第33回串本海中フォトコンテスト結果発表! 映えある上位入賞作品は…?
先日、第33回串本海中フォトコンテストの結果発表・授賞式が、串本町立文化センターにて開催。当日は、大寒波・雪の影響がありながらも、ノミネートされた方々をはじめ、来賓やその他ダイバー、地元の方など多くの方が訪れ、会場には活気に満ちあふれていた。
全国から211名904もの作品が集まった本フォトコンテスト。一般部門やコンデジ部門、インスタグラムで応募できるインスタ部門、ショップでテーマを決めてチームで応募するショップ部門など、映えある賞に選ばれたダイバーたちは、審査員の古見きゅう氏や串本町長、観光協会長などから賞状と賞品を授与された。
そこで今回ocean+αでは、一般部門とコンデジ部門の上位入賞者と総合グランプリをクローズアップし、映えある賞に選ばれた作品を受賞者と審査員・古見氏のコメントとともにご紹介。
▶︎受賞作品をすべて見たい方はこちら:第33回受賞作品一覧
コンデジ部門
銅賞:「暗黒の騎士」伊藤真也
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伊藤氏のコメント
実は、ストロボの調子が悪くて偶然撮れた写真なのですが、ショップに戻っていろいろ写真見ていたら、皆さんからすごくいいとおっしゃっていただけたので、応募してみました。昨年、一昨年と入選をいただき、今回は一つ上がって銅賞となり、本当にありがとうございました。
古見氏のコメント
今回ウミガメの写真での応募も他にもあったんですが、大体ウミガメを撮影する場合って、全身を撮られている写真が多かったんですね。その中で唯一この伊藤さんの作品が顔のアップでした。ストロボの調子が悪かったとのことですが、画面の左側から当たっている感じでしょうか。それが功を奏して、写真の立体感というか、少しおどろおどろしい雰囲気を醸し出していて、良い写真になったんじゃないかなと思います。不調も力にして、また来年も頑張ってください。
銀賞:「新しいおもちゃみーつけた!」東美里
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東氏のコメント
ウデフリツノザヤウミウシが乗っているのが釣り人のごみということで、最初は複雑な気持ちでしたが、よく観察していると2匹が仲良く乗りながらゆらゆらと遊んでいる姿が可愛らしく見えてきました。自分の感じた可愛らしさを表現できればと思いながら撮影した1枚です。賞名を知った時は、まさか銀賞になるとは思っていなかったので驚きましたが、大好きなウミウシで受賞できたのは嬉しく思います。
古見氏のコメント
ウデフリツノザヤウミウシが、交接しようとしているところかなと思ってよく見ていたら、イカ釣りのエギの上ということに気づき、一枚の写真の中からさまざまなことが想像できるなと思い、選ばせていただきました。エギや漁具が海の中に残されていることは、あまり喜ばしいことではないとは思いますが、ある意味これも海の一面なんじゃないかなと思い、選ばせていただきました。素晴らしい写真だと思います。
金賞:「抱擁」吉田佳世
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吉田氏のコメント
いつもはポンポンを振っている可愛いイメージのあるキンチャクガニですが、この時は二匹が固く抱き合っていました。初めてこのようなシーンを見て最初は戸惑いましたが、命の誕生を思わせるような神秘的なシーンに思わず見入ってしまいました。この場面を探してくれたDIVE KOOZAの上田さん、この二匹のキンチャクガニに大きな感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
古見氏のコメント
審査会でこの写真を拝見した時に、「すごい、これ!」と思わず声が出てしまった一枚です。何がすごいのかというと、このキンチャクガニはまあ小さいんですよ。足の幅含めて2cmぐらい。さらにこれは繁殖行動をしているところでしょうか。小さくて見つけるのも難しい生き物の、こんな貴重なシーンをきちんと捉えています。僕もみたことのないシーンなので羨ましい限りです。
一般部門
銅賞:「編隊」奥島玲人
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奥島氏のコメント
須江内浦ビーチの風物詩の一つである、メアジ、マアジ、ネンブツダイの大群。これらを追いかけ回す捕食者たち。スピード感や躍動感のあるシーンを表現するため、スローシャッターを用いました。その上でブリ群の像をストロボ光で一瞬止め、カメラを左斜め横方向に少しパンニングしました。背景の小魚群は残像を残しながらいい具合にブレてくれました。今回銅賞に選んでいただいたことに感謝いたします。
古見氏のコメント
一言で言うと、写真がうまいなと思いました。ストロボワーク、構図の決め方、被写体の選択、すべてほぼパーフェクトだと思います。僕が特にこの中でいいなと思ったのが写真の上の方の魚がぶれているところ。おそらく意図的にそうしたんだと思うのですが、そういったところに奥島さんのセンスや写真のテクニックが反映されている、素晴らしい写真だと思います。
銀賞:「私・・・こう見えて踏ん張ってます!!」石橋秀之
