台風から家、命を守るために何ができるのか。沖縄在住のインストラクターのリアル対策
非常に勢力の大きい台風10号が今まさに沖縄から九州を通り過ぎようとしているところだ。最大瞬間風速80m/sにも及ぶと言われ、メディアでは早めの対策や避難が促されている。
ここ数年では2018年に関西、2019年には千葉への大きな台風上陸があったことから考えても、今後も日本のどこに大きな台風が上陸してもおかしくない状況だ。もし自分の住む地域に台風が直撃することになったら、どのようにして安全を確保していくのか、今までも大きな台風を経験してきた石垣島に約20年在住するやーるーや代表・青井秀樹さんへ伺った。
情報収集
ー台風に備えるにあたり、まずは情報をきちんと知ることが大事だと思うのですが、どのように情報収集されていますか?
青井さん
台風の情報収集は、スマートフォンのアプリを使用することが多いです。いつでも閲覧できるため、以前に比べるととても楽になりました。
・ウェザーニュース:更新が早い
・Yahoo!天気・災害・tenki.jp:気象庁ベースの情報が得られる
・国際気象海洋株式会社:波高や風向の詳細情報や、風の情報も大きく見やすい
青井さん
その他「JTWC」など、海外が出す情報も見解が違うこともあり、参考になります。各社役割や予想が違うため、どこを信用するかはその年によってまばらです。今年は「Windy」が割と当たっていますね。
食料の確保
ー食料の備えはどのようにされていますか?
青井さん
とくに離島の場合は食料確保は必須です。スーパーやコンビニの棚に何も無いなんて信じられますか?台風の直前は物によっては若干争奪戦になるため早めの備えが大事です。
・缶詰
・レトルト・インスタント食品
・お菓子
ー何日分、など目安はあるのでしょうか?
青井さん
その時によって変わってきます。離島の場合は物資がしばらく届かなくなることもあり、台風の影響を予測しながら必要な分だけを購入するようにしています。本州であれば、物流が復旧すればすぐに物が手に入ると思うので、他の方にも配慮して自分に必要な分を購入するのが良いのではないでしょうか。
家を守る
ー大きな台風だと、家を守るための対策も必要ですよね?
青井さん
風速50m/sを越えると何が起きてもおかしくないです。例えば洗濯機が飛んでいったり。自分の家の物が飛んでいくということは、家に何かが飛んできてぶつかる可能性もあるということ。石垣島の建物は台風を想定して作られていますが、本州ではそうでないこともあるため、特に飛ばないよう、ぶつかっても被害が少なくて済むような対策が必要です。
・物干しなどは倒す
・自転車は倒すもしくはしまう
・外付け洗濯機は水を張ってフタをガムテープで押さえる
・車はカーポートの下から移動させる※カーポートが倒れる恐れあり
・暴風扉を閉める(ない場合は園芸ネットなどを入り口や窓の前にはる)
・窓ガラスには養生テープなどを格子状にして貼る
・雨戸がある場合必ず閉めてロックする
・窓の下にタオルや新聞紙を詰める(雨対策)
・自宅で台風を迎える場合は必ず風下の窓は少し開けておく
ー風下の窓を開けるのはなぜでしょうか?
青井さん
風上の窓を破られると気圧差と風の力で屋根が飛ぶんです。もうそうなると倒壊してなすすべもありません。外は台風なので逃げられないですし。
停電・断水に備える
青井さん
それから、大きな台風の場合、停電や断水が起きることは大いに予想できるので、それらへの備えも大事です。
・必要なポータブル電化製品を用意する
・IHの場合、カセットコンロを用意する
・車のガソリンを満タンにする
・バスタブに水を張る(トイレを流すなどに使用)
・避難などで家を離れる際はブレーカーを落とす(火事対策)
青井さん
夏ですとクーラーが効かなくなることになるので、ポータブルの扇風機を用意したり、車で過ごしたり、熱中症の対策も考えておきたいですね。また、避難の際は絶対にブレーカーを落とすのを忘れないで欲しいです。漏電していた場合、停電から復旧した時にショートして火事になる可能性があります。
自分の身を守るために
※2019年9月に上陸した台風18号の様子(最大瞬間風速50m/s)
青井さん
一番確実なのは強固な雨対策をして避難所に行くことです。避難場所に指定されていても、上記でお伝えした対策がされていないところは危ないので、注意してください。窓も割れる可能性があるため、避難場所でも窓の近くにいることは避けましょう。
今回の台風10号は石垣島は少し圏内に入る程度です。それでも警戒して対策をしています。いつも大した被害がないのはきちんと対策を講じているからなのです。ここ数年間で国内は何度も大きな台風被害が増えています。今後も大きな台風が日本のどこに来るかわかりません。後から後悔するよりも、やりすぎでもいいのでやれることは全部やった方が良いでしょう。壊れたり無くなったりしたら財産を失いかねません。今まで私が言われてきたことですが、私自身も財産を失うという言葉の重みを実感しています。本州の皆さまがこれから台風を経験するときに少しでも参考になれば幸いです。
ー青井さん、ありがとうございました。
今後も日本に襲来するであろう大型の台風だが、地震など突然の災害と違い、事前に進路や被害の予測が報じられるもの。この記事が、正しく情報を得て、自分の身を守る行動の一助になればと思う。
■取材協力:石垣島シュノーケリング専門店やーるーや 青井秀樹さん
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