三保の海の伝道者であり海洋学部の研究者・鉄多加志による連載スタート!
連載を始めるにあたり、まずは、私、鉄多加志の履歴書です。
1965年に清水で生まれ、小中学校で水泳をやるかたわらで、スキンダイビングの技術を磨く。
大学入学と同時に、Cカードを取得し、年間平均200本潜り、本格的にダイビング活動を開始。
大学卒業後にインストラクターを取得し、4年間は札幌を拠点に水中撮影の仕事に携わる。
その後、清水に戻って、地元の海を紹介する事に開眼して、ガイドに専念しながら、写真や映像を撮影して、三保の海を発信し続けてきた。
何故?
ガイドの仕事にのめり込んだのかは、自分の生まれた場所を、なかなか良い場所ですよ、と声高らかに宣伝することは気恥ずかしい。
これが、故郷ではなく「ここの地に骨を埋める」と決めた場所であれば、また違った真剣味も発揮できると思うのだが、その差が足を引っ張る(笑)。
インストラクションは、基本的に「水中世界への導線」を引く仕事であるから、地元の海である必要性は無い。
あえてそこでやる理由付けをすれば、手近でできると言った利便性に尽きる。
しかし、その唯一の理由も「視界不良」というレッテルを前にしては、効果は逆に働いてしまう(自爆)。
ならば、「水中世界の魅力への導火線」に火をつける仕事の方がこの場所無向いていると考え、三保のポテンシャルを知るために、出社前に1本潜り、仕事が終わってから1本潜り、と器材が乾く暇がないくらい潜り倒した。
この海を紹介してお金を貰うのだから、その準備は万端であるべきだし、怠ってはいけないと、寸暇どころか寝る間を惜しんで潜った時期もあった。
陸上では、呼吸によるガス交換の際に、炭酸ガスよりも不活性ガスの方が多く排出されていたのでは?と妙な想像をするくらい海の中にいた。
潜水作業や調査の仕事に対しても精通していたので、レクリエーショナルとコマーシャルの二面性を理解している人材として、東海大学海洋学部で「潜水概論」の授業を8年ほど担当。
時を同じくして、「三保水中生物研究会」を発足させ、海の魅力の伝達方法を新たに模索する。
潜水を必要とする研究に携わり、南伊豆のニール号発掘調査やテトロドトキシン保有生物のフィールド調査や採取に協力し、研究の完成に貢献をする。
このような教育活動や学術研究が評価され、東海大学海洋学部に登用され、今に至る。
オーシャナの読者さんには、ダイバーズ・プロ アイアンやガイド会事務局長のイメージが強いと思いますが、この記事の中では、東海大学海洋学部の講師として、あまりハメを外さないような内容を心がけつつ、研究者としての探究心を通じて、海の面白みが伝えられるよう尽力したいと思います。