【全6回】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方(第2回)

ダイブコンピュータの失敗しない選び方 基本機能・種類・おすすめ・関連商品も

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「ダイビング器材をほしいけど、種類と機能がありすぎてよくわからない…」。そんなダイバーに向けて、いまさら聞けないダイビング器材6種(ダイビングコンピューター、マスク、シュノーケル、フィン、BC、レギュレーター)の基礎と失敗しない選び方を6回にわたりご紹介!

お話を伺ったのは、多種多様なメーカーの器材を扱い、日々たくさんのダイバーと接している、ダイビング器材販売店「AQROS渋谷」マネージャーの向山涼子氏。第1回目となる今回は、自分の安全管理のためにも重要な「ダイブコンピュータ(通称:ダイコン)」について。早速、ご紹介していく。

安全管理には必須!ダイブコンピュータとは?

ダイブコンピュータの基本的な機能と名称

ダイブコンピュータの主な役割は、現在水深や潜水時間、減圧停止の必要がない無限圧潜水時間(NDL、または減圧不要限界やノンストップ時間)、水温、最大水深、安全停止のカウント、水面休息時間のカウントなどリアルタイムでダイビング中に重要なデータを知らせてくれることだ。各部位の名称は下図の通りだが、見た目は普段私たちが身につける腕時計とさほど変わらない。

ダイブコンピュータの各部位の名称

ダイブコンピュータの各部位の名称

なぜダイブコンピュータが必要なの?

ダイビングで減圧症にならないように、ダイビング前には安全な水深、潜水時間をダイブテーブルなどで計算し、ダイブプランを立てる。この一連の作業が少しややこしくて、面倒だなと思っている人も少なからずいるはず…。この計算を瞬時にしてくれるのが、ダイブコンピュータである。
減圧症とは

ダイブコンピュータを身につけてダイビングをすれば、逐一変化する潜水時間や深度を計測し、体内に過剰な窒素を溜め込まないように無減圧潜水時間をリアルタイムで表示してくれる。この無減圧潜水時間を超えなければ、減圧症にかかるリスクを減らせるというわけだ。「バディ1組で1つあればいいの?」「ガイドが1つ持っていればいいの?」と思うかもしれないが、いくら一緒にダイビングをしていても、まったく同じ水深、潜水時間でいることはまずないだろう。最近では、ダイビングショップでレンタルしているところもあるが、自分の安全管理をする上で超重要なアイテムなので、自分専用のダイブコンピュータを持っていてもいいかもしれない。
※ただしダイブコンピュータの計算はあくまで理論上の話。窒素が溶け込む量には個人差があるほか、個人でもその時の体調によって異なる。完全に頼るのは避け、計算よりも余裕を持ったダイビングをしよう。

ダイブコンピュータってどんな種類がある?

腕に取り付ける「腕時計タイプ」

最近の主流は、腕時計タイプ。軽量かつコンパクトで、デザイン性が高くオシャレなものも多い。いい意味でギア感が薄めでタウンユースにも馴染むものが日本では人気のようだ。ディスプレイは若干小さめだが、文字の大きさや配置などが工夫されていたり、カラーディスプレイタイプのものが登場したりと、見やすくなるように設計されている。

レギュレーターに取り付ける「コンソールタイプ」

あまり見かけることはないが、残圧計などと一体型のコンソールタイプのものもある。腕時計タイプのものだと、つけ忘れた!なんてことがあるかもしれないが、コンソールタイプならそんな心配もなし。

視認性に優れた「大画面タイプ」

大画面の最大の特長はやはり、視認性が抜群にいいこと。必要な情報を1画面で確認できるだけでなく、画面にゆとりがあるのでそれらの情報を詰め込まずに表示してくれる。

ダイブコンピュータの価格は5万円以下から15万円以上するものまで。レクリエーショナルダイビングで使用するための必要最低限の機能はほとんどのダイブコンピュータに備わっているので、どれを選んでも問題はないだろう。

失敗しないように押さえておくべきダイブコンピュータを選ぶポイントは?

