はじめてのショップツアー 【②申し込み編】
今回は申し込み編だが、裏タイトルは「自意識過剰不審者来店編」。
とあるダイビングショップへ申し込みに行く僕。
ありえないぐらい緊張してしまった僕は、店の前を行ったり来たり。
スタッフが不審な顔でこちらを見ているのに気がつき、
店の前に立ち止まった僕は、
プリントアウトした店の地図と店の看板を大げさに見比べて、
「お〜ここだったのか!」というような、かなりわざとらしいリアクション。
しかし、ダイビングフラッグのマークと共にショップ名が大きく掲げられ、
ガラスばりの店内にはダイビング器材や海の写真が並ぶ、
どこからどう見てもこのディス・イズ・ダイビングショップを、
何度も素通りしてやっと気がついて驚いているこのヒゲ男は、
とても不審だったに違いない。
意を決して店内へ。
対応してくれた男性イントラは、
筋骨隆々でこんがり日焼けしたかなりのイケメン。
シルバーアクセと白い歯がキラリと光る、
僕の勝手にイメージしていたショップ・イントラの完成形。
こりゃね、好きになるよ。
寺子屋に「イントラに恋しました」とよく来る理由に納得。
とても好感度の高いイントラさんだったが、
「バレたらどうしよう」と自意識過剰になってしまった僕は、
イントラと目が合わせられずにしどろもどろ。
ものすごい照れ屋さんだと思われたに違いない。
少し話すと僕のことはまったく知らないようなので、
若干世界のナベアツの3の顔をしながら目を合わせて話すことに。
しかし、ふとカウンターの上を見ると、
イントラさんのシステム手帳にデジカメ本がはさんである。
その本には和尚として顔を出して書いているので、
また慌ててしまい、再び目を伏せてもじもじ。
これでは、完全にイントラさんに恋しているホモセクシャルだ。
何となく後ろめたい気がしていたが、
よく考えると何も悪いことはしていない。
ただダイビングに申し込んでいるだけなのに。
ただ、Cカードを提出する際、〝ランク〟の欄があったのだが、
イントラということは伏せた。もちろん、嘘の申告はよくないが、
「1000本以上潜ったイントラ」の客はやりづらいだろうし、
ゲストの立場としてショップツアーを楽しむという目的を果たすためにそうすることにした。
※イントラを伏せて申告したことによって何かトラブルが発生した場合は、
一切の責任を自分で負うことをここに宣言しておきます。
イントラさんはCカードのコピーを取りながらいろいろ質問してくる。
イントラ:コンスタントに潜っているんですか?
テラ :え! あ、はい。いや、月に一度くらいは潜りたいと思って
いるのですが……、ダイビング、好きなので、やっぱり……。
イントラ:これだけ潜っていれば、スキルとか大丈夫ですね〜。
テラ :え! あ、はい。スキル、大丈夫、普通に潜れます、結構。
意味不明なカタコトの日本語を話すペルー人みたいなことに……。
ということで無事(?)申し込みも済ませ、あとは海に潜るだけ。
集合場所の駅では、なんと挨拶しよう。
「初めまして。私、寺山英樹と申します」。かたいかな。
「チェース。俺、寺山英樹〜。ヒデって呼んじゃって〜」。砕けすぎか。
「オイッス! おらテラちゃん!」。うん、勢いはあるな。
もしくはひと言も発しない寡黙キャラで通して、
最後の最後で「お疲れ……」とウインクして去っていこうかな。
ものすごく楽しみだけどかなりドキドキ。
ダイビング前にこれほど緊張するなんて初体験。
僕が開催するツアー参加者なども
「一人参加なのですごい緊張しています」という人も結構いて、
「そんなに緊張することないですよ〜」なんて言っていたが、
緊張しとるやんけ、俺。
今まで、何度も一人で潜りに行ったことはある。
ただ、よく考えれば、
結局ガイドと知り合いだから孤独感がなかったのだと気がついた。
一人参加、緊張するっちゅーの。
何はともあれ、新婚初夜の気分(経験ないけど)。