【速報】沖縄本島北部にて、サンゴの産卵を今年初観察!漁師、ガイド、カメラマンのチームプレーで撮影に成功!

2023年もこの季節がやってきた。水中がまるで宇宙のような幻想的な空間に包まれるサンゴの産卵だ。

今年は、沖縄県の中でも水温が高い、石垣島といった離島では数日前にサンゴの産卵が観察されているが、沖縄本島ではまだ観察されていない(※)。しかし、5月12日、オーシャナでカメラマンを務める坪根雄大氏が、なんと沖縄本島最速となるサンゴの産卵の観察に成功したという情報が!早速そのときの様子を伺った。

※ocean+α調べ

5月11日の夜、坪根氏の知人である沖縄本島北部の地元漁師が電灯潜り(※)から帰る途中、水面にピンク色のサンゴの卵を古宇利島沖で発見した。サンゴの産卵は3〜4日続く傾向にあることから、サンゴの産卵に詳しい現地ダイビングショップのガイドと、オーシャナのカメラマンである坪根氏の2名に観察しないかと声をかけてくれたのだった。

※文字通り電灯を用いて、夜間に寝ている魚を漁獲する漁法

5月12日の21時、3名を乗せた船は今帰仁村の漁港を出港し、昨日サンゴの卵を発見したというポイントへ到着。まずはガイドが期待を胸に、真っ暗闇に包まれた海中へ。卵を抱えているミドリイシ(沖縄県北部に広く生息するサンゴの種)がないかをチェックした。30分ほど探すと、2個体ほど卵を持つサンゴを発見!当日中の産卵が確定した!

産卵前のサンゴ(写真:坪根雄大)

産卵前のサンゴ(写真:坪根雄大)

魚たちも寝静まった21時30分、漁師と坪根氏もエントリーする。産卵は22時20分〜22時40分を予想しているため、あとはひたすら待つ…、待つ…、たまに水中で寝る…、他のサンゴの様子も見る…、待つ…。。。

刻々と過ぎる時間の経過とともに待っているとタンクの残圧も減ってくる。一度船に上がってタンクチェンジをしたり、カメラを取りに行ったりしつつ観察を続ける。

そしてついに!

漁師が指差すその先には…!(写真:坪根雄大)

漁師が指差すその先には…!(写真:坪根雄大)

サンゴの産卵が始まった(写真:坪根雄大)

サンゴの産卵が始まった(写真:坪根雄大)

3名の周りで次々にサンゴが産卵する(写真:坪根雄大)

3名の周りで次々にサンゴが産卵する(写真:坪根雄大)

22時20分頃、卵を抱えていたミドリイシとは別のサンゴが産卵しているのを発見!その後、10個体前後の産卵を次々に観察できた。今回の産卵は、サンゴ群体が同調して一斉に産卵を行う繁殖行動「一斉産卵」とまではいかず、小規模の産卵だと考えられる。

水中であることを忘れてしまうような幻想的な光景(写真:坪根雄大)

水中であることを忘れてしまうような幻想的な光景(写真:坪根雄大)

最終的にエキジットしたのは23時00分だった。

この産卵を間近で観察した坪根氏は「5月後半の新月か、6月頭の満月前後の大潮〜中潮での産卵をナイトダイビングで観察するダイビングショップが多い中、小潮での小規模産卵が偶然見ることができたことに、まず驚きました。翌日、そのことを調べてみると、奄美大島や黒潮の当たる高知県では、下弦の半月もサンゴの産卵を観察しているという情報を見つけました。

この日は3人だけで潜り、撮影をしたのは2人だけだったので、思う存分たっぷりとサンゴの産卵を撮ることができました。一斉産卵を狙うのも良いですが、他の日程でも小規模の産卵が見られると、ダイバーとしては楽しみが増えるのではないでしょうか。

そして、今回の観察の成功の一番の理由は、沖縄本島北部の海で10年以上も電灯潜りによって生計を立てている漁師さんの協力があったからこそ。彼は元々ダイビングインストラクターで、今も海に潜り続けている方です。また、ガイドさんのサンゴの産卵に関する知識も必要不可欠でした。国内最大のサンゴ礁がある西表島でのガイド経験もあり、産卵するサンゴの種類や時間帯など、たくさんのことを教えていただきました。私と漁師さんの2人だけで海に出ていたら、きっと途中で諦めて浮上し、サンゴが産卵しだした頃には宿でビールを飲んでいたでしょう」と振り返った。

よーく見ると、水面にも卵が漂っている(写真:坪根雄大)

よーく見ると、水面にも卵が漂っている(写真:坪根雄大)

昨年秋頃、沖縄ではサンゴの白化現象などが目立ち、数の減少が心配されていた。しかし、ここにまた新たな命が生まれたことを見ると、元気に大きく育っていってほしいと願うばかりだ。

サンゴの産卵が見られたエリアの昼間の様子(写真:坪根雄大)

サンゴの産卵が見られたエリアの昼間の様子(写真:坪根雄大)

情報提供:坪根雄大氏
ダイビングとシュノーケリングのサンゴ保全のための国際ガイドライン「Green Fins」アセサー(評価者)として恩納村に長期滞在中。水中&ドローン空撮のカメラマンとしても活動している。
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ガイド:渡會裕子氏
沖縄本島のダイビングサービス「Little Bird」のオーナー。沖縄本島の海から始まり、宮古島諸島の多良間島や八重山諸島の西表島、パラオでのガイド経験を積み、沖縄本島へ戻り独立。お客様一人一人のダイビングスタイルやリクエストに合わせ少人数制にて沖縄本島の全てのエリア、周辺離島も含め様々なエリアを案内している。ダイビングガイド歴16年。
▶︎沖縄本島のダイビングサービス Little Bird

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