視認性の高さ

ディスプレイが見やすいかどうかは、ダイブコンピュータを選ぶ上で最重要ポイント。水深が深くなればなるほど太陽の光は徐々に弱くなり、洞窟内やナイトダイビングではさらに弱い光になる。そんな中でもディスプレイの文字が間違いなく見えることが、安全なダイビングのためには必須条件。

ディスプレイ上には、どの機種にもバックライトは備わっているものの、現在水深や潜水時間、無限圧潜水時間などいくつものデータが表示されている中で、その時に欲しい情報をすばやく理解することが大事だ。視認性の高さは、画面のサイズや、液晶カラーディスプレイなどによって変わってくる。販売店などで実際に着用し、自分の視力などにも合わせて選ぶことをおすすめする。

大きさやディスプレイの色はダイブコンピュータやメーカーによってさまざま

大きさやディスプレイの色はダイブコンピュータやメーカーによってさまざま

バッテリーの種類

ダイブコンピュータは電子機器なので、もちろんバッテリー駆動だ。バッテリーのタイプには、ボタン電池式、ソーラー充電式、USB充電式の3つがあり、それぞれで特徴がある。

ボタン電池式

自分で電池交換できるタイプもあるが、一般的にはおおよそ2年に1度、ダイブコンピュータメーカーや販売店、器材オーバーホール専門店などに出して電池交換をしなければならない。そのため電池切れに気がつかず使えなかった…なんてことも。しかし、専門家の目に触れるからこそのメリットがある。それは、電池交換と一緒に耐圧検査をしてくれるので、ダイビング中に急に壊れてしまうというトラブルが未然に防げるのだ。

ソーラー充電式

太陽光の下に置いて充電をする。付属の充電器を持ち運んだり、定期的な電池交換も不要なのが最大のメリット。ただし、ディスプレイを保護するためのプロテクターを付けていたり、室内などの蛍光灯の下に置いて充電する場合、光量が足りず、フル充電まで時間がかかってしまうので注意が必要だ。いざダイビングで使ったときに、充電切れなんてことは避けたい。機種によって、現在の明るさで必要な充電時間がわかる機能が付いているAQUALUNG 「Calm plus+」などものもあるので、参考にしていただきたい。

USB充電式

専用のクリップで挟んだりマグネットで繋いだりして充電する。専用の付属品を持ち運ぶ手間が増えてしまうが、ソーラー充電式と違って一定時間が経てば確実に充電されるので安心だ。

専用クリップで挟んで充電するTUSA「TC1 IQ1301N」

専用クリップで挟んで充電するTUSA「TC1 IQ1301N」

素材

ダイブコンピュータをはじめとするダイビング器材は、冷たい水と温かい陸上を行き来することで、目には見えない収縮を繰り返していたり、水圧という大きな力も受けている。ダイビングを長く続けていきたいという人は、壊れにくい素材を選ぶのもいいだろう。ベゼルやボタンがすべてプラスチックでできているものから、さまざまな硬さのある樹脂、そして最も壊れにくい金属などがある。ベゼルだけでも金属のものにすることで、ディスプレイへの負担が軽減し、劣化は遅くなるので、自分のダイビングの頻度も考慮して選んでみよう。

ベゼルが金属でできているSUUNTO 「D5」

ベゼルが金属でできているSUUNTO 「D5」

おすすめの+α機能(エアインテグレーション機能、GPS機能、Bluetooth機能)

ダイブコンピュータの機種によっては、「トランスミッター」と呼ばれる小型機器をレギュレーターのファーストステージに取り付けることで、ダイブコンピュータにタンク残圧とエア消費量などのデータを表示させることができる「エアインテグレーション機能」が備わっているものもある。手元でタンク残圧を確認できるため、残圧管理がしやすくなったり、ダイビング毎にエア消費量をデータとして残しておくことができればどこでどのくらいのエアを消費したのかがひと目でわかり、ダイビングのログをより詳しく付けることができる。

他には「GPS機能」が備わっているものもある。ボートダイビングでポイント名はインストラクターから教えてもらったものの、それが具体的に地図上でどのあたりなのかわからない…ということはないだろうか。そんなときに、GPS機能があれば、ダイビングのエントリーとエキジットポイントが記録され、よりダイビングを楽しむことができるはず。

また、最近は多くのダイブコンピュータに備わっているが、「Bluetooth機能」もおすすめ。スマートフォンでログを転送できるので、いつでもどこでもログを確認することができる。

エアインテグレーション機能で残したデータをBluetooth機能でスマートフォンに転送できる。

エアインテグレーション機能で残したデータをBluetooth機能でスマートフォンに転送できる。

初心者におすすめダイブコンピュータのメーカー、ブランドって?

