【動画あり】イルカが突然ダイバーに超接近!そのときガイドがとった行動とは

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10月12日、衝撃的な映像がテレビやネットのニュースで流れた。福井県越前海岸のダイビングポイントで、野生のイルカがダイバーのフィンにアタックするかのように何度も近づいてくる映像。突然のイルカの出現に、現地ガイドはどのように対処したのか。話を伺ってみた。

体長2メートルオーバーの
オスのイルカが突然現れた

ダイバーに突然近づいてきて、ちょっかいを出すかのように、フィンにまとわりついて泳ぐイルカ。この映像は福井県越前海岸で10月10日の午前11時頃に撮影されたもの。映っているのは、現地ダイビングサービスのガイド。撮影したのはゲストのダイバー。一体どんな状況だったのだろう。

「その日は越前海岸のポイントで、お客さん2人をガイドしながら潜っていました。水深7~8メートルくらいの場所で、突然フィンに何かが当たったような感覚がしました。お客さんをフィンでたたいてしまったかと思ったのですが、足元を見たらなんとイルカがいたんです」。

ガイドが振り向いて見ると、体長2メートルはあるオスのイルカで、足をつつくかのように何度も近づいてきた。ミナミハンドウイルカだと思われる。

「動きが素早く、力もありそうなイルカだったため、お客さんのほうに行ってぶつかったりしたら大変だと思いました。イルカの注意を自分に向けるようにしながら、エキジットポイント、もしくはイルカが入って来られない、入って来たら打ち上げられてしまうような浅瀬や浜まで移動しようと考えました」。

ガイドの機転が利いた行動のおかげで、お客さんにイルカが近づくことなく、無事にエキジットできたそうだ。その間、10~15分くらいイルカと泳ぐことになったという。

「前日に近くのポイントでイルカが出たと、他のスタッフから聞いていました。しかし、まさか自分たちが潜るポイントで遭遇するとは思っていなかったので、びっくりしました。イルカが突然近づいてきたときにどうすればよいかという有効な手立ては、わかっていません。しかし威嚇するような行動をとれば、イルカも攻撃的になります。なるべく相手を刺激しないようにしながら、ライトやベルを鳴らしながら自分に注意を向けるようにしました」。

もしも野生のイルカが突然近づいてきたら
「離れる。刺激しない」

ちなみにガイドの方にお話を伺った後、10月15日にもイルカは出没している。前回とはまた違う個体のようだ。

こちらの動画はお客さんのダイバーがイルカに狙われていて、それをガイドが守っている様子を撮影したもの。手などは出さずに、体当たりするようにイルカを押したりして、何とかイルカの執拗な接近を退けようとしている。
しかし、イルカは特定の人に執着するようで、息継ぎのためにいったん離れても、またこちらの方のところに戻ってきたそうだ。

なぜこのような行動をとるのか? なぜ特定の人に近づこうとするのか? 謎は深まるばかりだ。

福井県の沿岸部では、今年の春頃からイルカの目撃情報が聞かれるようになった。7月には福井市の海水浴場で、男性2人がイルカに手や指などをかまれるという被害も起こっている。なぜ福井県の沿岸部でイルカが多く見られるようになったのだろうか?まだその原因はわかっていない。

そもそも越前海岸では、ダイビング中にイルカと遭遇することは、今までなかったという。今年5月に一度目撃情報はあったが、その後は耳にすることはなく、10月に入ってから突然また姿を見せたというわけだ。そのため、どのように注意するかなどの対応策は、現地のダイビング関係者の間でもまだ決まっていないという。

ただ今回ガイドの方がとった行動は、ひとつの対応策の例として有効なのではないだろうか。イルカが近づいてきても、自分からは決して近づかない。なるべく刺激しないように注意しながら、徐々に離れていく

またほかにも、手を出すとかまれることがあるので、手で追い払うようなしぐさはしないほうがよい。フィンにかみついてこようとする場合は、小刻みにフィンを動かしてイルカに引っ張られないように注意する。こういったことを実践すると良いと、ガイドの方はアドバイスしてくれた。

今後、福井県沿岸にやって来るイルカの生態、行動パターンなどは研究者の手により少しずつ解明されていくことだろう。しかしわからないことが多い現在、万が一イルカに遭遇したときは、安全第一で対応することが大事だ。

こういったハプニングは、別のダイビングエリアでも起こる可能性はゼロではない。もしも水中で突然イルカに接近遭遇しても、みだりに近づかないように肝に銘じておこう。

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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