「BSAC JAPAN」35周年記念企画 ~From the past to the future~(第3回)

【vol.03】eラーニングを新たに導入! BSAC JAPAN「トレーニングの変遷」

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Part2 ついに開始!BSAC JAPAN eラーニング導入
~BSAC Japan 本部 ナショナルインストラクター 七尾慶一氏インタビュー~

次に話を伺ったのは、eラーニングプログラムの講師役を務められた七尾慶一氏。BSAC JAPANが提供するeラーニングのプログラムはどのようなものか?日頃から講習生のみならず、インストラクターの育成に関わっている七尾氏にじっくり伺ってみた。

今の時代だからこそのメリット、デメリットの両方がある

オーシャナ編集部(以下、――)BSAC JAPANでは、新たにeラーニングを導入されるとのことですが、導入の経緯やタイミングなどについて教えてください。
 

七尾慶一氏(以下、七尾氏)

eラーニングは他社が先行して導入したので、「eラーニングをやらないのですか?」というお問い合わせを今まで随分いただいてきました。
BSACでは英国本国も含め、これまで導入をしてきませんでしたが、それは顔を合わせて講習をするというBSACのポリシーや個性があったからです。また、会っていない状態で講習を行うことのデメリットの方が大きいと考えていたからでもあります。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大によって、BSACの英国本国でも方針が変わり、eラーニングが導入されました。日本でも緊急事態宣言が発出された後、すぐに加盟店からの要望が寄せられて、必要性を検討して導入を決定しました。

BSACのインストラクターの多くの方は、実際に会って話をして自分自身を知ってもらったうえで、講習生のことも知ることを大事にしています。そのためeラーニングに懐疑的であったり、否定的だったりする加盟店もあります。そこで、できるだけその理由となる部分をなくす方法を考えて、開発を進めました。
今の時代、出かけなくて講習を受けられるということにメリットを感じる方も増えているので、導入することにいたしました。eラーニングの受講申し込み開始は、6月20 日(月)からになります。

――BSAC JAPANで行うeラーニングの具体的な内容を教えてください。
 

七尾氏

BSAC JAPANのeラーニングは、ネット環境があればPC、タブレット、スマートフォンでいつでも、どこでもコースを受講できます。文字が見える、見えないの問題があるため、PCかタブレットでの受講を推奨しています。
一般的なeラーニングで使用されている学習管理システムのLMS(Learning Management System)を使用しており、受講生の講習の進捗や、各チャプターに設けられた理解度確認テストの成績などを確認して、受講期間内(6ケ月)であれば、何度でも受講することができます。

――申し込みはどのようにできるのですか? 
 

七尾氏

 eラーニングの申し込みは、専用サイトから進めていただけます。このときに注意していただきたいのが、事前にお店やインストラクターを決めて、説明をしっかりと受けてから申し込んでいただくということです。

これは、コース内容や料金をきちんと確認していただき、理解したうえで講習を受けていただくためです。事前の説明を受けて納得していただいたら、コースの申し込みに進んでいただきます。顔を一度合わせて説明を聞いておくことで、その後の実習のときなどもインストラクターに親近感が持てると思います。

――eラーニングの既存の対面講習との違い、メリット、デメリットなどがあれば、お聞かせください。
 

七尾氏

表1を見ていただきたいのですが、一番大きなメリットは、受講生の方が自分の好きな時間に好きな場所で講習を受けられることです。新しい生活様式の今、知らない人と接触することなく受講できることもメリットだと思います。ショップ側にも、講習を開催する手間や時間を削減できるというメリットがあります。

■表1 eラーニング講習のメリットとデメリット

・メリット
受講生にとってのメリット 事業者(ショップ)にとってのメリット
自身のデジタルデバイス(PCかタブレット推奨)を使用して、コースを受講することができる。 学科講習を開催する手間や時間を、削減することができる。
好きな時間に好きな場所で、自身のペースでコースの受講を進めることができる。 時間的に受講が難しいと考えていたお客様や遠方のお客様、対面の学科講習を避けていたお客様など、潜在的な客層の掘り起こしができる。
新しい生活様式の今、人との接触を減らして学科講習が受講できる。

・デメリット
受講生にとってのデメリット 事業者(ショップ)にとってのデメリット
講習の疑問点に対して即座に回答がもらえない。 講習の理解度などを確認できない。
実技講習まで、どのようなインストラクターから教わるのかがわかりにくい。 受講生の雰囲気や、緊張感などを確認できない。

 

七尾氏

しかしデメリットもあります。インストラクターは学科講習の中で受講生と多くのコミュニケーションをとっていきます。その中で理解度を確認しながら進めていき、受講生の新たな情報や、緊張している雰囲気などを踏まえて実技講習(プール実習や海洋実習)に進んでいきます。

しかしeラーニングは、受講生の雰囲気や緊張感などを把握できにくい環境にあるといえます。またダイビングの楽しさや、ダイバーになるとどんなことができるのかなどを伝えることも難しいと思います。

「わかりやすさ」と「SAFTY FIRST」が盛り込まれたeラーニングの教材

――七尾さんは今回、eラーニング教材の講師役を務めらえているそうですね。学科講習で気になるのが、ダイビングでは難しい専門用語なども出てきますが、こういったものは、どのように教えてもらえるのでしょうか? 
 

