【新製品】ダイビング器材も環境に配慮したものを選ぶ時代へ。APEKSの新レギュレーター「OCEA」

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世界中のテクニカルダイバーに愛されるイギリスのダイビング器材ブランド「APEKS(エイペックス)」から、環境に配慮したレギュレーター「XL4 OCEA(オセア) レギュレーター(以下、OCEA)」が新しく登場した。

水中で呼吸するために必須のレギュレーターは、安心安全にダイビングを行う上で最も大事な器材といえる。そして、近年では、性能はもちろん、製品自体のサスティナブルな取り組みも購入基準として重要視される時代に突入。そんな中、ダイビング器材の新たな可能性へ挑戦した環境先進国イギリス発のレギュレーター「OCEA」のすごさとは一体!?

新たなプラスチック生産を最小限に抑える努力。APEKS新作レギュレーター「OCEA」について

「OCEA」は、APEKSの「XL4+レギュレーター」をベースに、すべての素材と工程を再考し、環境配慮をコンセプトとした初めてのレギュレーターとして販売された。
また、さらなる取り組みとして、使用済みのプラスチックごみを買い取り、回収したプラスチックをリサイクルする活動を行っている企業「Plastic Bank(プラスチックバンク)」とパートナーシップを組み、OCEA製品自身の5倍量になる5kgの海洋プラスチックを環境から回収する、オーシャンプラスチックネガティブレギュレーターとしても注目されている。

「オーシャンプラスチックネガティブ」という単語を聞きなれない方も多いと思う。これは、企業や個人が排出するプラスチック量よりも、自然界から回収するプラスチック量の方が多い状態を指すプラスチックネガティブという用語を引用し製品名に採用。
環境への配慮を徹底した取り組みについて、5つのポイントに分けて詳しく紹介していく。

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環境に配慮した「OCEA」の5つのポイント

1.最大70%もの消費者廃棄物をリサイクルした素材を使用

OCEAのセカンドステージケースの黒色パーツは、消費廃棄物から成形されたリサイクルプラスチックを使用し製造されている。古いケトルやトースターなどの使用済み家電を埋立地から見つけだし、回収された材料を洗浄、溶かしたのち、加工しやすいように3~5mm程度の粒状に成型したプラスチックペレットという素材に処理され、APEKS自社工場で成型し部品として使用されている。

2.NO石油系資源!バイオプラスチック部品を使用

OCEAのカラーパーツ部分は、生分解性を持つバイオプラスチックから作られている。製造に限りある化石資源や石油を消耗する従来のバージンプラスチック利用と異なり、植物由来の生物材料で製造されている。まさに、レギュレーターとしての役目が終わった後のことも考慮された設計だ。

3. 太陽光エネルギーのみで生まれるOCEA製品

製品を作りだす上で、二酸化炭素排出による環境負担を減らす取り組みも行っているAPEKS。イギリスにあるAPEKSの工場には、400枚のソーラーパネルが設置され、年間最大75,000kWhのエネルギーを生成している。そして、OCEAの製品も、わずかな太陽光エネルギーのみで製造されており、工場を太陽光発電で運営し余った電気を地域に供給することで年間約50トンの二酸化炭素排出量を削減しているという。   

4. 「OCEA 1台」の製造につき「5kgの海洋プラスチック」を回収

カナダのNPO団体“OCEANA CANADA”※1の推定では、世界では毎日2200万キログラムのプラスチック(1分間にトラック1台分の量に相当)が海に流入しているとされている。この恐ろしい数値に対しAPEKSは、Plastic Bankと協力することを決めた。その連携内容は、OCEA 1つの製造につきPlastic Bankに直接寄付を行うことで、世界中の沿岸地域から5kgの海洋プラスチックを回収するというもの。回収されたプラスチックはPlastic Bankによって再加工され、世界中の製造業サプライチェーンで再利用される。また、500カ所以上に及ぶPlastic Bankの回収業者たちは、食料品や学費、健康保険などの生活必需品を報酬として提供されるシステムとなっている。
プラスチックごみ問題に力を入れている企業と連携することで、自社だけでは解決できない問題にも貢献できる画期的な取り組みだ。

1参照元:RECYCLING PRODUCT NEWS

5.化学廃棄物の破棄を削減

APEKSは、レギュレーターの部品の一部である真鍮の製造時、CNCマシンという加工機械を使用している。その際、クーラント液といわれる化学物質が含まれる冷却液を使用することで、加工中の工具を冷やすだけでなく工具の寿命を延ばす効果もあり、さらに加工された部品の表面を潤滑にすることで工具の作業効率も高めている。

今までは、貴重な資源であるクーラント液が付着している真鍮の廃材をそのまま破棄していたが、化学廃棄物を減らすべく、真鍮の廃材からクーラント液を回収、ろ過をすることで、機械に戻し何度も再利用できるように作業工程を変更。一般的にはあまり知られていない製造工程だが、そんな細部まで環境配慮をこころがけて作られたのがOCEAだ。

「OCEA」製品詳細



XL4 OCEA レギュレーター ¥126,500(税込)
レギュレーター・オクトパスセット¥170,500(税込)
OCEAは、環境に配慮したモノづくりはもちろん、ダイバーへのストレスも軽減し、使い勝手のよさと高性能を同時に実現している。

●ファーストステージ

・独自のオーバーバランスドダイヤフラムデザインにより、水深に応じて増大する水圧値より早めに中圧値をあげてくれ、いかなる深度でも優れたパフォーマンスを発揮

●セカンドステージ

・軽量コンパクトな2ndステージにより、あごの疲れが軽減し長時間のダイビングでも快適
・高い性能を発揮するバランスドタイプ、ポペットバルブで呼吸感の調節可能
・上あごにぴったりフィットする独自のブリッジ形状をもつC/Bマウスピースは、あごに力を入れて加えなくても自然に咥える事が可能

その他、気になるOCEAのスペックについてはOCEA特設サイトをチェック
https://apeks.xn--ccka2bf8z5b4396c0ec.jp/xl4-ocea/

OCEAの仕様をスマホでチェックできるAR体験

QRコードをスマホで読み込み、上のポスターをスマホ画面全体に合わせることで、立体的なOCEAが登場する。製品仕様を確認したり、各部品を作る上でどんな環境配慮がされているか、目で見て理解できるデザインとなっている。実際にAR体験をしてみたが、レギュレーターの細部がチェックできるため、購入を検討している時におすすめしたいサービスだ。

立体的に画面に浮き出てくるAR体験の様子

初めてレギュレーターの購入を考えている方、長年使用して買い替えに悩んでいる方、環境に配慮したダイビング器材で揃えていきたいと思っている方など、レギュレーターの購入時にこの記事を参考にしてほしい。

APEKS
1970年中頃、精密工学の技術とダイビングの専門技術にインスパイアされた2人の人物により、北イングランドの小さなガレージでダイビング器材の開発がスタート。テクニカルダイビングの精神と技術を詰め込んだレギュレーター、ブラダー、ドライスーツ、その他精密機器やアクセサリーまで多岐にわたり製造、世界中のテクニカルダイバーに愛用されている。

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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