AQROSの向山氏は、「基本的にどのダイブコンピュータを選んでも、レクリエーショナルダイビングなら不自由なく楽しむことができます。あとは、自分のダイビングへのモチベーションや頻度を見極めて、機能や素材を選んだり、デザインを重視するのもいいと思います」と話す。その中でも初心者におすすめしたいダイブコンピュータをいくつかご紹介。

SUUNTO 「D5」

(写真提供:AQROS)

(写真提供:AQROS)

ダイビング後にはお気に入りのストラップに付け替えることもできて、タウンユースにも最適なスタイリッシュなデザインが特徴のモデル。一般的なダイブコンピュータのディスプレイ表示は英語の略式であることが多いが、液晶カラーディスプレイだと日本語表示に切り替えることができるのも嬉しいポイント。フリーダイビング向けの機能も備わっている。

AQUALUNG 「Calm plus+」

(写真提供:AQROS)

(写真提供:AQROS)

Bluetoothを搭載したソーラー駆動の“メイド・イン・ジャパン”ダイブコンピュータ。特長のひとつとして、光量に対する所要充電時間を表示する機能が付いているので、家の窓際や曇りの日に充電したい場合、充電するのに十分な光量が足りているのかわからない、という心配もなくなる。カラーバリエーションも豊富なので、自分のお気に色を見つけよう。

mares 「PUCK PRO+」

(写真提供:AQROS)

(写真提供:AQROS)

イタリア発のブランドであるmares。この機種はボタンが一個だけというミニマルなデザインが特徴的。自分で電池交換もでき、操作が簡単なので初心者にも使いやすいモデル。

TUSA 「DCSolar Link IQ1204」

(写真提供:AQROS)

(写真提供:AQROS)

4つのモード(ダイビング、ナイトロックス、フリーダイビング、ゲージ)に対応。さらに減圧症の対策として、一般的なダイブコンピュータと比べ、より細やかな計算を行っており、M値(ダイビングにおいては、無減圧限界時間で潜れる最大限の体内の窒素圧)警告機能も付いている。
※店舗での限定販売

ダイブコンピュータの関連グッズは何がある?

プロテクター(レンズガード)

ダイブコンピュータを誤って落としてしまったり、ぶつけたりすると、ディスプレイ部分に傷がついてしまうことがけっこうある。そのようなことを防ぐためにもダイブコンピュータの購入時にプロテクターを買うことをおすすめする。ただし、ソーラー充電式のダイブコンピュータだと、光がダイブコンピュータに届きづらくなってしまい、充電時間が長くなってしまうので、店舗スタッフに相談してみよう。

ストラップ

一部のダイブコンピュータでは、ストラップ部分を取り外し、違う色に変更できるものもある。普段使い用にレザータイプのものもあったり、ダイビング中だけでなく街中でもオシャレに身につけることができる。

編集部のオフショット。大きさ比較のために4つも付けたら、なんだか強そうになった。

編集部のオフショット。大きさ比較のために4つも付けたら、なんだか強そうになった。

一緒にダイビングを楽しめる相棒のようなダイブコンピュータを見つけて、自分らしくダイビングライフを充実したものにしていこう。次回の器材紹介もお楽しみに。

ダイブコンピュータはどこで買える?

ダイビングショップやダイビング器材量販店、ネット通販などで購入可能。AQROSでも本記事で紹介したダイブコンピュータ以外にもさまざまな機種を取り揃えている。実店舗での購入はもちろん、オンラインでの購入も可能。
AQROS ダイブコンピュータ オンライン販売ページ

Diving & Snorkeling AQROS
今回は渋谷店で向山涼子氏にお話を伺った。

今回は渋谷店で向山涼子氏にお話を伺った。

「人と海を繋ぐ」、その架け橋となるために生まれたAQROS。世界中からセレクトした本格的なダイビングギアから、子供を笑顔にするマリングッズまで、AQROSならではの品揃えで、マリンレジャーへ新たな価値の提案を目指している。

渋谷店
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〒901-2223 沖縄県宜野湾市大山7-10-27 宜野湾マリン支援センター2F

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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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