ガチンコ検証! 水中会話装置「ロゴシーズ」で広がるダイビングの可能性(第4回)

インストラクターがロゴシーズを使うメリットとは? ~いち早く標準化したダイビングショップに聞く~

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これまで水中会話装置「ロゴシーズ」のさまざまな可能性を検証してきたが、すでにロゴシーズをデフォルト化して活用しているダイビングショップ「セカンドステーション」。

いち早くロゴシーズを導入し、講習はもちろん、ファンダイビングで実践的に活用している。

なぜ導入したのか? 実際、どのように活用しているのか?

ダイビング事業責任者の西森稔朗さんに聞いた。

インストラクター歴18年。愛称はハナさん

インストラクター歴18年。愛称はハナさん

お客様の安全を考えた時
ロゴシーズに可能性を感じた

「セカンドステーション」は、ロゴシーズ発売直後、いち早くロゴシーズを導入したダイビングショップだ。

そのころの自分といえば、一度試してみて、水中会話装置としては「あまりうまく会話できないな……」と興味を失っていたころだが、なぜそのような決断をしたのだろうか。

会話装置としてより、まずは、セーフティグッズとしての機能に注目したと西森さんは言う。

「インストラクターとして必ず実践しないといけないことは“安全に潜り、そして帰ってくる”こと。そのためには、インストラクターのレベルの向上はもちろん、ダイビングギアにより安全を高めることはできないかとも常に考えています」

しっかりレクチャーを受けることが大事

しっかりレクチャーを受けることが大事

それまでも、漂流に備えてスーツに反射板をつけたり、レーダーに反応するレーダーシグナルフロートの装着を義務づけたりしていたが、水中でのトラブルを回避するギアがないかとずっと考えていた。

そんなとき、ロゴシーズが開発され、未知数な部分はあるものの、「少しでも安全に帰ってくる可能性が上がるなら」と全面導入に踏み切る。

講習生やゲストと会話ができればベストだが、まずはゲストから緊急事態を伝えたり、インストラクターの意思を伝えられたりするだけでも安全に対するメリットがあると考えたのだ。

また、ダイビング指導団体がスペシャリティプログラムを作るなど、ビジネスチャンスの可能性も後押しした。

ただ、初めて使った時は、うまく会話できずに、「本当に使っていけるのか?」という疑問を持ったが、コツをつかむと、とても多くの言葉をクリアに話せるようになり、想像以上のメリットを感じるようになった。

Cカード講習時のメリット
スレートいらずで、両手がフリー

本業であるCカード講習では、まずはスレートを使うことが極端に減った。

「何かを伝えるときはスレートに書くしかなったのですが、書く時は視線をスレートに落とすことになるわけです。つまり、講習生から目を離すことになってしまう。また、細かいことですが、スレートを出したり、ペンのひもがスレートに絡まったりというのも意外と煩わしかったりするもんです。その点、話して伝えられると解決するし、圧倒的に早い」

講習のスキル項目は、ハンドサインだけでなく同時に声でも伝える。講習生もわかりやすく安心感も大きい

講習のスキル項目は、ハンドサインだけでなく同時に声でも伝える。講習生もわかりやすく安心感も大きい

また、未熟なスキルの講習生をケアする際、体を支えるために手を使うことが多々あるので、両手がフリーの状態で意思を伝えることができるメリットは大きい。

「ロゴシーズを使うようになって、余計なことにとられる時間が少なくなって、スクールの進行をスムーズに講習できるようになりました」

■Cカード講習時の活用例

ファンダイビング時のメリット
ダイバー全員に一斉に合図できる

ショップツアーで潜った時、ゲストがみなロゴシーズを装備しているので、一斉に合図できることはあらゆる点でメリットが大きい。

例えば、お目当ての生物を見つけ、グループとシェアする場合、まずは「あ、あ、あ、あ、あ」と大きな声で全体に呼びかけると、その音で皆が一斉にロゴシーズに集中をしだす。そのあとに生物名を言うことによって、一気に全員が情報を共有できるのだ。

