いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方(第1回)

【マスク編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!

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「ダイビング器材をほしいけど、種類と機能がありすぎてよくわからない…」。そんなダイバーに向けて、いまさら聞けないダイビング器材6種(ダイビングコンピュータ、マスク、シュノーケル、フィン、BC、レギュレーター)の基礎と失敗しない選び方を6回にわたりご紹介していくこの企画。第2回目となる今回は、ダイビングの醍醐味でもある美しい水中世界を観察するために欠かせない「マスク」について。第1回目と同様に、多種多様なメーカーの器材を扱い、日々たくさんのダイバーと接している、ダイビング器材販売店「AQROS渋谷」マネージャーの向山涼子氏にお話しを伺いながらご紹介していく。

1、水中世界を観る上で一番大切なマスクとは?

▶︎マスクの基本的な機能と名称

マスクの基本的な役割は、水中世界をクリアに観られるようにすること。裸眼でプールに入ると水中がぼやけてしまうけど、ゴーグルをすれば観えた、という経験を持つ人も多いと思う。目と水の間に空気の層を作ることで、人間は水中で視界を確保することができるからだ。じゃあ、水泳用ゴーグルでもいいの?と疑問に思った方もいるかもしれないが、ダイビングで使用するマスクは水泳用ゴーグルとは異なり、圧力に強く、鼻をすべて覆う形になっている。これによりダイビング中に鼻から水が入ってくるのを防ぐだけでなく、ダイビングは深い水深まで潜り、マスクに圧力がかかるので、マスクブローと呼ばれる鼻から息を吐くことで圧力を下げる行為ができるようになるのだ。

2、マスクってどんな種類がある?

▶︎レンズの枚数

レジャーダイバー用に通常販売されているマスクの形状にはメガネのようにレンズが2枚使われた「2眼マスク」と、レンズが1枚の「1眼マスク」、そして3枚のレンズを使った「3眼マスク」の3種がある。1眼マスクの特徴は真ん中にフレームが来ないため観たいものに焦点が合いやすかったり、光が目元に入ってきやすいのでガイドやバディから表情が見えやすくなったりする。2眼マスクだと、左右で視力度数の異なるレンズを入れたりすることができたり、1眼マスクより内容積が小さくマクスクリアもしやすい。3眼マスクの特徴はなんといっても圧倒的な視界の広さだ。

左上:2眼、真ん中:3眼、右上:1眼

左上:2眼、真ん中:3眼、右上:1眼

▶︎フレームの有無

現在、世界的にも注目度が高いのが、フレームの無い「フレームレスマスク」。マスクをぶつけたときにフレームが割れる心配もなく、目とレンズの距離が近くなり視界も広くなる。さらにフレームがない分、顔まわりがスッキリするという特徴がある。アクアラング「プラズマ」マレス「ジュノ」TUSAM1010 Zenseeなど。

▶︎UVカット加工の有無

マスクは水中世界を観るためだけでなく、レンズをUVカット加工付きにすれば紫外線から目を保護することもできる。ダイビング前後に水面で待機しているときなどは、太陽からの直射日光や水面からの照り返しで肌や目に紫外線が沈着しダメージを受けやすくなる。レンズをUVカット加工付きにすれば紫外線から目を保護することもできるのだ。

▶︎レンズの色

レンズにも無色透明や、黄色味がかったアンバーカラーなど、いくつか色がある。アンバーカラーは、物の陰影(コントラスト)をくっきりさせる効果があり、水中でも景色や魚の輪郭がハッキリと見える特徴が。他にはミラーの有無もある。ちなみにスピアフィッシングをやる人にはミラーが人気だという。なぜならミラーが入っていると魚に黒目の動きがバレにくいからなんだとか。それなら、ダイビングでも魚に近づけるかも!と思ったが、その前に排気の泡でバレてしまうだろう…。

▶︎シリコンとフレームの色

幅広いカラーバリエーションの中から、自分のお気に入りの色を見つけるのも楽しさの一つ。シリコンには、明るく視界も広いクリアシリコン、可愛らしさが出て女性に人気のホワイトシリコン、シャープでかっこよく横からの光も遮るフォト派向けのブラックシリコンなどがある。フレームは、マスクメーカーによって多種多様。メタリック感のあるものからマット感のあるものまで。お気に入りの一つを見つけよう。

3、マスク選びで失敗しないように押さえておくべきポイントは?

