ガチンコ検証! 水中会話装置「ロゴシーズ」で広がるダイビングの可能性(第1回)

ガチンコ検証! 水中会話装置・ロゴシーズは、本当にちゃんと話せるのか? ~懐疑派・編集長vs山形カシオ~

この記事は約6分で読めます。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

ロゴシーズって使えないかも……に、
「待った!」をかけた山形カシオ

発売時、大きな話題となった水中会話装置のロゴシーズ。

各媒体で大々的に取り上げていたので、目にしたことがあるダイバーも多いはずです。

僕もロゴシーズに関して一般誌に寄稿した際に、開発元である山形カシオの水中会話装置への熱い思いを知っていましたし、こういうチャレンジをする企業はダイビング界の発展のためにも応援したいと思っていました。
水中で会話ができればダイビングの幅も広がります。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

「水中は無音の世界がよい」なんて人もいますが、選択肢が増えることはよいことで、陸上で話せるくらい気軽になれば、絶対に水中で会話する方がメインになると思います。

そんな、熱意、意義、可能性を感じていたにもかかわらず、オーシャナでは大々的というより少々的に(!?)ご紹介するにとどまっていました。

なぜなら、発売当初に真っ先に使ってみたのですが、うまく話すことができず……。

そう、「ダイバーにオススメするには時期尚早かな~」なんて思っていたのです。

「正直、あんまり使えないかもです……」と山形カシオの鈴木克己さんに伝えると、バージョンアップした際に、わかりやすい説明書や練習方法のリストも送っていただき、再度試したのですが、元来、説明書を読まないタイプの僕は、よく読まずに使って「話せない」と認定していたのです(すみません……)。

そんな僕の姿に見かねたのか、鈴木さんが「寺山さん、1日、いや1本でよいので、私のレクチャーを聞いて練習する機会を作ってください! それでも使えなかったら、使えないって書いていいですから」と熱い連絡が。

ということで、ガチンコでロゴシーズの検証をすることに。

本当に話せるようになるのか?
ガチンコ! ロゴシーズ検証

検証方法はいたってシンプル。

1ダイブ目は、これまで数回試した時のように、自分流で適当に使ってみます。
そして、エグジット後に、鈴木さんのレクチャーを受け、2ダイブ目にトライ! という流れ。

★DIVE1

久しぶりのロゴシーズを適当にマスクに付けて、水中でも適当に話してみます。

結果は、こんな感じです。

■レクチャー前のロゴシーズの音声

「僕の名前は寺山英樹でーす。聞こえますか~。アハハハハハハ
○▲×▽■※¥×○(自分でも何を話しているか不明……)」

ぜ、全然、話せない……。

感想は以前と変わらず、あまりよいものではなかったのですが、エグジット後、「2本目では、絶対に話せるようになりますから!」とキラキラ目を輝かせる鈴木さん。

きちんと話せるようにならないとロゴシーズのイメージも落ちるので、その時はお蔵入りにしようかな……でも、試したからには読者にネガティブな結果を隠すのも……いやいや、やっぱり、こういうチャンレンジはサポートしたいし……などなど、うまくいかないことが前提のマインドになってしまい、「とにかく俺よ、話せるようになってくれ!」と祈るばかり(笑)。

★レクチャーTIME @陸

ランチ後、ロゴシーズの使い方やコツなどの鈴木さんのレクチャーを受けます。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

なるほどなるほど!

レクチャーを受けると、次第にコツやポイントがわかってきます。

ロゴシーズの位置や発声法、操作法……etc.

そういうことだったのか。

1時間にも満たないレクチャーを受け、正解が明快になったことで、何だかいけそうな気がする~な気分。

★DIVE2

はやる気持ちを抑えつつエントリー。

コツやポイントを頭で理解することも大事ですが、練習も大事。
浅瀬に着底し、鈴木さんの言うとおりに発声練習です。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

ほんの10分から15分程度ですが、これだけで、だいぶコツがつかめました。

最初の自己紹介と聞き比べると、だいぶ鮮明になったと思いませんか?

