ダイビングインストラクターの仕事とは? 仕事内容、資格、年齢などを解説
「海が好き」「自然が好き」「海洋生物が好き」「海に関わる仕事をしたい」、そんな人にぴったりな仕事といえば、ダイビングインストラクター。とはいえ、実際に働くのであれば、詳しい仕事内容や収入、仕事環境などは事前に知っておきたいもの。そこで、ダイビングインストラクターを目指す前にチェックすべき諸項目をまとめてみたのでご参考あれ。
スキューバダイビングインストラクターとは
スキューバダイビングインストラクターとは、ダイビングを楽しみたい人に対して必要な知識や技術を指導する仕事。具体的には「Cカード(※)取得のための講習」「ダイビングポイントでのガイディングおよびゲストの安全管理」が挙げられる。そのほか、講習やガイディングに伴って生じる業務として、「ダイビング器材の準備」「ゲストの送迎」、場合によっては、「コースやツアーの予約管理」なども行う。ゲストが安全にダイビングを楽しむためには、このような陸上でのサポートも重要になるため、業務内容は多岐にわたる。その分、自分のプロデュース一つで、ゲストの満足度は大きく左右されるため、非常にやりがいのある仕事といえよう。
※Cカード:一般的にダイビングの“ライセンス”と呼ばれるもの。インストラクターから講習を受け、一定レベルをクリアするとCertification(認定)カードを取得できる。
スキューバダイビングインストラクターの仕事内容
スキューバダイビングインストラクターの仕事内容をもっと詳しくみていこう。
ダイビングCカード取得のための講習・指導
ダイビングのCカード取得講習は、机上で知識やスキルの基本を教える学科講習、プールや限定水域(海の中でも水深が浅く、流れなどのない場所)で行う実技講習、そしてダイビングポイントで行う海洋実習の3ステップで行われる。プールや海で行う実技では、言葉でコミュニケーションできないので、ジェスチャーやアイコンタクトを的確に使う練習が必要だ。座学では、水中という特殊な環境がダイバーに及ぼす影響や、ダイビング器材の専門的な知識を分かりやすく教える力が求められる。一方で、講習は泊りがけで行うこともあるため、朝早くからから夕ごろまでゲストを指導できる程度の体力は必須だろう。
ダイビングポイントでのガイド、ゲストの安全管理
ダイビングは自然相手のレクリエーションゆえに、海の透明度や潮の流れ、水温など自分たちを取り巻く環境は日々変わる。生き物がいる場所や遭遇率もしかり。そんな状況でもゲストの安全管理に努めつつ、ガイドするポイントの魅力を伝え、ゲストを楽しませる必要がある。また、変化するのは自然環境だけでなく、ゲストも同様。今日案内するゲストのスキルレベル、体力、どんなダイビングスタイルが好きかなどの好みを考慮したダイビングプランは欠かせない。スキューバダイビングインストラクターのガイドには、Cカード取得者を引率するファンダイビングと、未取得者を引率する体験ダイビングがある。体験ダイビングの場合はダイビング未経験の人を対象にするため、より慎重な安全対策や一人ひとりのゲストへの配慮が必要になる。
陸上での仕事(予約管理・器材の準備・お客様の送迎など)
インストラクターの陸上での仕事を一日のタイムスケジュールで見ていくと、次のようになる。まず早朝に本日のゲストの予約確認を行い、レンタル器材が必要な場合は準備に取り掛かる。他にも予約の問い合わせがあった場合は、予約管理も行う。次に、ゲストの送迎が必要な場合は、最寄りの駅や待ち合わせ場所に車で向かい、ゲストをピックアップしたのちにダイビングポイントやショップまで移動する。ダイビング前には陸上でブリーフィング(※1)を行い、ダイビング後は、ゲストとのログ付け(※2)、送迎、最後にレンタル器材の片付けをして終了となる。このタイムスケジュールはあくまで一例なので、勤務するダイビングショップによって内容は多少異なってくるが、いずれにしても接客業としての側面が大いにあることがわかる。
※1ブリーフィング:これから潜るポイントの説明や潜水計画、安全に潜るため注意などの説明
※2ログ付け:1ダイブごとに海況や装備、見られた生き物などログ(記録)をログブックやアプリに残すこと
職場環境と業務
インストラクターの職場環境は、海から遠い「都市型ショップ」、海から近い「現地ショップ」、海外の海で潜る「国外ショップ」の大きく3つに分けられる。それぞれの特徴をみていこう。
都市型ショップ
都市型ショップとは、ダイビングポイントから遠い都市部に店舗を構えるショップのこと。ホームグラウンドの海がない代わりに、全国各地のダイビングポイントで潜るツアーを開催しているのが特徴。都市部に暮らす多くの人が通いやすい立地という利点を活かし、Cカード取得のための講習をメインに行っているショップも多い。都市型ショップで働くと、国内外さまざまなダイビングポイントで潜れるため、各ポイントの地形や生き物についての幅広い知識が身に付く。ゲストに合わせたダイビングポイントや器材、ツアーを提案したり、ツアー引率をしたりすることで、高い接客スキルも手に入れることができる。
現地ショップ
