朗報!? 本当!? フカヒレの取引きが82%減少のニュースの信憑性

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神子元島のハンマーヘッドシャーク

世界中でサメのフィンニングがサメの激減の原因という非難の中で、中国南部でのフカヒレの取引きが、わずか2年で82%も減ったという、まことに喜ばしくも、にわかには信じがたいニュースがありました。

とにかくニュースを伝えたナショナル・ジオグラフィックの3月号の記事を、まとめてみましょう。

「フカヒレのためにサメが捕獲され、この30年間でハマーヘッド、マコ、タイガーなどを含めて、ある種のサメはほとんど絶滅まで個体数が激減した。しかし野生生物保護団体ワイルドエイドの報告によると、世界最大のフカヒレ消費者である中国での需要が低下したことで、この海洋の頂点にいるプレデーターの絶滅への流れが変わってきたようだ。世界中の非難の声に押されて多くの国がサメを獲って、ヒレだけを切って、サメを捨てる”フィンニング”を禁止した。国によってはサメの漁獲も同時に禁止した。2012年以来、フカヒレ取引の中心地、中国南部での、売買は82%減少した。(中略)これは悲惨な結末からよい方向に向かっているようだ」
(ナショナル・ジオグラフィック2015年3月号より)

とまー、近頃にない明るい話題であります。
この中国南部というのは、もちろん香港でありまして、世界のフカヒレの取引きの70~80%がここで行われてといわれておりますから、本当に82%も減少したのであれば、絶滅などという悲惨な事態は回避されそうです。

フィンイングが世界中で“おいしい”商売なのは、漁業先進国では他の魚と混獲されたサメを加工利用し、冷凍保存も加工設備もない発展途上国では干してフカヒレにすれば麻袋に詰め込んで送れば、とてもよい稼ぎになります。

日本もフィンイングこそしませんが、世界有数のフカヒレ生産国であります。
気仙沼のフカヒレはもっとも高級素材とされております。
その輸出が途絶えた話も聞きません。

確かに、近年中国のお役人の会合ではフカヒレやツバメの巣などのぜいたく品の料理の禁令がでたようでありますが、それぐらいじゃ数字に大した影響もありますまい。

そんな経済的な背景もあって、困ったことに、ある日突然やめろと言われても、作る方も売る方もそう簡単にはやめられるはずがないのであります。
ましてや世界を股にかける国際密輸組織もあるともいわれております。

その最大の消費地で取引地、中国の人口は世界の1/5、そりゃ1%、2%減ったというのなら、かえって真実味があります。
香港で取引が82%も減ったとすれば、東京の中華料理屋さんにだって影響大のはずです。たぶんウナギの高騰のごとき問題になって、そんな話題が飛び交うはずです。

ヤドカリ爺、天下のナショジオがまるで信憑性のない話を取り上げることもないと思いつつ、ほんとかねー!!の感を禁じ得ないところです。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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