■レクチャー後のロゴシーズの音声

しばらく泳ぎながら練習してみると、「ひょっとしてマスターしちゃったかも!」と、鈴木さんをガイドしてみることに。

いつも山形ばかり潜っていて(現在、水温7度だとか……)、カラフルな魚を見ていないということなので、季節来遊魚を探すことに。

すると、富戸の季節来遊魚を象徴するムレハタタテダイの群れに遭遇! (あまり群れていないけど)

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

ロゴシーズで、拙いガイドをさせていただきました。

■ロゴシーズを使ってガイドする水中の声

どうですか? ちゃんと話せて&聞こえていますよね。
ここまでちゃんと話せるとは感動です。

最後は、鈴木さんのお墨付きもいただきました。

しっかり理解し練習すれば
時間もかからず、使えます!

結論。

ちゃんとレクチャーを受ければ、ロゴシーズは使えるようになります!

僕も劇的にうまくなりました(よね?)。
ふう、良かった(笑)。

何事も、よくわからないまま適当にやってはいけませんね……(反省)。

「レクチャーや練習は面倒くさい」という思う方もいるかもしれませんが、きちんとスキルを習得しようとすれば、自転車だってドローンだって練習は必須。

ただ、自分がそうだったように、かなりの労力だと思って敬遠していたレクチャーや練習も、陸でほんの30分、水中でほんの15分ほどで結構話せるようになります(個人差はあるでしょうが)。

さらに、ハーフマスクを使えば、格段に話せるようになるのです。

特に、パ行、バ行、マ行はマウスピースをくわえて話すことは困難ですが、ハーフマスクだと、かなりクリア。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

オクトパスに装着したハーフマスク。口全体が覆われるので、陸と同じ口の動きで話すことが可能になります

マウスピースをくわえたままで話したパターンと、ハーフマスクをつけて話すパターンを聞き比べてください。

※マウスピースをくわえると話せないといわれるパ行、バ行、マ行をちりばめ「パパとママがババアにモモをむいてあげました」と言っています。

■マウスピースで話したパターンとハーフマスクで話したパターン

いかがでしょうか?
ハーフマスクをつけると陸上と同じ言葉で話すことができます。

もちろん、ウィークポイントもありますが、そういうことを含めて、まずは、インストラクターや販売する方など、直接ダイバーに伝える人に、しっかりと理解してもらうことが大事だと思いました(しっかり説明書を読んで、忠実に再現してみる方なら大丈夫なはず!)。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

コツや注意点を知っておけば格段に使えるようになります。例えば、ロゴシーズはタップするとスイッチが切り替わりますが、しっかりと指先でタップするのがコツ。指の腹でちょんちょんと優しくタップするとうまく切り替わりません。このような、知ってさえいれば改善できることがほとんど

また、今回は、「話すことができるようになるかどうか」がテーマでしたが、「水中ではぐれてしまったバディを探すことができる」など、エマージェンシーグッズとしての可能性も強く感じました。

こちらは、ダイバーの安全にかかわる部分なので、しっかりと検証してからまたお伝えしたいと思います。

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

はぐれても、発信信号で相手の位置を見つけることができます。精度の検証を行なってみないと軽はずみなことは言えませんが、セーフティーグッズとして大きな可能性を感じました。実際にかくれんぼをしてみましたが、隠れた相手を見つけることができました

今後もいろいろ使い道を探ってみたいと思います。

ちなみに、鈴木さんはといえば、「ほら~。ちゃんと聞いてもらえれば話せるようになるんです。ふふふ」と満面の笑みを浮かべつつ、ロゴシーズ伝道師として全国行脚を続けるのでした……。

※興味をお持ちのダイビング事業者は、都合が合えば鈴木さんが登場しますので、オーシャナまでご連絡ください。
info@oceaana.ne.jp

ロゴシーズ(撮影:菊地聡美)

聞くだけなら、すぐに誰でもできます。実際、ゲストは聞くだけにして、Cカード講習でイントラが説明したり、ガイドが魚の解説をしたりと、実際に活用され始めています

■ロゴシーズHP
http://logosease.yamagata-casio.co.jp/

■協力/山形カシオ
■撮影/菊地聡美

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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