【保存版】水中写真家・阿部秀樹氏直伝!軽バンをダイビング用にカスタムする方法

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水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

ダイビング器材やカメラ機材を運ぶのに、あると便利なのが車。マイカーをお持ちのダイバーの中には、ダイビングをしやすいように車内をカスタムされている方もいるのでは?

そんな中、オーシャナ編集部は“水中写真家の阿部秀樹氏のカスタムがすごい”という情報をキャッチ!真相を確かめるべく、阿部氏に突撃取材を敢行してみた。

軽バンをダイビング用にカスタム!

「ダイビングに行く時に、どんなマイカーを使ってますか?」と阿部氏に尋ねたところ、一か月くらいの長期取材の場合は、キャンピングカーで移動&宿泊することが多いが、一週間くらいであれば機動性のよい軽バンを使っているとのことだった。

水中写真家の阿部秀樹氏のキャンピングカーの画像

阿部氏のキャンピングカー

一般的なファンダイバーを考えたときに、おそらくダイビングに一か月もかける人は少ないだろうということで、今回は軽バンのカスタム方法についてくわしく伺った。さっそく、アベカーを見ていこう!

内部の様子

阿部氏愛用の軽バンは、ワンボックス スズキ キャリィ。現在使用中のスズキ キャリィは昨年の春から使っており、軽ワンボックスとしては2台目(初代はスバルのステーションワゴン「レオーネ」走行距離20万㎞。2代目は三菱の「パジェロ」走行距離50万㎞。3代目は三菱の「デリカ スペースギヤ」走行距離45万㎞)。

まず、バックドアをあけた内部の様子がこちら。

水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

空間を効率よく活用するため、板で上下に仕切られており、上段が居住スペース下段がダイビング器材やカメラハウジング、撮影機材などがコンテナboxに入れられて収納されている。

そしてよく見ると、窓には網戸や遮光シートがついている

水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

フロントの方はどうなっているのか。見てみると…

水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

助手席には作業用テーブルが設置されていた!

外部の様子

次に、車の外装を見てみると…

水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

ルーフキャリアに木の板が張られている。太字の部分について気になる活用方法を下記にくわしくまとめてみた!

カスタム内容をくわしく解説

✔上段・居住スペース

上段の居住スペースには、寝台、電気ランプ(電池式)が設置されている模様。長距離移動をともなう場合は、運転手が1人の場合ならなおのこと、安全運転のためにも途中で休憩、もしくは仮眠は必須なので体を伸ばして、凹凸がないベッドは安眠につながり、安定したダイビングの為にもぜひとも作っておきたいスペースだ。睡眠部分の目隠しは必需品。外から覗かれる事もなくプライベート空間が出来上がる。また車内を暗くできるのは落ち着いた眠りにつながる。

✔窓に網戸

網戸は、主に春先から夏場にかけての気温が高くなる時期に重宝するという。その理由は暖かくなると大量発生する虫(特にやぶ蚊)にあり!

阿部氏ワンポイントアドバイス

「網戸や防虫ネットは超必需品!夏場なんかは蚊の季節です。暑いからといって窓を開けていると、ぶちぶち蚊に刺されてしまいます。特に朝夕は特に狙い撃ち、近年は温暖化の悪影響で4月から11月上旬まで蚊が飛んでいます。でも、防虫ネットや網戸さえしていれば、窓を全開にしてもOK。しかも、外から中が見えにくいので防犯の意味でも役立ちます。モバイルバッテリーは周年便利なアイテム。エンジンをかけなくてもカメラバッテリーの充電や車内で使うパソコンの電源。夏場は状況にもよりますが小型扇風機を“弱”で首振りにしておけば想像以上に過ごしやすくなります。冬なら電気毛布を使えば快適に仮眠できます。モバイルバッテリーは自分の「カー&ダイビングスタイル」によって電源容量を決めると良いです」。

✔下段・ダイビング器材や車の工具置き場

下段のスペースは、ダイビング器材や様々な撮影機材や資材。工具など置き場になっている。下段にすることで、荷物の上げ下ろしも楽々。器材入れには、ホームセンターにも売っている蓋つきのプラスチックコンテナを愛用中。購入してからかれこれ15年経っているのに壊れないタフっぷり。塩害からも車を守ってくれているという。

