森がね、森が呼んでるんだよ。オレを ~海だけじゃないフォトジェニックシーン~

ヤップの森(撮影:越智隆治)

撮影地:ヤップ

南の島にダイビングに出かけた時、多くのダイバーは海の中や海中生物にしか興味が無い人が多いように思う。
後は、天気が良いときに、船上やビーチで風景を撮影、出てきた食べ物を撮影、友だち同士の記念撮影……。

自分は、陸の自然にも身近に接する事ができる南の島だからこそ、撮影したい写真ってのがある。

それが、熱帯の太陽の光とスコールの雨水によって光輝く、豊潤に成長した巨大な葉をつけた植物の生い茂る豊かな楽園をイメージさせてくれるジャングルの中での撮影。

はっきり言えば、わざわざ人気の無いジャングルの中に分け入って、蚊に刺されながら撮影するのは面倒くさいって思う人が大半だけど。

天気が良くて、大きな葉っぱの間から木漏れ日が差し込み、しかも雨上がりとかで木々や植物に水滴の付いた初々しいジャングルの中って、とってもフォトジェニックで写欲をかき立ててくれるんです。

部屋の窓からぼ〜っと外を眺めていて、そんな写真が撮れそうな時、ガイドの人に、「ねねね、お願い、車出して」とせがみ、「どこ撮影に行くんですか? 晴れたからビーチ?」と聞かれると、助手席に乗り、前方を見ながら「森が、森がオレを呼んでるっつ〜の」とぼそぼそと答えると「は?」と返事がかえってくる。

たたみかけるように、「森がね、森が呼んでるんだよ。オレを」と何かに取り憑かれたように、同じ返事を繰り返す。
頭の中には撮影の事しかないから。

あなたも、南の島に出かけたら、たまには、森に呼ばれてみて下さい。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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