【プレゼントあり】古見きゅう写真集『The Coral Triangle-密林珊瑚―』発売&東京・大阪で写真展開催

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水中写真家・古見きゅう氏(以下、古見氏)の写真集『The Coral Triangle-密林珊瑚』が8月1日に発売される。また7月18日(火)~29日(土)には「キヤノンギャラリー銀座」で、10月17日(火)~28日(土)には「キヤノンギャラリー大阪」にて写真展も開催。この写真集には、パプアニューギニア、フィリピン、インドネシアを結ぶ赤道直下南太平洋の三角地帯「コーラル・トライアングル」で、古見氏が約20年にわたり撮影してきた作品が凝縮されている。約500種のサンゴ、3,000種を超える魚類が暮らす海のジャングル「コーラル・トライアングル」で撮られたどのような作品が見られるのか、とても楽しみだ。古見氏に、写真集、写真展の見どころや作品への想いを伺ってみた。

20年をかけて、3カ国、約30カ所を撮影してきた作品の集大成

オーシャナ編集部(以下、――) この度、満を持しての8年ぶりの写真集がリリースされますが、どのようなコンセプトで、どんな作品を掲載した写真集になっているのでしょうか?

古見氏

これまで「コーラル・トライアングル」と言われるパプアニューギニア、フィリピン、インドネシアが結ぶ海域の約30カ所のディスティネーションを約20年撮影してきました。ここをテーマにした写真集を作りたいということは、実は数年前から考えていました。コロナ禍でなかなか思うように進まなかったのですが、ようやく発表できることになりました。

フィリピンやインドネシアなどの撮影を始めたのは2000年代の初頭だったと思うんですが、その頃はまだ「コーラル・トライアングル」という言葉すら知りませんでした。20年以上の歳月をかけて撮影を続けていくうちに、各地に友だちや知り合いができ、その人たちから「コーラル・トライアングル」という言葉を聞くようになりました。「コーラル・トライアングルは、西部太平洋のサンゴの起源になるような豊かな場所なんだよ」ということを教えてもらって、さらに興味をひかれるようになりました。

パプアニューギニア・トゥフィ ⒸKyu Furumi

――この3カ国は、まさにダイバーが憧れるダイビングポイントがたくさんあるエリアだと思いますが、古見さんがこのエリアで特にインパクトがあった場所などはあるんでしょうか?

古見氏

特別にここというのはないんですが、印象に残っている場所というのはやはりいくつかありますね。例えばフィリピンのトゥバタハリーフ。それまで僕は海の世界自然遺産って、グレートバリアリーフくらいしか知らなかったんですが、こんな場所があるのかと。年に3ヵ月くらいしか潜ることができないし、とても貴重なところなんだなと思いましたね。トゥバタハリーフも年によって、サンゴの繁茂の仕方とか広がり方というのは、違いがあるんですよね。今まで5回くらい撮影に行っていますが、良い悪いはさておき、そういう変化を見るのはおもしろいですね。

――変化という部分で言うと、最近、地球温暖化などさまざまな要因でサンゴ礁がダメージを受けたりと、昔とは大きく変化してきているように思います。そのあたりは、古見さんが海の中を撮影されていて、感じることはありますか?

古見氏

もちろん、変化は常に感じながら潜っています。しかし、例えばサンゴの白化現象が温暖化による海水温の上昇が原因だとしきりに叫ばれていますが、果たして原因は温暖化だけなのか。長い地球の歴史のほんの一部しか、僕たちは知らないわけですよね。なので、あまり声高には叫ばないようにしています。どちらかというとネガティブな意見を言う人が多いんですが、見方を変えれば、海の中では良くなっているところもたくさんあると思うんです。20年前、30年前とは確かに変わってきていますが、果たしてそれが悪いことなのか僕にはわからなくて。今、こうやってわからないなりにも変化が大きい時期に写真を撮らせてもらって、今回のように写真集を作ることができたので、水中写真を撮るということは記録的な側面もやはり大きいですよね。

――古見さんのおっしゃるように、長い地球の歴史の中ではさまざまな変化があるのは当然ですよね。ただ人為的な要因で、変化が増えてしまっている現状はあると思います。そんな時代だからこそ、今回の写真集で美しいサンゴ礁の海の写真を見て、何か感じることはとても大切なことだと思うんです。やはり写真集ですから、きれいな写真がメインですよね? 環境問題に触れるような写真なども掲載されているんですか?

古見氏

数カットはそういう写真も使っていますね。当然これは僕だけの意見ではないんですが、例えばトゥバタハリーフは美しいサンゴ礁ですが、そこにサンゴの天敵であるオニヒトデがいるということは強いていえば普通にあることなわけで。そういう意味合いで、サンゴとオニヒトデの写真なんかも使っています。

インドネシア・ラジャアンパット ⒸKyu Furumi

写真は、写真集や写真展でアウトプットすることで作品になる

――タイトルを拝見して、サンゴ礁とそこにすむ生物たちもたくさんでてくるような写真集なのかと勝手に想像しているんですが(笑)、どのような構成で、どんな作品が掲載されているかちょっと教えていただけますか?