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石橋氏のコメント
この一枚を撮影するために、この場所で三本潜り続けました。たまたま切れている葉があったのですが、そこにアミメハギの幼魚がいて、良いところに来るまで粘りました。2~3mmほどの小さなアミメハギが、少し流れがある中で、しがみついて飛ばされないようにしている姿を撮影できました。
古見氏のコメント
パッと見て、すぐに目に飛び込んできた一枚です。可愛いという一言に尽きるんじゃないかなと思います。小さな海藻のちょうどかけたところに、さらに小さなアミメハギが入り込んでいて、茎の紫の部分も効いています。良い瞬間に撮影されたのではないでしょうか。
金賞:「飛行機」鈴木文崇
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鈴木氏のコメント
この時私は手前のオナガウツボを撮っていて、ファインダー越しではこのブリがいることに気が付きませんでした。須江ダイビングセンターのガイドの坂口さんから「シャッターを切れー!」と後ろから何度も大きな声で言われ、ようやくブリが何匹も泳いできていることに気付き、シャッターを切りました。数匹撮影できた中で、一番よく撮れたものが今回の作品でした。ありがとうございました。
古見氏のコメント
このオナガウツボ自体なかなか目にする機会がない、とても珍しい魚だと思うんです。このウツボがしっかり撮れていることはもちろんですが、さらに後ろに大きなブリが泳いでいるという、このシチュエーションがすごいですよね。僕もいつもこういうシチュエーションを期待しながら潜ってはいるんですけれども、なかなかこういうチャンスは巡ってきません。その瞬間を逃さずに、しっかりと撮影されている鈴木さんの技術や運をすごく感じました。ウツボに対するライティングも立体感が出るようにされていただけでなく、体や砂もハレーション起こさず撮られていて、さまざまな面で見ても技術的にも高く、金賞にふさわしい写真だと思いました。
グランプリ:「潮だまりの恋」齋藤有弘
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齋藤氏のコメント
素晴らしい賞を頂くことができ、大変うれしく思います。審査員の古見きゅうさん、ガイドの参木さん、そして実行委員の皆様、本当にありがとうございました。受賞作品は、タイドプールでロウソクギンポの産卵シーンを撮影したカットです。雄と雌が見つめあうような目線がお気に入りのポイントです。日光がちょうど雄の目にかかった瞬間で、その目線が強調されました。炎天下このシーンに釘付けとなっていたのは良い思い出です。
古見氏のコメント
潮溜まりに生息している7〜8cmぐらいのロウソクギンポの求愛のシーンですね。その右側の頭の黒いオスが、左側の顔だけ出している白い顔のメスに、今まさに求愛をしています。すごく生態的にも珍しい瞬間で、このように臨場感のある写真を撮影するのはなかなか難しいと思います。僕が一番惹かれたのは、この写真の中からロウソクギンポたちの喜びというか、感情というか、そういったものが感じられたところです。わずか数センチの浅い潮溜まりに生息している小さな生き物たちが見せる大きなドラマを、しっかりと拾い上げて美しい写真に仕上げる撮影者の目線や技術の高さ、すべてを感じさせてくれた素晴らしい、グランプリにふさわしい作品です。
審査員・古見氏からの大会の総評
今回、十数年ぶりに串本海中フォトコンテストの審査員を担当させていただきました。日本全国いろんなところで、フォトコンテストの審査をさせていただき、慣れているはずなのに想像していた倍以上の時間に審査がかかってしまいました。900点を超えるたくさんの写真が集まっていることはもちろん、非常にレベルが高かったんです。本当に審査をするのに苦労しました。その中で選ばれたみなさんは、串本の海を潜り続けて、いろんな目線で写真を撮り続けているんだろうな、ということを感じながら、審査をさせていただきました。僕自身は20年以上前にこの串本の海でガイドをし、ダイバーとして育って、今でも「一番好きな海はどこか?」と聞かれると、串本と答えます。それくらい串本が好きなんです。皆さんとは、なかなか一緒に潜る機会はないかもしれないですけれども、同じフィールドを潜って、同じものを見て、同じ感動を持っていられることが本当に嬉しいです。これからも皆さんの撮られる写真に期待しています。そして、僕もまた頑張りたいと思います。
30年以上の歴史を持つ串本海中フォトコン。34回も実施予定なので、串本に潜りに行ってぜひ応募してみよう。
今回紹介した賞以外にも、一般・コンデジ部門の入選作品、インスタ部門、ショップ部門、特別部門などたくさんの串本の海の中を表現した作品が受賞している。受賞作品はすべてて串本海中フォトコンテストの公式ページにて掲載中!
▶︎受賞作品をすべて見たい方はこちら:第33回受賞作品一覧
表彰式の様子はこちら↓
串本海中フォトコンテスト
世界中の重要な湿地を保護するための国際条約「ラムサール条約」に登録される串本の海を伝えていくために、町ぐるみで始まったフォトコンテスト。串本町内のダイビングサービスを利用し、串本海域で撮影されたアマチュアの未発表作品が対象となる。
Sponsored by 串本海中フォトコンテスト実行委員