石垣島で今年初のサンゴの一斉産卵を観察!

毎年5月〜6月は沖縄でサンゴの一斉産卵が見られる時期。今年もそのシーズンがやってきました!

同じ海域に生息する同種のサンゴは、満月の夜などに一斉に産卵する。このとき放出される「バンドル」と呼ばれる球状の塊には、精子と卵が一緒に含まれており、海面付近で破裂して中身が拡散される。別の個体の精子と卵が出会うことで、交配が成立する

同じ海域に生息する同種のサンゴは、満月の夜などに一斉に産卵する。このとき放出される「バンドル」と呼ばれる球状の塊には、精子と卵が一緒に含まれており、海面付近で破裂して中身が拡散される。別の個体の精子と卵が出会うことで、交配が成立する

初観測の情報を提供していただいたのは「NEOMARINE石垣島」の青井さん。5月7日にクダサンゴの産卵を昼に発見。クダサンゴの産卵が始まるとそこから3〜4日間するとミドリイシの産卵が始まることが多いため、9日から観察をスタート。11日くらいから昼に卵が確認されているものの産卵までにはほぼ至らず。5月13日には名蔵湾の浅場エリアで小規模な産卵が見られた。水深はおおよそ2〜3.4mと、できるだけ浅い場所を選定し、21時半過ぎ、水中では数分前まで静かだったサンゴの根元から、ほんのわずかにピンク色のバンドルが浮かびはじめ、そのわずか15分後には、周囲の同じ種のサンゴが一斉に産卵を開始。幻想的な夜の海に、命のリズムが広がった。

翌14日には同エリアで被覆系サンゴの産卵も確認。そして15日には、浜島北側の三石(みついし)エリアでも広範囲にわたって多数の種類の一斉産卵が見られ、2025年のサンゴ産卵シーズンが本格的に幕を開けたことを感じさせる夜となった。

今回の観察に同行したのは、NEOMARINEを長年利用し、普段からスキンダイビングやスキューバダイビングで石垣の海に親しんでいるゲストたち。産卵シーズンにあわせて長期滞在を決め、産卵の瞬間を見守った。参加者のひとりは、「あんな硬いサンゴから、やわらかな命が生まれるなんて、本当に不思議で感動した」と語る。

ショップ代表の青井さんは、15年にわたってサンゴの産卵を追い続けてきた。時には大しけで出航できなかったり、予想が外れて目的のサンゴが産卵しなかったりと、自然を相手にする難しさもあったという。しかし経験を重ねるごとに、産卵の兆候を見極められるようになり、今では見たいサンゴの産卵に出会える機会が確実に増えてきたと話す。

「今年は誰よりも早く観察したいと考え、比較的早い時期から産卵が始まる浅いエリアを重点的に観察しに行きました。11〜12日あたりに一部もしくは一斉産卵があると踏んでいたのですが、突然の大雨の影響で水温が下がり育成状況に影響が出たのか、産卵の気配が消え、予測とは少し時期がずれました。ですが、結果としてはやはり大規模な産卵を観察することができました」。

サンゴの減少が叫ばれる昨今だが、石垣島周辺では、場所によっては足の踏み場もないほど新たなサンゴが生まれているエリアもあるという。白化した場所も、卵が供給されれば再び息を吹き返す可能性がある。生命のバトンは、確かに引き継がれているのだ。

今年の産卵シーズンはまだ始まったばかり。6月以降も石垣島では少し深いエリアで見られるかもしれないとのこと。今回の産卵を皮切りに、沖縄本島でも徐々に観察されていくだろう。夜の海に咲く命の瞬間を、ぜひ自分の目で確かめに行ってほしい。

情報提供・取材協力:NEOMARINE石垣島、青井秀樹さん

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