沖縄本島の“ウミウシの聖地”で10種類を撮影。冬がベストシーズンのレッドビーチへ急げ!

こんにちは、水中写真家の上出俊作です。
今日は、知る人ぞ知るウミウシの聖地「レッドビーチ」の魅力を紹介します。

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レッドビーチがあるのは
沖縄本島・金武町

さっそくですが皆さん、沖縄本島にレッドビーチというダイビングポイントがあることをご存知でしょうか?
知らない方が多いですよね…僕も沖縄に移住してくるまでは、そんなポイント名は聞いたことがありませんでした。

沖縄本島のダイビングポイントや観光スポットは西海岸(東シナ海側)に集中しているのですが、レッドビーチは東海岸(太平洋側)の金武町(きんちょう)に位置しています。

「金武と言ったら“キンタコ”だよね!」と言えるあなたは、かなりの沖縄好きですね。笑
※キンタコ:キングタコスの略。タコライス発祥の店と言われており、観光客も多く訪れる。

正直、沖縄本島に6年住んでいる僕でも「金武町に行くならあそこがオススメだよ」というスポットがパッと浮かびません。
失礼な話ですが、それくらい観光客の方にとってもダイバーにとっても、マイナーな町だと思います。

ただ、観光地化されていない分、本物の沖縄らしさは感じられるかもしれません。
赤瓦の屋根にシーサーが鎮座し、庭から茂る色とりどりの花が白砂の道を彩り……という、沖縄の原風景ではなく、感じられるのは、基地と盛衰を共にした街のリアルな沖縄らしさです。

キャンプ・ハンセンを擁する金武町に足を踏み入れると、お店の看板が横文字ばかりで、異国情緒溢れるというよりは、本当にアメリカにやって来たような感覚になります。

そういう意味では、ディープな観光地ということもできそうですね。現在はシャッターを閉めてしまっているお店も多いので、ちょっとした物悲しさも感じられます。

前置きが長くなってしまいました。
レッドビーチに話を戻しましょう。

ウミウシの数・種類ともに沖縄一!
レッドビーチは冬がベストシーズン

金武湾の北側に位置するレッドビーチは、南側が開けているため、北風に強く南風に弱い地形です。

北風が吹きやすい冬の間は比較的穏やかな日が多く、しかも、水温が低くなるにつれウミウシも増えてきます。
つまり、レッドビーチはまさにこれから(〜3月くらい)がベストシーズンの、冬のポイントなのです。

ちなみに、内湾性のポイントで、地質も泥地・砂地なので、透視度はあまり良くないと思っておいてください…
10mくらい見えていると「今日は透視度いいですねー!」とみんなが口を揃えている感じです。笑

最大水深は10~15mくらいで流れもほぼ無いので、じっくり写真を撮りやすい環境と言えますね。

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上の写真が、レッドビーチでダイバーが良く潜るエリアです。右の砂浜の方からエントリーします。

左の奥の方に、コンクリートブロックのような建造物が3つ、水面から顔を出しているのが見えますでしょうか?
これは、米軍の大型船を係留するための鉄塔です。

この3本の鉄塔にウミウシが多く生息しているため、ウミウシ好きのダイバーたちは、鉄塔を中心に潜ることになります。
僕自身はあまりウミウシには詳しくないのですが、レッドビーチのウミウシの数・種類は沖縄一とも言われているんだとか。

そういうわけで、この地味な鉄塔を目指して、泥地で透明度が悪くて沖縄っぽさのないこの海に、日本中からウシラーたちが集まってくるのです。
※ウシラー:ウミウシをこよなく愛するダイバーの愛称。

写真提供:Smile Blue

写真提供:Smile Blue

ここまで紹介してきました通り、レッドビーチはちょっとマニアックなポイントです。
今回は、レッドビーチ&ウミウシに詳しい「Smile Blue」の本間祥子さん(サチさん)にガイドをお願いしました。

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11月の後半と12月の中旬、2日間潜って計20~30種類のウミウシを紹介してもらったのですが、残念ながら、力及ばず、10種類しかまともに撮れませんでした…サチさん、ごめんなさい。

今日は、沖縄ならどこでも見られるウミウシからレッドビーチらしいウミウシまで、2日間で撮影した子たちを紹介しますね。

ウミウシ好き必見!
撮影した10種類を一挙ご紹介

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まずは沖縄のいたるところで見ることができるキカモヨウウミウシ。
実は、今日紹介するウミウシの中で唯一、自分で見つけた子です。

僕でも見つけられるくらいどこにでもいるということなのでしょうが…
派手ではないですが、個人的には好きなウミウシですね。

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こちらもレッドビーチの定番、ホシゾラウミウシ。

この模様を見て「星空」がイメージできるって、心が豊かですよね。
全然珍しくはないですが、僕は大好きで、特に上の写真のような小さい子を見つけると必ず撮ります。

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こちらはホシゾラウミウシの大人です。3㎝くらいあったと思います。

