【全6回】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方(第4回)

【フィン編】いまさら聞けない、ダイビング器材の基礎と失敗しない選び方!

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「ダイビング器材をほしいけど、種類と機能がありすぎてよくわからない…」。そんなダイバーに向けて、いまさら聞けないスキューバダイビング(以下、ダイビング)器材6種(ダイビングコンピュータ、マスク、シュノーケル、フィン、BC、レギュレーター)の基礎と失敗しない選び方を6回にわたりご紹介していくこの企画。第4回目となる今回は、水中での動きやすさを左右する「フィン」をピックアップ。今回も、多種多様なメーカーの器材を扱い、日々たくさんのダイバーと接している、ダイビング器材販売店「AQROS渋谷」マネージャーの向山涼子氏にお話しを伺いながらご紹介していく。

1、フィンとは?

▶︎フィンの基本的な機能と名称

いわゆる足ヒレとも呼ばれるフィンは、水中で効率的に移動するために重要な器材。フィンは、どれも基本的な構造は同じだが各メーカーから多種多様な長さや形状、重さのものが販売されており、これらを自分の脚力や潜る環境、ダイビングスタイル、スキルレベルに合わせて最適なものを選ぶ必要がある。

「シュノーケル用の小さな短いフィンをスキューバダイビングにも使ってもいいですか?」という質問が向山氏にもよく寄せられるというが、スキューバダイビングはタンクも背負い、場合によっては流れに逆らうこともあるので、小さいフィンだと推進力が足らないので、スキューバダイビング用のフィンが適しているといえる。

2、フィンってどんな種類がある?

フィンには大きく分けて、フルフットタイプとストラップタイプの2種類がある。それぞれの特徴をご紹介。

▶︎「フルフットタイプ」

フルフットタイプはフットポケットがかかとまで覆われた形状のもの。自分のサイズに合ったものだと、足との密着度が高く、足の力がフィンに伝わりやすいので、まるで自分の体の一部のような感覚でキックできる。素材は重みがあり、よくしなるゴム製が一般的。ストラップフィンに比べると着脱しづらいが、慣れてくれば十分に使いこなせる。

メリット
自分の体の一部のような一体感でしなやかなキックをすることができるので、推進力を得やすい。
デメリット
ストラップタイプに比べ着脱がしづらく、慣れが必要。

▶︎「ストラップ(オープンヒール)タイプ」

かかと部分が開いており、ストラップになっているもの。ストラップにはサイズ調整機能や、金属製スプリング素材のものもあるので、片手で引っ張るだけで簡単にスピーディーに着脱できるのが最大の特徴。足場が不安定な場所でのフィンの着脱も、ストラップがあることによって、フィンを手に引っ掛け、その手で手すりや岩に掴まりながらフィンを着脱できるのも、ビギナーダイバーには嬉しいポイント。素材は、軽い樹脂のものも多い。

メリット
サイズ調整ができるので足のサイズが変わっても使える。着脱が簡単にできる。デメリット
足との一体感は、フルフットタイプに比べ感じにくい。

ストラップを外してサイズを変えることができる

ストラップを外してサイズを変えることができる

3、フィン選びで失敗しないように押さえておくべきポイントは?

フルフットタイプとストラップタイプといった種類の違いだけでなく、フィン選びをする上で注目したいポイントをご紹介。

▶︎フィンの素材

フィンの素材には大きく分けてゴム製と樹脂製がある。柔らかくしなるゴム製のフィンは、反発弾性(元に戻ろうとする力)により、効率的に推進力を得ることができる。各パーツの硬度や厚み、ブレードの長さによってさまざまな種類がある。フルフットタイプのフィンにはゴム製のものが多い。

対する樹脂製のフィンには、プラスチックやウレタンがあり、プラスチックは軽くて水中で足が沈みづらく、持ち運びも楽という特徴があり、ウレタンは反発弾性が良く、ゴム製と同じく1キックで大きな推進力を得ることができる。耐久性や発色の良さも特徴的。ストラップタイプのフィンには樹脂製のものも多い。

左:ゴム製、右:樹脂製

左:ゴム製、右:樹脂製

▶︎ブレードの長さ

フィンには約50cmのショートブレードから、約80cmのロングブレードまでさまざま。ショートブレードはロングブレードに比べ、スピードが出づらいが、疲労しづらいという特徴もある。

左:約50cmのショートブレード、右:約80cmのロングブレード

左:約50cmのショートブレード、右:約80cmのロングブレード

▶︎ブレードの形状

長さや幅の広さ、フィン先が二股に割れているものなどさまざま。形状が違うことによって、蹴り心地や推進力が変わってくるのでフィン選びでは注目したいところ。

▶︎ブレードのしなり加減

フィンは、ブレードがしなりやすいほど、弱い力で蹴ることができる。ブレードがしなりづらいと、ある程度の強い力が必要になるが、その分、一蹴りでグンッと進む推進力を生むことができる。イメージとして、しなりやすいフィンは自転車のギアを下げていて、しなりづらいフィンは自転車のギアを上げている感じ。ベストな蹴り心地を得るためにも、自分の脚力に合わせることが大切。

フィンによってしなりやすさが異なる

フィンによってしなりやすさが異なる

▶︎重さ

フィンの重さによって、水中での足の浮きやすさが変わってくる。ウェットスーツを着る場合は軽いフィンで足を浮きやすくすることで、綺麗なトリム(水平姿勢)を取ることができる。一方、ドライスーツを着る場合はフィンが軽いと足に空気が溜まりやすく、足が浮き気味になってしまうことがあるので、重めのフィンを選ぶことで足の浮きを軽減してくれる効果がある。

4、初心者におすすめシュノーケルのメーカー、ブランドって?

