南のポテンシャルの高さに驚かされ続けましたが、実はまだご紹介しきれない情報が山ほどあります。

国内で確認例が少ないサメや、夜の海ではライトトラップに集まる生き物の珍しさもはかり知れません。
そんな愛南の海に、今後も継続して潜りに行きたいなと思っております!

■協力/DIVE愛南

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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