今年ハタチの若造が「共生」から学ぶ処世術

この記事は約4分で読めます。

現在大学生のぼくはもうあと数年で社会人ですが、ぶっちゃけ社会人になるのが怖い、と最近思うのが、正直なところです。

特にぼくには人付き合いというものが難しくてたまりません。
得意先との接待、上司の太鼓持ち…、上手な処世には必要な気もしますが、内気なぼくには到底できっこない気もします。

さてどうしたものかと思い、現実逃避がてら海に潜っていると、海の中に世渡りのヒントがあることに気づきました。

それが、「共生」です。

人と助け合いながらGive And Takeで生きていく。
そうすることで、周りの人々を上手く味方につけていくことが重要なのではないか。
もしかしたら、大好きな海の生き物たちから、鬼ばかりの世の渡り方が学べるのではないか。

そういうことに思い至ったわけです。

そんなわけで今回は、実際に共生する生物たちを見ながら、処世術というものをお勉強したいと思います。

クマノミ

共生と聞いてまず多くの人が思い浮かぶのは、クマノミの仲間でしょう。

アイドルの定番、カクレクマノミ(撮影:越智隆治)

「共生」の中にはいくつか種類がありまして、クマノミの仲間とイソギンチャクの関係は、共生するとお互いに良いことがある「相利共生」か、共生してても片方にしか良いことがない「片利共生」、どちらかというところで意見が分かれている共生です。

ただ、一つ確かなことは「クマノミはイソギンチャクに守られている」ということ。

イソギンチャクという強者に守られなが暮らすクマノミの仲間は、ぼくには理想の生き方に思えます。
怖い上司の叱責からかばってくれて、僕の面倒を見てくれる上司がいたらどんなに素敵なことか。
きっと、ぼくはそんな上司に一生ついていくでしょう。

クマノミの仲間でも、セジロクマノミは特に宿主のイソギンチャクへの依存度が高いと聞きますが、もうぼくだって、セジロクマノミもびっくりなくらい、優しい上司にベッタリついていきますよ。
時々、上司にご飯をあげる、っていうはちょっと嫌ですが。

ところが、クマノミが持つイソギンチャクの毒への免疫はどうやら、稚魚の頃から毒に触れることによって獲得するものだそうです。

…それじゃあ意味がない!

ぼくは一生ぬるま湯に使って生きていたいわけであって、稚魚のころから鍛えられるのなんてごめんです。
優しい上司はぼくに最初から最後まで優しくないと嫌です!
しかも時々ご飯を奢らないといけないなんて!
そんなぼくのリスク大きい関係はごめんです。

ガンガゼとガンガゼカクレエビ

そんなわけで次の生き物。

ガンガゼとガンガゼカクレエビです。

ガンガゼは長いトゲを持つウニの仲間ですが、そのトゲの間で暮らすのが、ガンガゼカクレエビ。
カクレエビはガンガゼのトゲで身を守ってもらうわけですね。

ちなみに、ガンガゼがカクレエビと共生することによる利益は、現在よくわかっていないのです。
これは、共生する両者の片方にしか利益が発生しない、「片利共生」、という共生の一種です。

しかもそれどころか、「ガンガゼカクレエビは身を守ってもらうだけでなく、ガンガゼのトゲをエサにもしている」という、研究報告もあるくらいで、ガンガゼカクレエビ、片利すぎます。

しかし、このガンガゼカクレエビの片利具合、ぼくにとっては理想に思えます。
守ってもらうだけじゃなくて、いつでもぼくに優しくご飯をおごってくれるような先輩。
素敵じゃないですか??
そんな先輩、上司に巡り会えたらさぞ素晴らしい人生が歩めるでしょう。

そうか……世知辛い世を渡るためには、ぼくにとってのガンガゼを探せばいいんだ…!

ぼくは伊豆の海でそんなことを考えたわけです。

ネジリンボウとニシキテッポウエビ

続きまして、ネジリンボウとニシキテッポウエビです。

こちらも、ダイバーにはお馴染みの共生でしょう。

穴掘りが得意なニシキテッポウエビが巣穴を堀り、目の良いネジリンボウは周囲の敵を警戒し、敵が近づけば皆で巣穴に逃げ込むという相利共生です。
ちなみに、ハゼ科の魚とテッポウエビ科のエビは、よく相利共生することがあるそうです。

この共生…、美しくないですか?

お互いの長所を活かし合い、敵から身を守る。
まるで熱い友情のようなものを感じます。

そして、それは、ガンガゼとガンガゼカクレエビの関係からは感じられないようなものです(と、ぼくは勝手に思います)。

これだ…。
これこそがぼくが学ぶべき処世術。
誰かに守ってもらうのではない、誰かと、もとい、互いを活かし合える仲間と共に助け合い生きていく!

略して「共生」!

ああ、ぼくが間違っていました!
きっとぼくに必要なのは、自分がネジリンボウになり、ニシキテッポウエビのような仲間を見つけること。

誰かと助け合い生きていけるような、そんなオトナになります!お母さん!

さて、そんなわけで今回はぼくみたいな若造が共生から、世の中の渡り方を考えてみました。

海の中で学んで陸の上で活かせることって、あるものですね。
今日も海に感謝しながら、立派なオトナになれるように、精進したいと思います。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

PROFILE
横浜在住のダイビング歴一年ちょっとの新米ダイバー。ハタチのお気楽大学生。
大学生ダイビングサークル、「Ocean KIDs」でダイビングに出会い、同サークルの現会長を務める。
これからの人生において自分は大好きなダイビングとどんな付き合い方をしていくか、ということを考える毎日。
実はダイビングと同じくらい音楽が好きだったりして、音楽雑誌「OTONARI」の刊行にも関わる。
  • facebook
  • twitter
FOLLOW