メーカーも予想外!? バイオメタルマスクがフリーダイバーに年間7000個以上売れる理由とは?

日本潜水機株式会社のオリジナルダイビングブランド「apollo」より発売されているバイオメタルマスク。2000年の発売開始以来、世界中のダイバーから長年愛され続けるバイオメタルマスクだが、ここ数年、にわかにフリーダイバーからの人気が高まっている。しかし、日本潜水機に話を伺うと、特別フリーダイバー向けにプロモーションをしてきたわけではなく、気がついたらフリーダイバーに1年で7000個以上も売れていたという。

なぜフリーダイバーに人気なのか? その理由とバイオメタルマスクの開発へのこだわりに迫る。

バイオメタルマスクとは?

バイオメタルマスク
バイオメタルマスクは日本潜水機株式会社の「バイオ・シリーズ」の一製品。装着感や水中で活動するストレスを少なくする「人の体の一部になる器材」を目指し試行錯誤を重ねた結果、自然にあるフォルムに行きついた器材を「バイオシリーズ」として販売されている。足への負担をかけず推進力アップを実現し、フィンの装着感を減らした「バイオフィン」、ぴったり吸った分だけの空気を口に送り、陸上の呼吸に近づけた「バイオレギュレーター」、乾いたタンクエアを加湿しオイルなどを除去し、陸上の空気に近づける「バイオ・フィルター」、水は通さず汗蒸れだけを排出する、呼吸するドライスーツ「バイオ・コンフォートシェル」などがそのシリーズだ。

▶︎詳しくはこちら:バイオ・シリーズとは

▶︎バイオメタルマスク(日本潜水機公式サイト)

バイオメタルマスクは世界初の金属製のフレームを採用したマスクで、軽量で内容積が小さいのが特徴。ダイビング初心者からプロまで幅広く愛されている。顔の形に合わせて選べる3パターンの型と、耐久性や軽さの違う4種類の金属フレームを選ぶことができる。

フリーダイバーに選ばれる理由とは?

バイオメタルマスクは日本国内のみならず、現在世界中のフリーダイバーに人気だという。特に昨今フリーダイビング人口が右肩上がりの韓国や台湾では、フリーダイビング専門施設で一括購入されるなど、8割以上がフリーダイビング目的で購入されている。また、これまで33の世界記録を更新し、ノーリミッツでは水深214mの記録を樹立し「the deepest man on earth(地球上で最深の男)」と呼ばれるフリーダイバー・Herbert(ハーバート) Nitsch(ニッチ)は10年も愛用しており、2023年に公式アンバサダーにもなった。

公式アンバサダーとなったハーバート・ニッチ氏

公式アンバサダーとなったハーバート・ニッチ氏

なぜ、これだけフリーダイバーに人気なのか? 紐解いていくと、以下のような理由でフリーダイバーに選ばれているとのこと。

フリーダイバーに選ばれる理由

① 内容積(顔とマスクの間の空間)が小さい
② 表情がよく見えて映える
③ 顔にフィットする
④ 高い耐久性
⑤ 水の抵抗がより少ない

ここからは、フリーダイバーに選ばれる理由と、それを裏付ける開発へのこだわりを紹介していく。

ヤクルト一本分以下!
極限まで削ぎ落とした内容積

フリーダイバーはとにかく内容積の小さなマスクが大好き。深く潜ってもマスクのスクイズが起きにくく、またスクイズを解消するために鼻から吹き込む空気の量が少なくて済むからだ。

一般的に100cc未満のものが推奨されているが、バイオメタルマスクはなんと60cc(世界最小本格的ダイビングマスク)! マスクのフランジが海外は4パターン、国内は3パターン展開あり、多少の違いはあるものの、Dタイプでも95ccという驚異の少なさだ。

その秘密はレンズと目の位置の近さ。スキューバダイビングで求められる視野の広さを確保するために、apolloではレンズと目の位置を徹底的に近づけ、結果的に内容積が極小となったのだ。

顔がよく見えて“映える”広い視界設計

フリーダイバーに人気の一つの理由として「映える」が挙げられる。Instagramを見るとわかるように、競技であれ遊びであれ、多くのフリーダイバーが水中を美しく泳ぐ姿がアップされている。

「映える」=「顔の表情がよく見える」というのが一つの要素だとすると、眼とレンズの位置が近いバイオメタルマスクが人気なのも頷ける。マスク自体のスタイリッシュさももちろん要素の一つだろう。一方で開発側としては「機能を突き詰めた結果この形にならざるを得なかった」というのもおもしろい。

どんな人にもフィットする3パターンの型

スキューバダイビングと同様、マスクが顔にフィットしなければ水が入ってきてしまうなど、大きなストレスになる。また、フィットせず凹凸が激しくなると水の抵抗も受けやすくなり、潜り込みや潜降にも影響を与える。これもフリーダイビングにとっては大きなマイナス要素となる。