もちろん、安全という観点からも、水中におけるコミュニケーションツールは重要だが、声を出すだけで、素早く、一斉に注目を集めることができるのは有効だろう。

インストラクターの合図で、ダイバーたちが一斉に集まってくる

インストラクターの合図で、ダイバーたちが一斉に集まってくる

使い慣れてくれば、ゲストとのコミュニケーションだけでなく、ファンダイビングのあらゆる場面で有効活用できるはずだ。

例えば、ガイド同士で水中の場所を共有しておいて、ひとりがガイドをしている時、もうひとりがマンタを探しにいき、マンタを見つけたら、「Aの根 マンタ」と伝えるとか。または、2つの根に分かれてマンタ待ちしているとき、どちらかで出現したらもう一方に情報を伝えるとか、ガイドディングの可能性も広がる。

同じポイントに潜っておきながら、グループによって、見られた・見られなかったの微妙な空気が流れることも少なくなるかもしれない(笑)。

■ファンダイビング時のロゴシーズ活用例

ゲストの6割がロゴシーズ
一番の効果は“安心感”

現在、セカンドステーションでは、器材を購入するゲストのうち6割くらいがロゴシーズを購入。インストラクターも安全管理がしやすくなるメリットがあるので、ロゴシーズ着用のダイバーはファンダイブ代を割引している。

注意点も声で伝えられることによって、わかりやすく伝わる

注意点も声で伝えられることによって、わかりやすく伝わる

実際、使っているゲストに話を聞くと、最初は聞きづらい、話せないという印象から入るのが、特に初心者は安心感があるという。

「Cカード講習の時からレンタルでロゴシーズを使用して、慣れてくると、ロゴシーズから聞こえてくる音に対して反応が早くなりますし、自分が呼ばれているという感覚もわかるようになってきます。会話を楽しめるまでは時間が少しかかりますが、聞こえるという安心感は最初のころはとっても大きかったです」

ゲストの6割がロゴシーズ
一番の効果は“安心感”

まず、ロゴシーズで話せるようになるにはコツがいることは間違いない。

水中会話装置と聞くと、水中でもすぐに陸上と同じように会話ができるというイメージがあるが、使うダイバー側のスキルやアップデートも必要ということだ。なので、「現状のままでいい」「面倒くさい」というダイバーやインストラクター、ガイドにはオススメしない。

ロゴシーズという優れた機器を使いこなして、「ダイビングの可能性を広げる」という意思がやはり必要なわけだが、私のように標準で使っている人間から言いたいのは、話せるようになることはそこまで難しいことではなく、性能も進化しているということだ。

西森さんも「僕自身も最初はうまくいきませんでしたが、ちょっとしたコツをつかむだけで、非常に多く話せるようになります」という。

ちなみに、コツを聞くと、まずは、3m先の人に会話するように声を出すイメージを持つこと。そして、会話の切り方がポイント。例えば、「こっちへ来てください」を「こっちへ」「来てください」 と短い言葉で切って話してあげると非常に伝えやすくなるのだそう。

最後に、実際に導入してみて、感じるメリットを聞いた。

「やはり、ゲストに安心を与えられることが第一。そして、安全にダイビングを終了することができる可能性が上がるということはお店側にとって何よりもメリットだと思っています。個人的な感想としては、インストラクターとしての一番のストレスは、見てほしい時に見てくれないこと。それが、声を出すだけで合図できるメリットはとても大きいと感じています」

興味のあるダイビングショップには、山形カシオの鈴木克己さんが熱量たっぷりレクチャーしてくれるので、ぜひ連絡してみてください。

【お問い合わせ】
mailto:msinfo@yamagata.casio.co.jp
TEL:0237-43-5168

ロゴシーズHPはこちら
■協力/山形カシオ
■撮影/菊地聡美

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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