七尾氏

BSAC JAPANのeラーニングは、日本向けに編集されたマニュアルをベースに開発しているので、シンプルでわかりやすい内容になっていると思います。

eラーニングの教材撮影風景。撮影はかなりの長時間にわたったそうだ

eラーニングの教材撮影風景。撮影はかなりの長時間にわたったそうだ

――eラーニングでは、講習のどこまで進み、わからないことはないかなどを確認することが欠かせないと思います。BSAC JAPANの講習ではどのような工夫をされていますか?
 

七尾氏

本来最後のテストまでeラーニングで完結してもらった方が、事務局としてもお店としても、もちろん楽です。しかしこれでは「本人が本当に受講したのかわからない」という問題が発生します。また理解度が不足したまま海洋実習に進んでしまうことにもリスクがあると考えています。

このようなケースをできるだけなくすために、実技講習の前にインストラクターが受講生に対して「理解度のチェック」の時間を設けて理解度を確認し、その後ショップでインストラクターの管理下でテストを受講してもらいます。
実際に水中に入る前には、インストラクターから直接講習を受けたのと同じ習熟度になっていることが目的で、このことによって受講生の安全度を高めていけると思います。

eラーニングの教材は動画や図などを効果的に使っていて、とてもわかりやすい

eラーニングの教材は動画や図などを効果的に使っていて、とてもわかりやすい

――安全ということで言いますと、BSAC JAPANのポリシーである「SAFTY FIRST」はどのように教材に反映されているのでしょうか?
 

七尾氏

「バディシステム」という言葉はマニュアルにもよく出てきますが、実際に海に入るとそれどころではないということも多いものです。これは知識と実技両方が伴わないといけないのですが、マニュアルの中にもバディシステムという言葉は散りばめるようにしています。
「安全はすべてのダイバーがつくるもの」ということで、実際にバディシステムはどのようなものかを理解していただけるように工夫をしています。

また実技的な部分につきましては、途中でYouTubeの動画が見られるようにしています。教材も必要なとき、何度でも見返していただけるようになっています。

――最後になりますが、BSAC JAPANの今後のeラーニングの展望、期待していることなどをお聞かせください。
 

七尾氏

今まではお店に足を運んで、学科講習、プール講習、海洋実習という流れでしたが、eラーニングを導入したことでお客様が足を運ぶ回数が減り、より気軽に講習を受けられるようになります。

また、沖縄などのリゾートで体験ダイビングをする方がとても多くなっています。その方たちに事前にeラーニングで学科講習を受けておいていただけると、現地でダイビングすることでCカードが取得できます。

そういう意味でもeラーニングを始めることで、今まで講習を受けることに二の足を踏んでいた方に、新たにダイバーになっていただける可能性が広がると思っています。結果的にダイバー人口も増えていくのではないかと期待しています。

――eラーニングを活用して、多くの方にダイビングを始めていただけるといいですね。ありがとうございました。
 
記念すべき35周年にデジタルCカード、そしてeラーニングを導入したBSAC JAPAN。これからダイビングを始めようと思っている方は、ぜひeラーニングを利用して、ダイバーデビューしてみてはいかがだろうか。

eラーニング受講の流れ

BSAC JAPANのeラーニング講習を受けるには、ダイブセンターに連絡するか、BSACの専用サイトに申し込みを。

■ダイブセンターに直接申し込む場合

1.受講生がダイブセンター(インストラクター)に申し込みの連絡をする。
2.ダイブセンター(インストラクター)が受講生に必要事項を伝える。
(コース料金、別途かかる費用、必要な時間(受講期限)、コース開催場所、キャンセル規約、その他独自のメンバー制度など)
3.契約内容に同意して、申込専用サイトから申込手続きを開始する。

■BSACの専用サイトで申し込む場合

1.専用サイトで、事前に受講するダイブセンター(インストラクター)に連絡をする旨が表示される。
2.受講生がダイブセンター(インストラクター)に連絡して申し込みの予約をする。
3.ダイブセンターが受講生に必要事項を伝える。
(コース料金、別途かかる費用、必要な時間(受講期限)、コース開催場所、キャンセル規約、その他独自のメンバー制度など)
4.契約内容に同意して、申込専用サイトから申込手続きを開始する。

申込専用サイト

Sponsored by BSAC JAPAN

1953年に英国ロンドンで設立され、今では世界中に支部を持つダイビング指導団体。2014年には英国王室ウィリアム王子が総裁に就任。
「SAFETY FIRST(安全はすべてにわたって優先する)」を基本理念に、各プログラムの開発等も行っている。

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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