フリーダイビング日本代表・太田陽子氏も公式アンバサダーとして愛用中

フリーダイビング日本代表・太田陽子氏も公式アンバサダーとして愛用中

バイオメタルマスクには「こんなにフィットするマスクは初めて!」というレビューが多々。それも日本人だけでなく世界各国のダイバーから。骨格がまったく異なる人種でもフィットするのはこだわり抜いた3パターンが用意されているからだ。

開発の際、多くの顔の骨格データを分析し、一つの形で万人に合うマスクを作るのは難しいと判断し、3パターン展開としたそうだ。

また、シリコンは成形この道50年の職人が厳選したもの。医療機器にも使われるグレードのもので、これが独自のフィット感を生み出しているとも。

「水深214m」世界でもっとも深く潜った男も
愛用する“アルティメット”な耐久性

10年前から愛用するハーバート・ニッチ氏は、バイオメタルマスクを「品質が良く、耐久性がよく、美しい」と評価している。

ハーバート氏は2007年に世界記録-214mを樹立後、2012年の-244mへの挑戦時に-253.2メートルの深度に達するが、減圧症となり競技を引退。しかし、長い療養生活を乗り越え海へ復帰し、現在はさまざまな海中の冒険に挑み、2023年にはマダガスカルの標高1800メートルにある湖で80mの潜水を敢行した。金属フレームにガラスのレンズ、医療グレードのシリコンが取り入れられた耐久性の高いバイオメタルマスクは、そんな彼の冒険にお供に一役買っている。

するする潜れる!
水の抵抗の少ないフォルム

フレームとフランジ部分がしっかりと融合し凹凸が極端に少ないのもバイオメタルマスクの特徴。このおかげで水を捉えずに受け流していく構造となっており、泳いでいる時の水の抵抗が少ないのだ。

約60年ものダイビング器材作りの
ノウハウが詰まったバイオメタルマスク

バイオメタルマスクを開発、製造する日本潜水機の始まりは1965年。創業者の服部清次氏が前身であるアポロスポーツを立ち上げた。元々アメリカのダイビング器材を輸入販売していたが、技術者であった服部氏は製品の改善を提案し、OEM製品として市場に出回った自社開発製品は、アメリカ市場の40%を占めるまでになった。その当時の経験やノウハウを活かして、30年ほど前にオリジナルブランド「apollo」が立ち上がったのだ。

アポロ創業メンバーと、後々の各国のアポロ社長たち

アポロ創業メンバーと、後々の各国のアポロ社長たち

バイオメタルマスクは約5年間の構想と開発を経て世に出た製品。その開発へのこだわりは尋常ではない。実は、バイオメタルマスクは、軍の装備品にも選ばれている製品。そのため、耐久性、視野の広さ、コンパクトさはお墨付きというわけだ。

構想段階のイラスト

構想段階のイラスト

耐久性の一つの象徴である金属フレームは、耐久性と視野の広さを両立するために採用された世界初の技術。視界の広さを確保するには二眼ではなく一眼にするのがセオリーだが、耐久性を考え二眼が採用された。そして、「一眼よりも広い視野の二眼マスクを作ろう」というコンセプトで開発が進んでいった。視野を遮るフレームの厚さと二つのレンズの隙間を減らすには、従来のプラスチックでは限界があると考え、金属フレームとなったのだ。隙間はわずか7mm、厚さは8.5mm(※アルミの場合)だ。

アルミ合金を削り出して作られるフレーム

アルミ合金を削り出して作られるフレーム

バイオメタルマスクにはフレームの素材ごとに4つの種類があり、一番人気のスタンダードタイプはアルミ。「バイオメタルPREMIUM」は同じくアルミだが、日本を代表する金属研磨職人の手により一本ごとに丹念に研磨され、表面を鏡面仕上げと特殊カラーアルマイト処理によって、高級感ある仕上がりとなっている。「バイオメタルpro」はステンレスを使用し強度を高め、マスクに直接GoProやライトをマウントできる仕様となっている。さらに「バイオメタル チタン」は軽量で海水に強く錆びない、一生もののマスクとなっているのだ。

日本潜水機の大沼社長は「自分たちの限界を超えないといけない環境でものづくりをしているので、フリーダイバーという限界を超えて挑戦をしていくアスリートに使ってもらうのは開発者冥利に尽きます。今後、たくさん使っていただき、より記録を出せるものを開発していきたいです」という。

自然とフリーダイバーに使われるようになったバイオメタルマスクが、今後フリーダイバーに合わせてどんな進化を遂げるのか楽しみだ。

Sponsored by 日本潜水機株式会社

日本潜水機株式会社
ダイビングギアのリーディングカンパニーとして、安全で高品質な業務用、レジャー用の潜水機器の開発・製造を通じ、人と自然が豊かに共生する社会をめざしています。
公式HP:https://www.apollo-japan.jp/

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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