人生最大のピンチ&奇跡
ここ3日間、人生最大のピンチを迎えていた。
冗談でもなければオチもない。
「黒ヒゲ危機一髪」のまさに黒ヒゲの気分。
剣を刺す穴はあと3本くらいで、いつ人生飛んでもおかしくない状況。
尋常じゃない心拍数と脂汗ダラダラ。
気持ちをごまかそうと酒を飲むがさらに心拍数が上がるだけ。
部屋の隅で体育座りしながら、
「死ぬよりはマシだろ!」と自分に言い聞かせてみるが、
もう一人の自分が「お前、それ死んだほうがマシじゃね?」と囁く。
あ〜〜〜解決して良かったな〜〜もう〜〜。
今、こうして普通に生きていることが嬉しくて仕方ない。
お母さん、英樹を生んでくれてありがとう。
何があったか。
聞けばみんな思うだろう。「こういうバカって本当にいるんだ」と。
I am here & I’ll be there with you.
バカはここにいるよ。すぐそばにいるよ。ずっと一緒にいるよ。逃がさないよ。
もちろん詳しくは書けないが、単純な話だ。
皆さん、人に見られてはいけない場面を思い浮かべてください。
人間、生きていれば人には絶対に言えないようなことをしたことはあるだろう。
なので、ここまでは普通。
しかし、バカはここから先の行動が違う。
【バカの壁】
人に見られてはいけないことを記録に残す。
【大バカの壁】
その記録を紛失する。
【破滅の壁】
その記録を人に見られる。
そう。つまり、大バカの壁を乗り越えてしまい、
奇跡的に破滅の壁の向こうを見ずに済んだというお話です……。
もし見られたら、蔑まされ、仕事を失い、逃亡するしかない画像と動画。
言っておくが、たまに展示会で間違って流してしまってニュースになるようなエロ動画なんて生易しいものじゃない。なめんなよ。
だいたいエロ動画を見られたぐらいじゃ慌てない。
むしろ、その場でCDに焼いてプレゼントして差し上げる。
もちろん、そんなヤバイ記録の入った禁断のメディアは、
当初、机の奥深くにテープで貼っておいて大事に保管していた。
しかし、モルディブに行くことになり、メディアが足りなそうだったので、
「足りなくなったら使おう」と禁断のメディアをカメラバックに入れてモルディブへ。
案の定、メディアが足りなくなったので、
カメラバックを見ると、
な、ない!
一気に血の気が引いたが、
「きっと家に忘れたのだろう」と思い直しモルディブから帰国。
家にあることを疑わなかった僕は、
自宅マンションへ帰る前に実家でのんびり。
2〜3日して実家へ帰って禁断のメディアを探すと、
やっぱり、ない!
家中をひっくり返し、
真夜中にまこ社長の自宅兼事務所へ押しかけて探してもやはりない。
まこ社長は深夜2時に脂汗をかき真っ青な顔をした僕を見て
「な、何があったの?」と驚いているが、僕は平常心を装って「別に……」。
完全にクルクルパーである。まこ社長も気味が悪かったことだろう。
そういえばモルディブ前に一度、
編集部に立ち寄っていたことを思い出し、さらに顔面蒼白。
「これ誰のメディアだろう? 見てみよ」なんてことになったら、
黒ヒゲはふっ飛ぶ。天井までふっ飛ぶ。
やむを得ないと思い、編集部の信頼のおける一人にだけ打ち明け、
探索ともし誰かが見つけたときの素早い回収をお願いする。
ちなみに、その人はメディアの中身を聞き一言。
「そんなものを撮る人がこの世の中にいるとは思わなかった」。
もちろん、モルディブのソレイユ号にも連絡し、
再度、あちこち探してみるが、やはりない。
それこそ、道で拾われてネットでアップでもされたら首をくくるしかない。
この先ずっと見つからなくても、
いつか見つかるかもしれない恐怖を抱えたまま生きていくのかと思うと、
本当に泣きたくなる思いだった。いや、大人だけどちょっとだけ泣いた。
しかし、ついに黒ヒゲは飛ばなかった。
思いもよらないところで禁断のメディアを発見。
昨日、気を紛らわせるためのビールを買いにコンビニ行き、
トボトボとマンションの階段を上っていると、
階段踊り場の隅の方に禁断のメディアが!!!
モルディブに行く前からなので何と2週間もそこにあったわけだ。
これを奇跡と呼ばずして何と呼ぼう。
もちろん、すぐに記録は消去し、二度と撮らないことを固く誓う。
占い師に見てもらうと必ず「あんたはものすごい強運」と言われるし、
霊能力者とかいう人には「母方のおばあちゃんが強力に守ってくれている」と言われたが、
この奇跡はそのおかげなのだろうか。
だとしたら、強運をこんなことに使っている場合ではないし、
何よりおばあちゃん、こんな大人になってしまってゴメンなさい。
英樹はもう少しちゃんと生きようと思います。
※モルディブから帰ってきたレポートが感動の海でなく、こんなのになっちまうとは……。