阿部氏愛用中のプラスチックコンテナの画像

阿部氏愛用中のプラスチックコンテナ

また、防水のダイビング用バッグも使い勝手がいいようだ。カメラをお持ちの方は、バックの中にタオルを敷いて、その上にカメラを置くと、家に帰るころには車の振動でカメラの水滴が落ちて、タオルに吸収されているので、後のメンテナンスが楽なのだそう。

阿部氏ワンポイントアドバイス

「防水シートなどが使われていない普通の乗用車をカスタムする時に、一番気を配らなければいけないのが塩害対策です。濡れたままの器材を持ち込んだときに、車内に塩水が垂れれば錆の原因になります。車をカスタムすることよりも、ダイビング器材からいかにして塩水を垂らさないかを考えた方が安上りなので、わたしはケースにこだわりました。頑丈なものなので、車用はもちろん、発送機材の輸送用にも使っています。重器材、軽器材、ウエットスーツまでこれ一つに入ります(ドライは別)!」

余談だが、下段スペースには、その他にも「アイスボックス(クーラーボックス)」を収めるスペースがあるようだ。アイスボックスは冷蔵庫代わりに使える。衛生管理上、夏場なんかはとくに重宝するそう。「アイスボックスがあれば、食品を購入した際も、開けたら全部食べなきゃいけないということもないのがいいですよね。“ちょい食べ”で冷やして置けるから。氷を入れておけばいつでも冷たい飲み物が飲めるし、いろいろ使い勝手がいいんです」と阿部氏。

阿部氏自作の厚さW(ダブル)のアイスボックスの画像

阿部氏自作の厚さW(ダブル)のアイスボックス

「通常の発泡アイスボックスでもある程度の保冷力がありますが、内側にもう一層発泡スチロール板を貼ります。厚さがW(ダブル)になる訳ですが、これをやると保冷時間が3倍以上伸びます、夏場でもコンビニの氷一袋が1日持ちますからランニングコストも低く、有効な方法です」。

✔助手席・作業用テーブル

ダイビング旅行の合間にちょっと仕事でパソコンを開くなんてこともあるかもしれない。そんな時に役立つのが、作業用テーブル!

阿部氏ワンポイントアドバイス

「パソコンを開いたりして作業するには寝台だとちょっと窮屈なので、助手席に作業用テーブルをこしらえました。Macや連動のiPadで作業しながら、ちょうど横の位置についているカーナビでテレビを見ながら仕事をしています。テーブルの材質はベニヤです。軽いのでワイヤーで吊って、さらに横からつっぱり棒で支えて安定させています、意外と簡単に作れますが食事に作業に、ベッドに次いでお役立ち度、2位です」。

「車のシガーソケットから流れる直流電気を家庭用電化製品を使うための交流電気に変えてくれる「車載用インバーター」は必需品。定格出力や波形など様々なものが市販されています。インバーターは移動中の充電などで活躍するので1つは用意しておくといいでしょう」。

水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

車載用インバーター

✔ルーフキャリア

車の屋根には、荷物を乗せるためのルーフキャリアが取り付けられている。車内に入りきらないダイビング器材も持ち運べるので、積載量が増えて便利だが、実は他の使い方でも重宝されているようだ。

阿部氏ワンポイントアドバイス

「ルーフキャリアの上に板を置き、タイラップで固定してあります。板を張ることで太陽光が直接屋根に当たるのを防いでくれるし、ルーフキャリアの間を風が抜けるので、夏場の車内の温度が全然違いますよ。当然クーラーの効きが良くなるので燃費が変わります。めちゃくちゃ効果があります。就寝時には一部の荷物をルーフキャリアに載せてしまえばベッドスペースが完全に確保できて、この面でもルーフキャリアを載せることはおすすめです」。

住居スペース、ルーフキャリアの加工について

前述した居住スペース(寝台)、ルーフキャリアの加工について聞いてみた。まずは、寝台について。まず、車輌の床に9㎜厚のベニヤを引きます。車輌の床には多少の凹凸が有りますから同じ厚さのベニヤの切れ端などで調整します。この時点で水平を取っておけば最高です。床からベッドのへの立ち上げはホームセンターにも売っているパイプ家具(イレクター)が便利、その上に6㎜のベニヤを引いて、低反発シートを載せています。大型ホームセンターには行けば一通り揃いそう。寝台もルーフキャリアに使われている素材もベニヤ。理由は加工しやすいから。

