マスク・ストラップの位置。“後頭部”ではなく“つむじ”基準!?
スキルを教える定番のフレーズの中に、
たまに「ん? それ本当かな?」と思うことがある。
例えば、スノーケルクリア。
「プッ」と噴き出すと教わるが、プッの口は外から見た描写で、
本人の感覚として教えるなら「トゥッ」じゃないのか? など。
そんな事例はたくさんあるが、その中のひとつが“マスク・ストラップの位置”。
普段から、マスクのストラップの位置が下過ぎて、
耳が折れていたり、マスクがずり下がっているビギナーさんが
なんでこんなに多いのだろう? と疑問に思っていた。
そこで、あれこれ調査すると、原因がわかった。それは、
“後頭部”基準
厳密に言うと、後頭部基準と人の感覚。
後頭部の突起の下にストラップがきて、ずり下がってしまうのはよくあるパターン。
しかし、これは皆よ〜くわかっていること。それでも、下がってしまうのだ。
それは、自分の感覚と客観的な結果は得てして違っているから。
だからこそ、アスリートなどはそこを修正する作業に力を入れる。
まず、人に「後頭部をおさえてみて」と聞いてみよう。
だいたいがこんなことになる。
さらに「後頭部のでっぱりをおさえてみて」と聞いてみよう。
おおよそこんなことになる。
結構、下の位置でしょう?
“後頭部”という言葉から視覚的に思い描くイメージと
自分の感覚の間にギャップがあるのだ。
よくストラップは「後頭部にそっと添えるように」とか
「後頭部の突起上にくるように」とのアドバイスがあるが、
そのアドバイスを自分の感覚でやろうとすると、
耳が折れる、あるいはずり落ちる位置にちょうどきてしまうのだ。
なので、僕がアドバイスをするなら、
つむじのすぐ下
「つむじのすぐ下をおさえてみて」というと、こうなる。
なかなか理想的な位置じゃありませんか!?
一番良い方法は、ベストポジションに装着後、写真を撮って見せてあげること。
「なんだか上過ぎる気がするな〜」と思っている人も、
写真を見ればきっと納得するはず。
つむじ基準。ぜひ、お試しあれ。
※
ちなみに、つむじ基準が正しいと言っているのではなく、
アドバイスはいろいろあっていいが、本人の感覚になって伝えることが大事ということ。
例えば、
「BCから排気するためにホースを上げているつもりで上がっていない」
「ヒザをのばしているつもりが自転車こぎ」
見せてあげることが一番の改善法だが、アドバイスするなら、
「体を反転させてホースを大胆に見上げるように」
「まずは、足を棒のようにして大きくキック」など、
相手の感覚に訴える、段階を踏ませるアドバイスが大事。
見たことを詳細に伝えるのではなく、
その人の感覚に立って伝えること。
その感覚に悪戦苦闘してきた落ちこぼれダイバーが、
イントラになると良いことのひとつの理由でもある。
【おまけ】
道具で解決もあり!
TUSAのストラップがおもしろい。
普通のマスク・ストラップは平面的だが、
このストラップは頭を包み込むよう立体的に作られているのだ。
“3次元形状”と呼ばれる立体構造
素人考えだと、後頭部を持ちあげるように、
曲線は谷型のストラップを想像するが、
ジャストフィット構造を考えた結果、山型になっているのが興味深い。
人の後頭部はピッコロとまではいかなくても、
やはり、上に突き出しているのだろう。
このことからも、後頭部よりつむじ基準が最適な気がする。