絶体絶命!? 海の荒くれ者・キヘリモンガラに追いかけられた件
久しぶりに遭ってしまった、キヘリモンガラ。
海の荒くれ者・ゴマモンガラの弟分として悪名高く、肩がぶつかれば喧嘩を売られるのはもちろん、近づくだけで「あに見とんじゃ、ゴルァ!」とメンチを切り、虫の居所が悪いと噛みついてくるという輩っぷりです。
http://www.mondomaldive.com/より
そもそも何ですか、体のほとんどが顔って…。
見ようによってはパックマンみたいで可愛くなくもないのですが、あんぐり開けた口からは頑強そうな歯が光り、それがサメみたいに美しく鋭利であればいっそひと思いに噛まれようという気にもなるのですが、シンナーのやり過ぎなのかミソッ歯。
顔面凶器なフェイスをなさっているうえに、ほぼ顔面だけ。
ほんと、冗談は顔だけにしていただきたいものです。
そんな海の荒くれ者に出遭ってしまったのがセブのバリカサグ。
ドリフトでリーフ上を流していると、ずっと先方にいる越智カメラマンが流れに逆らうように戻りつつ、コース上を迂回しているのが見えました。
どう見ても何かを避けている様子です。
サメならむしろ寄っていく越智カメラマンが逃げる相手。
「ゴマモンガラかな?」とピンときて見てみると、弟分のキヘリモンガラが口をガァ~と開けてこちらを睨みつけています。
鎖につながれた怖い犬にどれだけ近づけるかというチキンレースのごとく、普段ならちょっかい出してスリルを楽しんだりもするのですが、すぐにでも突っ込んできそうな奴だったので、「あいつはイッちゃってるな……」と判断し、すぐに迂回ルートを取ったのでした。
これで、ひと安心…はっ!
振り返ると、僕の後からやって来ているフォトツアーの仲間たちはキヘリモンガラのルートにドンピシャなうえ、写真に夢中で気が付いていません。
「こりゃマズイ、知らせなければ」と流れに逆らって泳ぐものの、流れがきつくなかなか進まず。
グループはどんどんキヘリモンガラに近づいてきて、ついに戦闘態勢のキヘリモンガラが待つ縄張りの中へ。
しかし、知らないというのは強い。
何人かの気づいた人は迂回して回避し、気づかない人も魚を追いかけるうちにルートを外れたり、写真を撮ろうとバタバタしていることがけん制となって、スルスルスルとグループはキヘリモンガラを回避。
ハゼも意識すると引っ込むと言いますが、逆に意識しなければ向こうもほうっておいてくれるのかもしれません。
一方、やや上方からその様子を見ていた僕は「良かった~」とホッとしていると、踵を返して戻ろうとするキヘリモンガラと目が合ってしまう。
意識はがっつりキヘリモンガラ。
一瞬の沈黙の後、案の定、「こんなところで何しとんじゃ、われ~~!」と追いかけかれる羽目に…。
「お、俺⁉」と全力で逃げるも、思わず水面に向かってしまったのが間違い…。
キヘリモンガラは横だけでなく縦にも縄張り意識があるので、上に逃げたところで状況は変わらず、めっちゃ追いかけてきます。
「はっ! そうだ、横だ横!」と今度は水面近くを横にダッシュ。
ここまで来れば……と後ろを振り向くも、「ガァ~~」。
縄張りは水面に向かって放射状に広がっている(円すいをひっくり返した感じ)という話が本当なのか、逃げても逃げても追いかけてきます。
「マジかよ…」と泣きそうになり、もう好きにしてくれと思い始めたころにやっと振り切ることができたのでした。
※
疲労困憊で一人エグジットし、船上では後からエグジットしてきた仲間たちを「お疲れ様~。楽しかったですね」なんて涼しい顔をしながら待ち受けていたのですが、彼らはエグジットと同時に「めっちゃ必死に逃げてましたよね(笑)」「水面で繰り広げられる二人の追いかけっこシルエットがシュールで笑えました」
見られてた…(照)。
皆さんも、ゴマモン&キヘモン兄弟に出遭ってしまったら、話してもわかる相手ではないので、まずはお巡りさんに通報し、水面ではなく真横に逃げてくださいね。
※面白おかしく書きましたが、彼らは、大事な大事な卵を懸命に守っているだけですけどね…。