え!? タイのホソヒラアジがホソヒラアジじゃなかったことが判明
タイの「サムイダイビングサービス」の増子均さんより、衝撃の事実を教えていただきました。
タオの海は、流れないのに魚影が濃く、とんでもない群れの凝縮度として知られています。
潮の当たるセイルロックやチュンポンピナクルなど沖合の根ではもちろん、水深10mもないような湾内のポイントでも群れに巻かれることもあるほどです。
そんな、群れの種類は、ギンガメアジ、ツバメウオ、オオカマス、ピックハンドルバラクーダ、キンセンフエダイといろいろですが、ホソヒラアジもめっちゃ玉になってくれる、タイを代表する魚のひとつ。
ところが……「ホソヒラアジじゃなかったんですよ……」と増子さん。
え?
僕もいろんなところで、ホソヒラアジって書いてきちゃったんですけど……。
増子さんが、知人が同じような魚の写真をブログにアップしていたので聞いてみたら、オックスアイ・スカッド(Oxeye scad 学名Selar boops)という答えが返って来たそうです。
そこで、我らが魚類同定の専門家「神奈川県立生命の星・地球博物館」の瀬能宏先生に、「ホソヒラアジ」の画像を送ってみたところ、こんな返答が。
「(この写真の魚は)Selar boopsです。ホソヒラアジとS. boopsでは側線の形状がまったく異なります。前者は前半の曲走部がなだらかな曲線を描き、体の後半まで達していますが、S.boopsでは曲走部が短くて急な曲線を描き、体の前半で終わっています。
また、ホソヒラアジは側線の直走部の稜鱗が小さく、目立ちませんが、S.boopsの稜鱗は大
きく、水中写真でも比較的よく目立ちます」と、アッサリと違いを指摘されたそうで……。
しかも「沖縄では開けた湾(例えば中城湾)の定置網で漁獲されているので、サンゴ礁があるような海域には生息していないではないかと思います」とさらなるダメ出し。
本物のホソヒラアジの画像は、瀬能先生のデータベースにも登録されていないので、言い換えれば超レアものになるわけです。
「今まで10数年間、『これはホソヒラアジですよ』と紹介し続け、雑誌やメディアにもその名前で載っていたのに……。そりゃあ現地ガイドが言い切ったら、それが通ってしまいますよね。と、間違い続けていたことに反省しています。しかし、だったら図鑑に載っているホソヒラアジの写真はなんだったのだろう? と、疑心暗鬼に駆られる今日この頃です」
いや、メディアも魚をひとつひとつ確認せずに、ガイドさんが言っているままに書く病なところもあるので同罪ですし、図鑑が間違っていたら……。
増子さんには、すべてがOxeye scadかどうか、これからは側線とニラメッコして確認していただき、いつか、ホソヒラアジいました! というニュースを待っています。
■写真提供/増子均