“命を奪うゴミ”を回収せよ!ダイバーが長崎・五島で11mのゴーストギアを引き上げ

2025年8月26日、長崎県五島市岐宿地区の海中から、全長11mの巨大なゴーストギア(漁具系プラスチックごみ)が回収された。作業を行ったのは、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)が展開する「ゴーストギア調査隊」。現地の漁師やダイビング事業者と協力し、実際にダイバーが水中に潜ってごみの実態を調査・引き上げるという、まさに“現場でしか見えない海の課題”に立ち向かう取り組みだ。

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回収されたゴーストギアの実態

ゴーストギアとは、海に放棄された漁網やロープなどの漁業系プラスチックごみのこと。見た目には自然に馴染んでしまうものも多いが、実際には海洋生物を絡めて命を奪ったり、船の航行を妨げたりと、多くの問題を引き起こしている。

今回引き上げられたのは、長さ11m・幅1m、さらに別個体で長さ4m・幅1mの2点。いずれも上部が水面に浮かび、下部は岩に引っかかっていたという。付着物が少なかったことから、最近流れ着いたものと推測されている。どちらも「ゴーストギア調査隊」の潜水調査で7月上旬に発見されたもので、放置されていれば生態系や漁業、ダイビング・レジャーへの影響が懸念されたため、引き上げ作業が実施された。

引き上げ前。ダイバーと比較してもその大きさを伺える(写真:WWFジャパン)

引き上げ前。ダイバーと比較してもその大きさを伺える(写真:WWFジャパン)

引き上げ作業は漁業者と協力して行われた(写真:WWFジャパン)

引き上げ作業は漁業者と協力して行われた (写真:WWFジャパン)

五島市では、2025年7月10日にも同様の大型ゴーストギアの回収が行われており、短期間で2件目となる。しかも、いずれも外国製の漁網とみられており、東シナ海沿岸では海外からの流入ごみが多いことが改めて浮き彫りになった。

ダイバーだからこそ見える、海のリアル

このプロジェクトに参加しているダイバーたちは、レジャーダイビングとは異なる使命を背負って海に潜っている。ゴーストギアのような問題は、水中に潜らなければ見つからない。実際、調査隊の一員として活動するダイバーたちは、毎回海底で新たな発見や課題に直面している。

WWFジャパンの担当者も、「漁業者だけでは解決できない問題。自治体や政府、企業などとの連携が不可欠」と語っており、ダイバーという存在が海洋課題の最前線に立っていることを実感する。

現在、ゴーストギア調査隊は全国7ヵ所で活動中。静岡県西伊豆町・伊東市、宮城県女川町、長崎県五島市・対馬市、山形県酒田市、熊本県天草市、和歌山県日高町と、全国各地での潜水調査が進められている。

ダイバーなら誰もが感じたことがあるであろう、「昔より魚が少なくなった」「あれ?この海、こんなにゴミ多かったっけ?」という疑問。私たちもまた、海に潜る者として、海の未来を守る一員であることを忘れてはならない。

▶︎「ゴーストギア調査隊」活動ページ
▶︎2025年8月26日 プレスリリース全文

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