マスクはダイビングでの視界を左右することから、とても大切な器材。自分の顔の形状に合っていないと、浸水してきたり、痛くなったりと大きなストレスを感じる。さらに視界が狭すぎて不安を感じたり、視界をより広くするために広げたものの光の屈折の仕方が気になったりと、感じ方はかなり個人差がある。このストレスが原因でエア消費が早くなることも。せっかくのダイビングなのにマスクが気になって楽しめないなんてこともあるのだ。だからこそ最初に選ぶ一品は特に、色やデザインだけでなく、ダイビング器材販売店などに行って実際に着けて、着け心地も大事にしてほしい。

▶︎顔の形に合っているか

ストラップをかけずに、かつ髪の毛が挟まらないように顔に装着し、鼻から息を吸い込んで、マスクがぴったりと顔にくっつけばOK!スカートと肌の間にシワやたるみがあり、空気が入ってこないかどうか確認しよう。また、レギュレーターを加えたときを再現するため、口を「イ」の字にしてもくっついているか確認しておけばなお良し!

▶︎鼻のつまみやすさ

耳ぬきの際に大半の人が鼻をつまむ。マスクを装着したまま、実際に鼻をつまんで、しっかりとつまめるかどうか確認しよう。ノーズポケットと自分の鼻の高さが合っていて、特に違和感なくつまめていれば問題ない。

▶︎最後はもちろん見た目も

顔にフィットすることを確認したら、鏡で見た目をチェック。レンズの枚数やシリコンの色でも雰囲気がだいぶ変わるので、自分の好みのマスクを見つけ出そう。

4、初心者におすすめのマスクのメーカー、ブランドって?

AQROSの向山氏が数あるマスクの中から初心者におすすめしたいマスクをピックアップ!

▶︎GULL「MANTIS LVR」

GULLの最高峰モデルのGシリーズから、小顔の男性や女性にも嬉しい二眼レンズの小型サイズが今春、新登場。付けていることを忘れるようなソフトなつけ心地なのに、しっかりとしたホールド感も損なわない、究極のフィット感のあるマスク。

▶︎TUSA「Paragon」

ダイビングで一番大切な視界を絶対確保するために3層構造フレームを採用。独自の技術で強い剛性力のスカートも実現し、他にないフィッティング性能と低摩擦加工で装着時の貼り付きを抑え肌触りの良さとなっている。

▶︎アポロ「バイオメタルマスク」

フレームがアルミ合金製(※)で、プラスチック製のものよりも高い強度を持ち、フレーム小型化を実現。そうすることで内容積が大幅に小さくなっている。マスククリアや圧平衡が楽にできるように。

※アルミ合金以外にも、さらに強度を増し、さまざまなカスタマイズが可能なステンレス製/チタン合金製のものもある。

5、マスクの関連グッズは何がある?

▶︎ファストストラップ

まるでスノーボードで使用するゴーグルのような、ダイビングマスク専用の付け替えストラップは、髪が絡まないので、装着も簡単。調節も楽で最適サイズにセットしたらその後は調整不要。全機種のマスクに対応しているわけではないので、お店のスタッフに確認してみよう。

▶︎レンズ用 油膜落とし

新品のマスクのレンズには油膜がついており、残ったままだとダイビング中に曇る原因に。油膜を落とす方法として歯磨き粉や中性洗剤があるが、歯磨き粉はかなり磨かないといけないし、中性洗剤の中にはフレームやスカートを傷めてしまう場合もある。そこでこのマスク専用の油膜落としを使用すれば、マスクを傷めることなく簡単に油膜を落とすことができる。ただし、レンズの種類によっては、コーティングが剥がれたり、傷がつく可能性もあるので、購入する前に自分のマスクとの相性を販売店スタッフと確認しよう。

GearAid「SEA BUFF」

▶︎曇り止めフィルム

曇りの原因となる水滴を形成させない超親水性により、ガラス表面に水の膜ができ水滴を作らないので曇らなくなる優れもの。ダイビング前に毎回塗る液体タイプの曇り止めとは、異なり1回貼ったら約1年間曇り止め効果が持続する。イメージは、スマートフォンの画面保護フィルターを貼る感じで、簡単につけられる。

お気に入りのマスクがあればダイビングがもっと楽しくなるはず。ぜひダイビング器材販売店などで試して、自分に合うものを見つけよう!次回の器材紹介もお楽しみに。

6、マスクはどこで買える?

ダイビングショップやダイビング器材量販店、ネット通販などで購入可能。AQROSでも本記事で紹介したマスク以外にもさまざまな機種を取り揃えている。実店舗での購入はもちろん、オンラインでの購入も可能。
▶︎ AQROS マスク オンライン販売ページ

取材協力:Diving & Snorkeling AQROS
今回は渋谷店で向山涼子氏にお話を伺った

今回は渋谷店で向山涼子氏にお話を伺った

「人と海を繋ぐ」、その架け橋となるために生まれたAQROS。世界中からセレクトした本格的なダイビングギアから、子供を笑顔にするマリングッズまで、AQROSならではの品揃えで、マリンレジャーへ新たな価値の提案を目指している。
渋谷店
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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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