伊豆大島でオキノスジエビが大量出現!深海からゾロゾロワサワサ…大行進は夏場のミステリー!?

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こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。

どこの海も夏のシーズン真っ只中ですね!
私は今、撮影で伊豆大島に来ています。伊豆大島も、夏場にしか見ることのできない生き物が見られています。

まずは、ハンマーヘッドシャーク
早朝に潜ると9割以上の確率で見られ、運が良ければハンマーヘッドシャークが川のように流れるハンマーリバーとなり、100匹ぐらいの群が見られます。

それだけでも驚きですが、私がぜひ!と、推したい生き物がいます。

初めてその生き物の行動を見たときは、現れた瞬間から最後まで水中で常に興奮しっ放しでした。

その生き物は、普段は深場に生息するオキノスジエビ

オキノスジエビ(撮影/堀口和重)

オキノスジエビ(撮影/堀口和重)

夏場のミステリー!
暗くなると現れるオキノスジエビ…

オキノスジエビはジンケンエビ属の1種で、本来は深場、つまり水深200~300mに生息するエビなのですが、シーズンになると普段より浅いところに上がってきます。
(“浅いところ”と言っても、レジャーダイビングでは深い水深なのですが…)

私も2年前、日中に伊豆海洋公園で確認しました。

そのオキノスジエビが、今、伊豆大島のダイビングポイント「秋の浜」のナイトダイビングで、大量に見られています。

日中にはまったく見なかったのに、日が落ちると深場から何千、いや、何万というエビたちが、ゾロゾロ……ワサワサ…と、低く泳ぎながら大行進!

浅い方へとやってくるのです。

ダイバーに向かって飛び込んでくるようなオキノスジエビの集団(撮影/堀口和重)

ダイバーに向かって飛び込んでくるようなオキノスジエビの集団(撮影/堀口和重)

次から次へと下から上がってくる!(撮影/堀口和重)

次から次へと下から上がってくる!(撮影/堀口和重)

水深は20m前後。到着するとその場で止まり、あたり一面オキノスジエビという、不思議な光景が広がります。

その場で止まるオキノスジエビ(撮影/堀口和重)

その場で止まるオキノスジエビ(撮影/堀口和重)

また、そのオキノスジエビを狙って、ハタ類やイサキなどが捕食をするために待ち伏せていたり、集まってきたりするのです。

アカハタが待ち伏せをしている(撮影/堀口和重)

アカハタが待ち伏せをしている(撮影/堀口和重)

深まる謎!?
とにかく集まるオキノスジエビ

なぜこのこのように浅場に向かってくるのかは不明で、砂地で止まったオキノスジエビたちは餌を食べる行動や繁殖行動などをするわけでもなく、何もしないでその場にいるのです!
(もしかしたら観察後の真夜中に、何かしているかもしれませんが…)

ただ、伊豆大島で見られ始めたのは6月の上旬で、そのときは卵を持っている個体は少なかったようですが、今の時期の個体は9割方卵を持っています。

だとすると、産卵のために上がってきている可能性があるのかも……? 
謎は深まるばかり。今後の調査の結果が待たれますね。

このオキノスジエビは毎年浅場で見られるということでもありません。
いつまでこの大行進が見られるかも謎なので、興味のある方はぜひお早めに伊豆大島の「秋の浜」へ!

■撮影協力/大島ダイビング連絡協議会
■撮影ショップ/伊豆大島ダイビングセンター

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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