すでに赤ちゃん誕生!? 2015年、御蔵島で出産しそうなお母さんイルカ予想!

 

御蔵島のイルカ(提供:小木万布)

GW目前! 気候があまり安定していませんが、気温は徐々に上がってきています。
残念ながら黒潮本流が八丈島の南へ蛇行、青ヶ島付近を流れているため、御蔵島周辺の海水温は16度前後と、とても低い状態です。
それでも、徐々にお客様は来られています。
きっと頭が「キーーーーーーーーンっ」とするくらいの温度、いやほんと尊敬します!

さて3つ前の記事(イルカウォッチング2015が解禁!赤ちゃんイルカ冬を越せたのか?|オーシャナ)で、昨年生まれの赤ちゃん話をしましたが、今回は今年生まれそうな赤ちゃんについて書いてみます。

その前に……

これまでにも書いていますが、ミナミハンドウイルカの出産、子育て特性についておさらいしてみましょう。

  1. メスイルカが初めて赤ちゃんを産むのは、だいたい10歳頃からです。
  2. 御蔵島周辺に住んでいるミナミハンドウイルカは、これまでの調査から3~4年に一度のペースで出産することが明らかになっています。
  3. 母イルカと子イルカが一緒に泳ぐ期間も3年弱続きます。
  4. また、生まれた子供が3年以内に見えなくなってしまった場合(死んでしまったと考えられる場合)、翌年や翌々年に出産することが多いのも経験測で分かっています。

つまり、成熟したメスイルカはずーっと子育てしているか妊娠しているかの状態にあることが多いようです。

御蔵島のイルカ(提供:小木万布)

と、いうことはですよ。
毎年続けている個体識別調査から、過去のデータを見直して、「3年以上前に出産している母イルカ」「昨年子供を連れていない母イルカ」「そろそろお年頃な若いメスイルカ」に目星を付ければ、今年出産しそうなメスが予想できちゃうということなんです!

そうして見た私の予想は、12頭!

ただ、出産はどこで? どのタイミングで? あるのか、まったく分かっていません。

過去には、後産の胎盤が拾われたり、産後間もなく死亡したと考えられる小さな赤ちゃんイルカの死体が見つかったりしたこともありますが、お産の途中や瞬間が野生状態で観察された例を私は知りません。

なので、生まれたかどうか? は、産後少し立ってから母イルカと泳ぐ赤ちゃんイルカを確認するしか方法が無いのです。

しかし、せっかく生まれたすべての赤ちゃんが無事に育つとは限らないのが自然界。
すべての赤ちゃんを確認するのは不可能に近いことかもしれません。

そのためには、とにかく観察する目の多さ! が大切になります。

実際、調査員による報告より、お客様やガイドさんからの報告で出産が明らかになったことの方が多かったりします。

今年もすでに、1頭生まれているっぽい情報をお客様から頂きました。
もし、赤ちゃんを連れている母イルカの写真が撮れたら、観光協会までご報告いただければ嬉しく思います。

でも、写真を撮るために無理に追いかけたり、近づきすぎたりはしないように、お願いします。

正確なイルカの生活を知ることも大切ですが、イルカの生活が脅かされないということが一番大切なことだからです。
そっと見守りつつ、運良く近づいてきてくれたときだけで構いません。

さて、私の予想。
当たるでしょうか?

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PROFILE
山形大学農学部で、テントウムシの産卵生態を研究をしていたが、「もうちょっと大きな動物を研究したいなぁ」と路線変更。
三重大学大学院在学中に、御蔵島をフィールドとしてイルカの行動研究を始める。

2004年、御蔵島で観光協会設立に関わり、同大学院を中退。
現在、御蔵島観光協会勤務。

観光案内業務、エコツーリズムの普及活動、イルカの調査取りまとめを行っている。

■著書:
「イルカ・ウォッチングガイドブック」水口博也(編著)144pp. ウォッチングと生態研究の両立-御蔵島のイルカをめぐって
「クジラと日本人の物語―沿岸捕鯨再考」小島孝夫(編集) 第4章クジラと遊ぶ..
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