キャベツでウニを育てる!? 磯焼け問題で厄介者扱いだったウニが絶品グルメに変身

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神奈川県では、磯焼け問題で駆除されたムラサキウニに、流通規格外で廃棄されるキャベツを与えて養殖し、“キャベツウニ”として食品へ再利用しているという。ユニークなキャベツウニについて知れば、新しいビジネスや生活のヒントになるかもしれない。

キャベツウニ誕生の経緯

神奈川県沿岸では、15年ほど前からムラサキウニやガンガゼなどを原因とし、海藻が減少する“磯焼け”(※)が発生。そのため、海藻を餌にするサザエやアワビなどの生物が減少し、漁業への影響が問題となっていた。

そこで立ち上がったのが、神奈川県水産技術センターの研究員・臼井一茂さん。原因生物の駆除、廃棄に掛かるコスト削減をはかるため、再利用の道を模索する中、ウニの雑食性に注目。駆除されたムラサキウニを試験的に水槽で飼育してみることに。三崎名産のマグロの切れ端から、ご自身のお昼ご飯の残り物までいろいろ食べさせたところ、三浦半島名産のキャベツを好んで食すことを発見した。

三浦半島名産キャベツは出荷基準が厳しく1割は廃棄されてしまう中、今では廃棄されるキャベツをウニの餌として再利用している。

十分な海藻を食べられず、やせ細っていたウニたちだったが、キャベツを食べて3か月も経つと、食用として販売するための基準値を超えた身入りに。甘味成分に関しても天然のウニよりも多いことが判明した。三浦半島名産のキャベツは、葉はふんわりとやわらかく、甘くてみずみずしいのが特徴。ウニたちの大好物になるのもうなずける。

かくして駆除される運命にあったウニたちは、三浦半島名産の廃棄キャベツを食べて、絶品ウニへと生まれ変わり、まさにWin-Winの関係を構築したのである。

キャベツウニは、地元の生鮮食品店で購入できるほか、地元のレストランでいただくこともできるという。

(※)磯焼けとは、浅海の海藻が著しく減少・消失してしまう現象。原因は、地球温暖化による海水温の上昇やそれに伴う生態系の変化、ウニなど藻食生物による食害、汚染など様々な説がある。

神奈川県はキャベツウニを商標登録、ブランド化へ

県水産技術センターによると、商標は昨年7月14日に出願され、10月21日に登録されたという。漁業者や水産関係団体であれば、県内外を問わず、県から許諾を受ければ無償で使用可能。キャベツでの養殖だけでなく、全国では白菜、ミカン、トマト、アスパラガス、ブロッコリーなどさまざまな野菜を使ったウニの養殖の研究が進んでおり、これらも漁業者ら生産者から要望があれば、「キャベツウニ」として商標の使用を許諾する方向だという。

今回の商標登録をきっかけに、キャベツだけではなく、他地域の廃棄野菜も活用することで、地域のブランディングに繋がることも期待されている。使用の申請は今年4月から受け付ける予定とのこと。あらたな掛け算が生まれることを期待したい。

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