検証! ロゴシーズで陸上と海中で会話してみた ~緊急のお知らせからランチの注文まで!?~
海の中でのコミュニケーションを可能にした水中会話装置「ロゴシーズ」だが、実は陸上との交信も可能。
では、実際、どの程度の会話が可能なのか?
陸と海との会話で広がるダイビングの可能性とは?
検証してみました!
検証!
100m以上離れた、海中のダイバーと会話してみた
さて、どの程度、会話が可能なのか?
実際に見て、聞いていただくのが早いだろう。
検証! 100m以上離れた海中のダイバーと陸上から会話してみた
スタッフ
鈴木さん、鈴木さん、聞こえますか?
鈴木
はーい。こちら鈴木です。こちら鈴木です。大変よく聞こえています。
いかがだろう?
少なくとも会話の内容が聞き取れるほどには、鮮明だ。
ちなみに、陸上スタッフのいる白崎海洋公園のテラスから、ダイバーのいるダイビングポイント「シャクシの浜」までの距離は優に100m超!
ということで、実用レベルで、陸上と水中で会話ができるとわかったロゴシーズだが、では、どんな利用方法があるのだろうか?
その可能性を考えてみる。
安全に貢献できる可能性
陸からのリコールサイン、海中からのレスキューサイン
まず、会話ができなくても、陸と海とでコミュニケーションできるだけでも、ダイビングの安全度は増すだろう。
例えば、“リコールサイン”。
簡単に言えば、海中のダイバーに「エグジットしろ」という合図のこと。
ダイビング中に天候が急変した場合、船にトラブルがあった場合などに用いられ、津波の警報が出た場合などにも有効だろう。
リコールサインは、船上からラダー(梯子)をカンカン叩いたりしているが、ビーチダイビングの場合は、リコールサイン自体、あまり使われていないのが現状。
ロゴシーズなら、船上はもちろん、ビーチポイントでもリコールサインを送ることができる。
逆に、水中からも、レスキューサインを陸上に送れることができれば、レスキューの初動をスピードアップできる可能性もあるはずだ。
ましてや、しっかり会話ができるとなれば、より安全への活用が期待できる。
例えば、陸上からなら「船がダイビングポイントに入ってきた」、海中からなら「バディが意識不明。エグジット後のレスキュー態勢を頼む」などなど、セーフティーグッズとしての活用が期待される。
セーフティーグッズとしてのロゴシーズ活用例
陸上からリコールサイン
スタッフ
リコール、リコール、直ちにエグジットしてください
鈴木
了解しました。ただちにエキジットします。エキジットします。
陸上から注意
スタッフ
ダイビングポイントに船が侵入してきました。気をつけてください
鈴木
了解しました。船の侵入を確認しました。
海中から緊急事態
鈴木
磯貝さん、バディが意識不明です。救助をお願いします
これからバディを連れてエントリー口まで戻ります
楽しさが倍増……かも!?
マンタが出た! 今日のランチ何にする?
楽しくなくちゃ、ダイビングじゃない!
ということで、安全だけでなく、遊ぶための利用方法も考えてみた。
例えば、こんな使い方はどうだろう……。
こんなことができる!? ロゴシーズで広がるダイビングの可能性
生物が登場したことを水中へ知らせる!
スタッフ
一の根にマンタが出たようです!
リアルタイムで海況を聞く!
スタッフ
現在の水中の状況はどうでしょうか?
鈴木
透明度透視度が5mくらい。水温18度でとても温かいです。
水中からランチを注文!?
スタッフ
今日のランチは魚定食か焼肉定食かどちらにしますか
鈴木
魚定食でお願いします!
マンタやハンマーヘッドなど、急な大物登場には役立ちそう!
でも、せっかくの癒しの時間に、「仕事が入ったから急いで上がれ!」なんてことになったら嫌かも(笑)。
陸上と海中でどうやって会話するの?
陸上と海中で会話する場合、陸上機が必要となる。
まずは、フロート(浮き輪)上に陸上機を設置し、ダイビングポイントの水面に設置。
フロートを固定したら、陸上機から送受信アンテナを水中に垂らす。
陸上のトランシーバーから飛ばした電波は、まずフロート上の陸上機が受信し、水中アンテナを通じて超音波となってダイバーへ送られるというわけだ。
逆に、水中から発せられた超音波はアンテナで拾われ、フロート上の陸上機から電波となって陸上のスピーカーに拾われる。
ちなみに、距離や環境によるが、室内に置いておくことも可能。
今回、120m以上離れた室内でも、屋外より精度は落ちるものの、会話内容は聞き取ることができた。
120m離れた海中からの声を室内で聞いてみた
感想と課題
「久米さ~ん。シューシューボコボコボコ」
学生のころ、ニュースステーションで見た、水中からの生レポート。
この時の水中レポーター(須賀潮美さん)が大学のダイビングクラブのOGで、その出会いがダイビング業界で働くきっかけとなった自分としては、胸熱なシーン。
これまでは、高額な機材を持つクルーによるテレビ放送で見るだけだったそんな光景が、自分の手によって実現。
海中からの第一声をスピーカーから聞いた時、率直に「おお!」とアホっぽい反応をしつつ感動したのでした……。
陸と海とのコミュニケーション。会話。
ダイビングエリアとしてのセーフティーネット強化、レスキューの初動のスピードアップなど、安全への貢献はもちろん、リアルタイムな陸と海との情報交換によるダイビングの充実。
ロゴシーズの登場で、ダイビングスタイルの可能性が広がるのは間違いない。
ただ、陸上間でも聞き取りにくいことがある無線機による会話。
ましてや、中継機を通じての会話となると、条件が厳しくなるのも間違いない。
陸上では電波の障害物、水中では超音波の障害物が少ないほどよく聞こえるので、まずは、「使用する環境に適しているかどうか」を確認することが大事だろう。
また、以前ガチンコ検証! 水中会話装置・ロゴシーズは、本当にちゃんと話せるのか? ~懐疑派・編集長vs山形カシオ~で紹介したように 、ロゴシーズを使って水中で話すには少しコツがいる。
しっかり会話をするなら、適した環境と水中から話す人のスキルが条件となる。
ただ、受信するだけ、ホイッスル音の発信であれば容易なので、活用法はいろいろ考えられるだろう。
個人的には、推奨しているバディ(セルフ)ダイビングにおいて、水中のバディと陸上のダイビングセンターとのコミュニケーション、セーフティーネットとして可能性を感じた。
■ロゴシーズHP
http://logosease.yamagata-casio.co.jp/
ガチンコ検証! 水中会話装置「ロゴシーズ」で広がるダイビングの可能性(連載トップページへ)
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