阿部氏ワンポイントアドバイス

「車に入れてみてちょっと大きければ、のこぎりでカットしてみたり、逆に隙間ができちゃったら、切った端材を木工ボンドでペッと貼りつければ隙間が埋まるし。調節しやすくて簡単です。ホームセンターではカットサービスがあり、寸法さえベニヤに書いておけばすぐ切ってくれますよ。私のベッドは6mmのベニヤで作っています。下から支える梁(はり)さえ入れておけば、荷重は分散されるので6㎜べニヤでも割れる心配もないです、加工しやすく(作りやすい)軽いのが経験上一番です」。
長く愛車に乗り続けるコツ

「長く乗り続ける秘訣はこまめなオイル交換。安いオイルでも良いので3~4000㎞での交換を心がけています。もう一つは塩害対策。車内への“塩だれ”はもちろんですが、海辺での強風時は隅々まで潮風が入りこみます。このような時には簡単で良いので床下を中心に水を流すと良いです」。

おまけ:防災対策もしっかりと

集合場所のダイビングショップやダイビングポイントには、豊かな自然に囲まれたところも多い。道中も崖がせり出していたり、舗装が行き届いていなかったりと野趣あふれる場所を通らねばならないこともある。そんな時に限って大雨に振られ、土砂崩れに巻き込まれたら…自然災害をいち早く察知して、いかにして身を守るのか?お役立ちアイテムについても教えてもらった。

阿部氏ワンポイントアドバイス

「高速道路を走行中やパーキングエリアに駐車するのならそんなに危ないことも起こらないでしょうけど、地方の下道を走っている時に大雨が降りだしたら、災害状況がわかると安心です。わたしは、カーナビにテレビチューナーをつけてテレビを受信できるようにしてあります。現在の状況をリアルタイムで目視できるテレビ情報は耳だけに入る情報よりも危機感が早く伝わります。最近は天候の悪化による災害の軽減を考えて、状況が悪化する可能性がある時には必ず放送で伝えますからめちゃくちゃ役に立ちますよ。または携帯で「NHK+」や「ABEMA(アベマ)テレビ」を見られるようにしておくと便利です」。
水中写真家の阿部秀樹氏愛用のダイビング用の車

ハンドル左上がテレビチューナーが付いたカーナビ、ハンドル右上が携帯電話

阿部氏おすすすめアプリ(携帯ver)

・ABEMA TV
・NHK防災
・NHKプラス
・グーグルアース(衛星で山の斜面まで見られるので、車を止めるときに土砂崩れの危険を回避できる)
・Windy
・ゆれくる(地震・津波情報サイト)
・台風情報 アメリカ海軍 台風予測サイト ヨーロッパ大気局
必ずお守りください。予想外の緊急時、慌てないためにも。

・近年の車は密閉性が高いために自身の呼吸によって窒息することもありますから、車内泊就寝時は必ず二ヵ所の窓を最低5㎜以上開けて外気を取り入れるようにしましょう。
・就寝時には必ずエンジンを切りましょう。一酸化炭素中毒で死亡するリスクがあります。急な眠気が来た時には要注意、ためらわず車内を換気をしましょう。
・降雨時、降雨の可能性がある時は「水は低い所に集まる」を意識しましょう。
・就寝時にはエンジンスタートキーは差し込んだ状態で。キーレス車は車内の目に付く場所の置く癖をつけておけば、緊急時には直ぐに発進できます。

これは私が突然の自然災害や地震で何度も難を逃れた方法です。どんな時にも両手が使えるヘッドライトもあるといいですね。夜間のパンク修理などの必須アイテムです。

マイカーをお持ちの方は、ぜひご参考に!安全で楽しいダイビングライフを!

水中写真家阿部秀樹氏
水中写真家阿部秀樹氏
1957年、神奈川県藤沢市に生まれる。立正大学文学部地理学科卒業、現在阿部秀樹写真事務所代表。最近は日本国内の海に眼を向け知床半島から沖縄まで幅広く活動している。 ライフテーマとして水中生物の繁殖行動、夜の海、水中の四季、の撮影がある。又頭足類(イカ・タコ)では国内外の研究者との連携で撮影をおこなっている。年間300日以上取材に出ている。その2/3以上が車内泊。仏映画「OCEANS」スチル写真担当(一部)。

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PROFILE
アウトドアレジャー予約サイトの取材ライター出身。いままでに取材した日本全国のアウトドアカンパニーは130社ほど。ネットワークを活かした記事作りが得意!?かもしれない。一番好きなアクティビティはダイビング!とは言い切れないかもしれない。
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