普段はスルーしてしまうサイズですが、せっかく紹介してくれたので撮りました…
自分で言うのもなんですが、大きい割に可愛く撮れたのでは?笑

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沖縄の色んなポイントで遭遇する、マダライロウミウシ。

2,3個体が連なって、電車ごっこをすることで有名ですね。
写真の子はまだ体調が1cmに満たない可愛いサイズで、透明感もありました。

鉄塔についている色とりどりのカイメンが、ポップな背景を演出してくれます。

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出ました、ミノウミウシの仲間。ヒブサミノウミウシです。

実は僕、元々ウミウシがあんまり好きじゃなく、最近ようやく好きになってきたのですが、ミノ系だけは今でもあまり得意ではなく…

ミノ系はほとんど撮ったことがないのでどこにピントを合わせるべきかもわからなかったのですが、後からサチさんに聞いてみたところ、目に合わせるのがセオリーなんだとか。

確かに、触覚の根本に目のような黒い点がありますね…ぼんやりと。笑

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事前に「ミノはあんまり好きじゃない」とやんわり伝えていたにもかかわらず紹介されという事は、「いいから黙って撮れ」という意味だろうと思い、頑張って撮りました。

でも、このイボヤギミノウミウシは、僕がこれまで見てきたミノ系の中で一番可愛かったです。
体長1cmくらいと小さくて、しかも丸っこくて、ミノなのに楽しく撮影できました。

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触覚までお洒落で撮りがいのあるセンテンイロウミウシ。
体が細長いので、横から撮ってしまうとあまり可愛くないように思いますが、正面から撮ると最高に綺麗です。

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上品な色彩で、撮影されるために生まれてきたかのようですね。

そんなに珍しいわけではないようですが、僕はこのセトイロウミウシを初めて見ました。
上品すぎて、触覚もほぼ透明で、オートフォーカスだとピントが中々合いませんでした…

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僕がレッドビーチで最も見てみたかったのはこの子、サーシャコヤナギウミウシです。
けっこう珍しいと思っていたのですが、あっさり見つかり、しかもたくさんいました。笑

とは言っても、それはガイドさんの長年の経験とウミウシ愛があるからですね。
トゲトゲをひとつずつ取って食べてしまいたいくらい可愛かったです。

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遠くからでもその存在感を感じずにはいられない、テヌウニシキウミウシ。

でかいし色も派手だし、上品さは感じませんでしたが、まあフォトジェニックと言えばフォトジェニックなんでしょう。

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最後は、オレンジトラパニアことツガルウミウシ属の一種-3。

僕はトラパニアなんて言葉自体初めて聞きましたが、ウシラーの間では人気の種類だそうです。
写真の子は、おそらく体長が3㎜くらいだったと思います。
不思議な形をしていて、最後までどんな生き物なのかわかりませんでした。笑

めちゃくちゃ小さいので撮りやすいとは言えませんが、ほとんど動かないし、綺麗な所に住んでいるので、撮影しがいがありますね。
今回撮影した中で、最も集中した被写体がこの子でした。

これからがベストシーズンの
レッドビーチへGO!

以上、計10種類のウミウシを紹介させていただきました。

「レッドビーチなんだからもっとたくさん撮れるだろ!」と言われてしまいそうですが、これが僕の撮影スタイルということで…

今回ガイドをしてくれたサチさん自身は、「小さめのミノウミウシ」が目につくようになるとウミウシシーズンに入ったなと感じるようです。
11月下旬にはあまり見かけなかった小さめのミノも、12月中旬の2度目の撮影日にはかなり見つけられているようでした。

鉄塔についた色とりどりのカイメンが彩る、ウミウシの聖地。
この特殊な環境は、僕の知っている限り、他のどこにもありません。
つまり、ここでしか撮れない写真が確実にあります。

レッドビーチ、まさにこれからがベストシーズンです。
ウシラーの皆さん、そしてこの記事を読んでいるウシラー予備軍のあなた、ぜひ一度レッドビーチに遊びに行ってみてください。

ちなみに、現地にはシャワーやお手洗いが使える有料の施設があったり、米軍の船が到着する日はダイビングができないなどの制限があったり、ここには書ききれなかった情報もあります。

詳しいことは、レッドビーチに詳しいショップさんに問い合わせてみてください。
それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

■撮影・取材協力:Smile Blue

上出俊作さん
プロフィール

水中写真家上出俊作氏

2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えきれなくなり、製薬会社を退職し沖縄本島に移住。現在は「水中の日常を切り取る」をテーマに、海で暮らす生き物たちの姿を撮り続けている。

▶上出俊作さんのブログ「陽だまりかくれんぼ」
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writer
PROFILE
1986年東京都生まれ。
2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えられなくなり、沖縄本島の名護市に移住。
「水中の日常を丁寧に切り取る」というテーマで、沖縄を中心に日本各地の水中を撮影。
ブログ「陽だまりかくれんぼ」や写真展などのイベントを通して、水中写真と沖縄の海の魅力を発信し続けている。
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