ダイバー不在のダイビング業界

ダイビング歴45年、ダイビング界の生き字引であるやどかり仙人さんが
漁業権とダイバーについて書いた。
http://diving-commu.jp/divingspirit/item_5166.html

読んでまず思ったことは、
昔のダイバーはいろんなことを考えて潜っていたんだなぁ、ということ。

今では、ダイビングといえば当然のようにダイビングサービスを通して、
ガイドに連れられて潜るものになっているが、
昔のダイバーは、主体的に潜らざるをえなかった。

潜る場所を決め、ときに地元と交渉し、計画を立て、自分たちで潜る……。

こうしたことを〝手間〟と考えれば、その手間を代わりに引き受けてくれ、
さらに付加価値を与えてくれるダイビングサービスは素晴らしいものだ。
しかし、〝おもしろさ〟や〝醍醐味〟といった風に考えると、
こうしたダイビングの楽しい部分を取り上げられてしまうのは残念なこととも言える。

ちょうどその中間のようなダイビングをしていた僕は、
「選べればいいのにな〜」とよく思う。

やどかり仙人さんの記事を読んでも実際のダイビングの場で、
こうした問題に直面したことのある人はごく一部のセルフダイバーだけではないだろうか。

さて、本題の漁業権とダイバーについて、僕も実体験がある。

今ではそんなことはないと思うが、当時、屋久島でビーチエントリーしたとき、
地元の方から「ダイバーが来るんじゃねーよ!」と怒鳴られたことがある。
ガイドの方は気まずそうに聞こえないフリをするだけで、
ゲストの僕も何だか悪いことをしている気分になったものだ。

法律とローカル・ルール

「法律上、問題ありませんから」、「俺っちの海で何やっとんじゃ!」。
どちらを強く主張しても泥沼になるだけで、行きつく先は宮古島バトル。
譲り合いの精神を元にした〝いい案配〟でおさめるのが
日本人の良いところとも言え、
実際、そうした絶妙なバランスで成り立っているダイビングエリアも少なくない。

しかし、問題はそうした絶妙なバランスを成り立たせる要素に、
〝一般ダイバー〝が入っていないことだ。
ダイビング事業者が地元漁師に「入海料でひとつ」といったバランス交渉を
行なってもいいが、さて、その入海料はどこからやってくるのやら……。

ダイビングが主体的に潜るものでなくなった昨今、
当然、ダイバーが権利主張する思いもチャンスも少なくなってきた。
それはそれで、ダイビングスタイルの変遷であって悪いこととも思わないが、
ダイバーが納得しないうちに払っているお金はいろいろある、
のかも(←よくわかんないけど、とりあえずエクスキューズ・笑)。

 

 

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
  • facebook
  • twitter
FOLLOW