八重山の海で「シューボコ」
当サイトの連載小説「シューボコ」。
http://diving-commu.jp/boco/category_209/
西表島に滞在してから1〜2話ずつ読み返し、昨晩最終話を読了。
そして、僕は最終話の舞台となる石垣島の海にいる。
僕の思う、この小説の構造の面白さ。
津川ジタンを主人公に、津川治夫が書いた「シューボコ」を読む陽子。
津川ジタンを主人公に、一色さんが書いた「シューボコ」を読む読者。
陽子も読者も11話までは一緒に読んでいるけど、12話は読者だけが読んでいる。
12話で「シューボコ」の中に入ってしまった陽子。
はて。
11話が最終話だと思っている陽子のように、
12話が最終話だと思っている僕がいる。
この一週間、津川の愛した海で、ふとした瞬間に、
確かに津川ジタンや陽子を感じて潜っていた。
ひょっとしたら。
僕は13話の中にいるのかもしれない。
最後に陽子は予感した。
終わるのではない。始まるのだ。
シュー、ボコボコボコ。
水中でダイバーが吸って吐きだすエアの音。
ダイバーだけが感じる、生きている実感。
物語はずっと続いていく。