桜島を望む冬の鹿児島ダイビングは、360度グリーンな海藻ワールドだった!?

この2年間で私は、2月になると撮影へ訪れる場所がある。人工的なプールのような見た目だが、実は、海水が通る細い水路から流れ込む海の生き物や海藻などで溢れかえっている場所。それが鹿児島市の鴨池緑地公園付近にある「与次郎ヶ浜長水路」(以下、長水路)だ。

桜島もくっきりと見える。

桜島もくっきりと見える。

ワイドもマクロも緑と光の世界を全身で感じる

その長水路へきた撮影の狙いは、珍しい魚や変わった生き物ではなく海藻である。冬の時期になると、この場所でしか見ることのできない神秘的な光景を海藻が作り出すのだ。

それがこちら。

上下が海藻ワールド

上下が海藻ワールド

水底は芝生のように海藻が生える場所もある

水底は芝生のように海藻が生える場所もある

長水路内はマクロレンズでも海藻や小さな生き物を撮影できる

長水路内はマクロレンズでも海藻や小さな生き物を撮影できる

海藻が水面まで広がり、水面も水底も見渡す限りが緑の世界だ。さらに太陽が出ると海藻の合間を光が差し込み、驚くほど幻想的な光景が見られる。

海藻の合間からの光の筋も美しい

海藻の合間からの光の筋も美しい

円周魚眼使用

円周魚眼使用

なぜこのような光景が広がるのか?

それは、本来なら子孫繁栄のためにちぎれて流されるはずの海藻類が水路内に留まるためだ。長さ1.6kmほどある長水路の中で、海水が出入りできる場所は、外海との仕切りの底の方にある小さな水路(土管)のみ。シオミドロ・ショウジョウケノリ・ボウアオノリ・ホソジュズモなどが混ざり合い徐々に水面へ伸び、ちぎれた海藻類は行き場をなくし、そのまま水面を覆うのだ。

水面に広がる海藻

水面に広がる海藻

半水面を狙うと海藻だらけになることも…。

半水面を狙うと海藻だらけになることも…。

こんな神秘的な光景の長水路だが、美しいのは冬の時期だけかと思いきや一年を通して季節ごとに環境が変わり、それぞれ違った光景に出合うことができる。夏にはクラゲダコ、秋にはサカサクラゲも増える。是非、訪れて実際に見てほしい場所である。

撮影協力 鹿児島ダイビングショップSB

堀口和重さん
プロフィール

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伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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