古見氏

基本的に僕が撮影するものというか作るものは、すべてドキュメンタリーでありたいと思っています。そこにいる生き物たちをどう見せるかを考えて構成しているので、ここからここまではフィリピン、その後はインドネシア、というような分け方もしていません。もう、ごちゃ混ぜです(笑)。今回の写真集は、そもそも僕から企画を提案したのですが、やはりコーラル・トライアングルの存在意義というテーマが明確になっていたから、版元のクレヴィスさんも企画を通してくださったのかなと思っています。編集担当者が言ってくださった「写真が力強くて、生き物が輝いて見える感じがする」という言葉は、とても印象に残っています。

フィリピン・レイテ島 @Kyu Furumi

パプアニューギニア・キンべ @Kyu Furumi

――そうなんですね。古見さんにとって、写真集を出版するということは、ライフワークというか、活動の中で重要な位置づけをされていることなんでしょうか?

古見氏

僕は写真集を作るために写真を撮っているので、ライフワークとかでもなく、すべてが写真集に向かっているという感じです。ほかのことにはあまり興味がないんです。僕の中では、撮った写真を写真集や写真展などでアウトプットすることによって、作品になると思っています。

写真集は一人で作れるものではなく、写真編集者とアートディレクターが客観的に僕の写真を見て、意見を出し合いながら作っていきます。独りよがりなものではなく、いろんな方の知恵と経験を借りながら作り上げていくので、作品としての重みがあると思います。今回のアートディレクターは、以前にも写真集『TRUK LAGOON』をアートディレクションしてくれたんですが、僕の幼なじみなんです(笑)。もう40年近い付き合いになります。

――古見さんのことを写真家としてはもちろん、人間としてもよくご存知な方なんですね。ところで、写真集の発表に合わせて、東京と大阪でも写真展が開催されるそうですが、こちらはどんな展示になりそうですか?

古見氏

基本的には『The Coral Triangle』から抜粋した作品を大きく伸ばして見せる感じです。今のところのイメージだと、熱帯の感じを体感してもらえるような展示にしたいなと思っています。今までの個展とは趣向を変えて、理想をいえば五感を使って…、四感を使って楽しんでいただけたらと思っています。

――それは楽しみです。写真展に伺って、ぜひ熱帯の海を体感したいと思います。では最後に、写真集や写真展を心待ちにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします。

古見氏

僕は熱帯の海に対する憧れが昔からあったんですが、皆さんにも南の島に対する憧れみたいなものを膨らませながら写真集を見てもらえたらと思います。写真展にもぜひいらしてください。

古見氏に写真集、写真展にかける想いを伺ってみたが、いかがだったろうか? 読者の皆さんにも、写真集や写真展で古見氏の作品に触れることで、南の島ならではの圧倒的なサンゴ礁の海、そして独特の空気感を感じていただけたらと思う。

『The Coral Triangle-密林珊瑚』
  • 著者:古見きゅう
  • 発行元:株式会社クレヴィス
  • 発売日:2023年8月1日
  • 判型:B4変型(縦238㎜×横240mm)並製
  • ページ数:180ページ フルカラー
  • 定価:3,300円(本体3,000円+税10%)

★7/18からの写真展にて先行発売開始。
またクレヴィスオンラインストアにて、事前予約受付中。
オンラインストアでは、7月24日より順次発送予定。

オーシャナ読者2名様に写真集をプレゼント!

古見きゅう氏の最新写真集『The Coral Triangle-密林珊瑚』を、クレヴィスよりオーシャナ読者2名様にプレゼント。ご希望の方は、古見氏へのメッセージを書き添えて、ご応募ください!

【応募方法】
下記のメールアドレスに指定の件名で、メールをお送りください。
応募期限は、8月10日(木)まで。当選者には、メールにてご連絡いたします。
発送は8月下旬予定です。
※1週間以内に送り先等の情報についてご返信がない場合は、無効といたします

■応募先メールアドレス:info@oceana.ne.jp
■件名:オーシャナプレゼント 「The Coral Triangle」
■本文に以下を記載:

  • ①当選時のご連絡先メールアドレス
  • ②氏名
  • ③お住まいの都道府県名
  • ④古見きゅう氏へのメッセージ(応援メッセージ、古見氏に聞いてみたいことなどご自由にお書きください)

写真展「THE CORAL TRIANGLE~密林珊瑚」

【東京】

■開催期間:2023年7月18日(火)〜29日(土)
■開館時間:10時30分~18時30分(日曜・月曜・祝日休館)
■会場:キヤノンギャラリー銀座
東京都中央区銀座3-9-7
■アクセス
都営地下鉄 東銀座A7、A8出口より徒歩2分
東銀座駅(日比谷線)A2出口より徒歩3分
銀座駅(銀座線・丸ノ内線・日比谷線)A12出口より徒歩3分
■入場料:無料

【大阪】

■開催期間:2023年10月17日(火)~28日(土)
■開館時間:10時~18時(日曜・月曜・祝日休館)
■会場:キヤノンギャラリー大阪
大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1F
■アクセス
地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅、京阪中之島線「渡辺橋」駅直結
地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅徒歩5分
JR東西線「北新地」駅徒歩8分
JR「大阪」駅徒歩11分
■入場料:無料

古見きゅう Kyu Furumi
本州最南端の和歌山県串本町にて、ダイビングガイドとして活動したのち水中写真家として独立。国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しい風景やユニークな生き物、海の環境問題なども積極的に撮影取材し、新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や記事を発表している。
著書に写真絵本「WAO!」(小学館)、「THE SEVEN SEAS」(パイインターナショナル)、「TRUK LAGOON」(講談社)など。写真展も多数開催。 2016年撮影プロダクションAnd Nine株式会社を設立。近年は動画作品制作も精力的に行い、企業のPVやテレビ番組などへの映像提供も多数手がける。

古見きゅう オフィシャルサイト  

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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