現地ショップとは、ダイビングポイントから近い場所に店舗を構えるショップを指す。通常はショップから一番近い海がホームグラウンドとなる。海の中では、今日、ここにいた生き物が明日は別の場所に移動していたり、いなくなっていたりすることはよくあるもの。そんな時には、同じ海に毎日潜っている現地ショップインストラクターの腕の見せどころ 。蓄積された膨大なデータを頼りに生き物との遭遇率を高められるのは、現地ショップならでは。現地の海のスペシャリストとしてゲストからの信頼を得られる。
国外ショップ
海外に拠点を構える国外ショップで仕事をしているインストラクターも多い。外国語のスキルはあったほうがいいが、日本人オーナーの元、日本人ゲストも積極的に受け入れる日系ショップで働く場合は、日本語が通じる場合が多いので問題ない。とはいえ、外国人インストラクターやゲストとのやりとりは避けて通れないので、おのずと外国語スキルは身に付くはず。また、案内するゲストの国籍はさまざまなので、どの国の人にどんなダイビングスタイルや生き物を見せると喜ばれるのか、ガイドとしてのスキルを磨くには最適。国際的な接客スキルも身に付くことだろう。
ダイビングインストラクターの資格の取り方は
ダイビングインストラクターの資格は、Cカードを発行している指導団体から発行される。そのため、各指導団体に属するダイビングショップやインストラクターから講習を受け、認定される必要がある。代表的な取得方法は、「資格が取れる大学や専門学校に通う方法」「ダイビングショップにゲストとして通いながら資格を取る方法」「ダイビングショップで働きながら資格を取る方法」の大きく3つが挙げられる。一つ目と二つ目は講習や認定証の申請に費用がかかるが、三つ目に関しては雇用主であるダイビングショップ側が取得のための費用を賄ってくれるケースもあり、資金を節約できるほか、実践的に学べるといったメリットがある。
ダイビングインストラクターとして働くのに必要な資格
世界的なダイビング教育機関(指導団体)のPADIを例に挙げて説明していくと、「オープンウォータースクーバインストラクター(OWSI)」がいわゆるダイビングインストラクターの資格。ダイビング未経験の方は初級ランクである「オープンウォーター・ダイバー」の取得から始まり、「アドバンスド・オープンウォーター・ダイバー」、「レスキューダイバー」、「ダイブマスター」、「アシスタントインストラクター」と、ステップアップコースを受けて各コースの認定を受けていくことが必要だ。ダイブマスターランクでもガイドの仕事を行うことは可能だが、Cカード取得のための講習を実施できるのはインストラクターだけなので、仕事の幅を広げるにはインストラクターまで取得するのが良いだろう。また、日本の海でダイビングを含む潜水の仕事をするなら国家資格の「潜水士」も必須。
ダイビングインストラクターに向いている人
ダイビングインストラクターに向いている人は、職場である海や生き物が好きな人や人に教えるのが好きな人。仕事中は肉体労働が多いため、体を動かすのが好きな人。接客業の側面も多くあるので、人が喜ぶ姿を見るのが好きな人も向いているといえそうだ。
ダイビングインストラクターの年収・給与
ダイビングインストラクターの給与は、経験や所持資格、雇用形態によって異なる。
ダイビングショップによっては、実績に応じて賞与があるほか、正社員であれば、住宅手当や通勤手当、子育て休暇といった福利厚生も設けられている場合があるので確認しておく必要がある。
ダイビングインストラクターの勤務時間・休日
ダイビングインストラクターの勤務時間は、働くショップによって異なる。ツアーを引率する場合は、基本的には朝早くから勤務して夕方頃には業務を終える場合が多い(ただし、移動を伴うツアー最終日はその限りではない)。店舗に出勤する場合は、ツアー引率時と比べて遅い時間に勤務にあたり、退勤時間もそれに比例して遅くなる。勤務は週休二日でシフト制が一般的。
ダイビングインストラクターは何歳から何歳まで
ダイビングインストラクターの資格が取得できるのはほとんどの教育機関で18歳以上。上限が設けられているわけではないが、20〜30代で取得する方が多いようだ。体力が必要な業務も多いため、ある程度年を重ねたインストラクターの中には現場には立たず、自身の経験を活かしてスタッフを育て、ダイビングショップの経営や陸の接客業務を中心に行う方も。
ダイビングインストラクターとして働こう
ダイビングインストラクターは、海の世界への水先案内人!多くの人に海の魅力を伝え、感動を与える素晴らしい仕事。資格さえ取得すれば、新人でも活躍するチャンスは大いにあるため、チャレンジあるのみ。
ダイビングショップの求人は、求人サイトに掲載されている場合もあるが、ショップによっては、知り合いからの紹介やショップのブログやHP、現地のローカル求人誌に頼っている場合も多いため、なかなか見つけにくいのが現状。
オーシャナでは、全国のダイビングショップとのコネクションを活かし、求人情報を積極的に掲載中。これからダイビングインストラクターとして活躍したい人はぜひ、のぞいてみてほしい。