初めてフィンを購入する方や買い替えを検討している方に向け、向山氏がおすすめするフィンをいくつかご紹介。

▶︎TUSA「HyFlex SWITCH(ストラップタイプ)

着脱のしやすさを重視するならやはりストラップタイプ。素材には、低抵抗を実現する立体的なフォルムと高反発ウレタンの採用により、キック切り返し時にも推進力を生む。フットポケットとブレードが分解可能な「TUSA HyFlex」システム構造で、旅行時のパッキングに便利に。

▶︎SCUBAPRO「シーウィング・ノバ (ストラップフィン)

足の疲労を軽減しつつ、推進力もある海外で人気のあるフィン。フットポケットとブレードの繋ぎ目がヒンジ(蝶番(ちょうつがい))になっており、ダウンキックの最後の蹴り込みをフィンが行ってくれる。また、ヒンジ部分の推進力に必要のないデッドスペースをカットしているので、足が疲れにくい。

▶︎apollo「バイオフィン・プロ」(ストラップタイプ)

キックが苦手な方や脚力に自身のない方におすすめしたい、ゴム製でブレードの先が割れているフィン。「水を押して進む」のではなく「水を切り分けて進む」という推進原理で、小さなパワーで大きな推進力を実現。

▶︎GULL「ミュー」(フルフットタイプ)

足との一体感がほしい!という方には、幅広いダイバーの脚力とシーンに合わせて推進力を得られるスタンダードなフルフットフィンがおすすめ。力の入りやすいダウンキックに強いリブ構造となっており、しっかりと水を捉えることができる。

▶︎TUSA「カイル」(フルフットタイプ)

「1ダイブ最後までしっかり、楽に蹴りきれるフィン」をコンセプトとした、フルフットフィン。ブレードの長さを極力短くしたショートブレード設計で、取り回しが非常に楽で疲労しづらい。

▶︎マレス「アヴァンティ HC プロ」(フルフットフィン)

軽くて持ち運びが楽な、軽い海外で人気のある樹脂製のフルフットタイプ。キックがぶれないように側面を補強した、人間工学に基づいた柔らかいフットポケットが特徴。

5、シュノーケルの関連グッズは何がある?

▶︎ブーツ/ソックス

フィンを買うときにはブーツやソックスの購入も一緒に検討したい。ストラップタイプのフィンは、ブーツを履くことが必須となっており、一般的にソールが厚く、ファスナーがついて足首まで丈のあるブーツがおすすめ。生地の厚さも5mmや3.5mmなど選ぶことができる。またソールの種類もいくつかあり、陸上でも歩きやすい「スニーカーソール」やボートでも滑りづらい「デッキソール」、岩場でも滑りづらい「フェルトソール」などある。ソールの厚いブーツであればビーチダイビングでもボートダイビングにも対応できる。

フルフットフィンには、ファスナーが付いていない足首を動かしやすいフルフットフィン専用ブーツや専用ソックスを履こう。ソックスの場合、ビーチダイビングには不向き(※)なので、注意したい。また、ショート丈のブーツにするとフィンを脱ぐときに一緒に脱げてしまう場合があるので、保温性もあるロング丈のブーツがおすすめ。もちろん素足でもフィンを履くことは可能だがフィンずれをする可能性があるのでおすすめしない。

※ビーチダイビングの場合、エントリーするまでに陸移動や岩場の上を歩いたりするシーンが出てくるため、薄いマリンソックスだと足を痛めてしまう。エントリーする直前までビーチサンダルを履ける足袋のようなマリンソックスも販売されているので検討してみよう。

左からフェルトソール、フルフット用ブーツ、デッキソール、スニーカーソール

左からフェルトソール、フルフット用ブーツ、デッキソール、スニーカーソール

フルフットフィン専用ソックス

フルフットフィン専用ソックス

▶︎ストラップ

ストラップタイプのフィンによっては、ストラップ単体の別売りもあり、後から付け替えることが可能。ただし、メーカーごとに形状が異なるため、同じメーカーのラインナップを確認しよう。

6、フィンはどこで買える?

ダイビングショップやダイビング器材販売店、ネット通販などで購入可能。AQROSでも本記事で紹介したフィン以外にもさまざまな機種を取り揃えている。実店舗での購入はもちろん、オンラインでの購入も可能。
▶︎ AQROS フィン オンライン販売ページ

フィンは自分の脚力に合わせたり、潜る環境によっていくつかのフィンを使い分けたりすることもおすすめ。購入する際には販売店で実際にブーツと合わせて試着したり、海で開催されるモニター会などに参加して実際に水中で使ってみるのもいいだろう。ぜひ自分のダイビングスタイルに合うフィンを見つけてほしい。

次回の器材紹介もお楽しみに。

Diving & Snorkeling AQROS

「人と海を繋ぐ」、その架け橋となるために生まれたAQROS。世界中からセレクトした本格的なダイビングギアから、子供を笑顔にするマリングッズまで、AQROSならではの品揃えで、マリンレジャーへ新たな価値の提案を目指している。

渋谷店
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町32-15 ヒューリック渋谷センター街5F

池袋店
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-22-5 サンケエビル5F

沖縄店
〒901-2223 沖縄県宜野湾市大山7-10-27 宜野湾マリン支援センター2F

向山涼子氏Profile
2019年に池袋店の店長に就任。2021年にはリニューアルした渋谷店の店長へ着任。シュノーケリングから水中撮影までお客様にぴったりのものをモットーに日々ご案内中!
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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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